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原発事故で汚染された水や土壌を回復させたい
環境問題の解決に取り組む
生命科学部環境応用化学科 環境材料化学研究室(渡邊雄二郎准教授研究室)

イメージ前列左から、川尻里奈さん、渡邊雄二郎准教授、大塚美咲さん、後列左から、保坂拓海さん (ゼミ長)、上村一馬さん、政所良亮さん(全員、生命科学部環境応用化学科4年)

「原子力発電所の事故で大きな被害を受けた福島県域の環境回復を想定し、放射能汚染問題の解決につながる研究に取り組んでいます」と紹介してくれたのは、ゼミ長の保坂さん。「9人の所属学生は三つのグループに分かれ、汚染された水や土壌を浄化する方法を模索しながら、個々に研究を進めています」。

主に水の浄化に取り組んでいるのは川尻さん。「層状複水酸化物(LDH)などの化合物が持つ特性を利用して河川や湖沼中の有害物質を取り除く研究を進めています。加工しやすい高分子化合物(ポリマー)と混ぜることで、さまざまな活用ができるのではないかと模索中です」

政所さんは「有害物質を吸着するゼオライトや粘土鉱物を利用して、環境被害にあった土壌から放射性セシウムを取り除く研究に取り組んでいます。水や大気と違って、土壌に固着した放射性セシウムは取り除きづらいのですが、難しいからこそやりがいがあります」と、意気込みを語ります。

イメージ研究室内でゼオライトを用いて栽培中の小松菜とベビーリーフ。LED照明と水だけで成育している

イメージ先生の指導の下、研究室メンバーはそれぞれ実験と検証を繰り返しながら研究を進めている

イメージ9人のゼミ生は法政出身の渡邊准教授への信頼は厚く、雰囲気は明るい

他の人とは異なる視点から研究を進めているのは大塚さん。「環境被害により土壌が汚染されると、農業は深刻なダメージを受けます。そこで栄養価を保持したゼオライトを利用して、土のない環境での植物栽培の実験と評価をしています。水だけで栽培すると栄養価の調整が難しいなど課題は多くありますが、将来的に新しい農業のスタイルに結び付くことを期待しています」と目を輝かせます。

2017年度に開設された新しい研究室ですが、学生メンバーの雰囲気は明るく、渡邊准教授ともすでに良好な関係を築いています。「着任直後初めてお会いした時は緊張しましたが、一人一人に親身になって接してくれる面倒見のいい先生です。学生それぞれの状況に配慮し、研究テーマを一緒に考えてくれたほか、理解が難しいところは粘り強く指導してくださるので、とても感謝しています」と、渡邊准教授に信頼を寄せる上村さん。この夏には初めての合宿が予定され、「初めてのことばかりですが、楽しみながら取り組みたい」と、フィールドワークを取り入れた環境調査などの検討も進んでいると言います。

「全員4年生なので、就職活動との兼ね合いを見て研究の進捗を図っています。両立は大変ですが、メンバー全員やる気があるので、今後の活動が楽しみです」と語る渡邊准教授は、実は法政大学出身。母校に戻った今は、教え子であり後輩でもある学生たちを温かく見守っています。


生命科学部環境応用化学科 環境材料化学研究室(渡邊雄二郎准教授研究室)

渡邊雄二郎准教授
保坂拓海さん(ゼミ長)
上村一馬さん
大塚美咲さん
川尻里奈さん
政所良亮さん
(全員、生命科学部環境応用化学科4年)