「生活環境主義」の立場からフィールドワークで現場の声に寄り添う
現代福祉学部福祉コミュニティ学科 野田岳仁准教授ゼミ
上段左から野田岳仁准教授、伊藤歌那さん(4年)、佐藤雅さん(4年)、下段左から田中珠李さん(4年)、山下友梨子さん(3年)、横井玲音さん(3年) ※全員、現代福祉学部福祉コミュニティ学科
2021年度は長野県松本市の公共井戸の利用と管理について調査し、松本市役所に政策提言した。ミツカンの若手社員もゼミに加わり研究活動を行っている
真鶴町での聞き取り調査の様子。移住者が地域に溶け込む社会的な仕掛けを分析し、移住者と地元住民が「社会的オヤ」の社会関係にあることを見いだした
2022年11月に真鶴町役場と町民に対して研究成果発表会を開催。大学連携により町民同士がつながり、水場の管理組織の強化など思わぬ効果もみられた
「水とコミュニティ」をテーマに研究活動を展開する野田岳仁准教授ゼミ。「地域住民の声を重視して、生活から環境問題やまちづくりを分析する『生活環境主義』の立場からリアリティーのある調査を心掛けて活動しています」と語るのは田中さん。「ゼミを通じて、世の中の風潮に振り回されず、自分がやりたいことを貫く強さをつかめた気がします」と語り、ゼミでの学びを自身の成長につなげています。
「常識や理想を頭の中から排除して、住民の立場から考える力を付けてほしい」と語る野田准教授。ゼミの活動は、フィールドワークが中心です。2年次は文献などで基礎知識を学んだ後、現地調査を実施。3年次からは「水」をテーマに社会貢献活動を行うミツカン水の文化センターとの産学連携で、本格的な研究活動を展開しています。2022年度の調査地は神奈川県・真鶴町。夏季休暇期間は合宿で集中して調査を進め、現在も月1回のペースで現地を訪れて地域住民から話を聞いています。
「安定した水源がないという生活問題を抱えていたはずの真鶴に、近年若い移住者が増えている。この状況の実態を探るため、地元住民、移住者、水の3班に分かれてそれぞれ調査しています」と語るのは山下さん。生活環境主義の研究活動に魅了され、もっと学びたいと大学院進学を視野に入れています。
「真鶴は『美の条例』と呼ばれる特徴的な条例を制定しています。その背景や、水源を管理している地区を調べて地域の特色をまとめています」と語るのは、水の調査を担当している横井さん。「住民視点に立つことで自分の視野の狭さに気付かされました」と、学びからの発見を自分の糧にしています。
4年次は卒論に向けての個人研究を進めています。1年次に東日本大震災の復興ボランティア活動に参加した佐藤さんが調査しているのは宮城県気仙沼市・大谷海岸。「防潮堤建設計画が持ち上がる中、住民運動により町のシンボルである砂浜を復元させるに至った事例に着目しています。震災の怖さを知る住民たちが一致団結した理由などを探究したいと考えています」と語り、卒論の準備を進めます。
「地域に根付いた商店街が不思議とにぎわっていることに関心があり、商店街を仲介としたまちの活性化をテーマに卒論をまとめています」と語るのは伊藤さん。「卒業後は公務員になるので、豊富なフィールドワークは貴重な経験でした。今後のキャリアに生かしていきたい」と自分の未来に期待を寄せます。
※今回はオンラインで取材しています。
(初出:広報誌『法政』2023年1・2月号)
- 現代福祉学部福祉コミュニティ学科 野田岳仁准教授ゼミ
野田岳仁准教授
伊藤歌那さん(4年)
佐藤雅さん(4年)
田中珠李さん(4年)
山下友梨子さん(3年)
横井玲音さん(3年)
※全員、現代福祉学部福祉コミュニティ学科
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