多様性を尊重しながら社会的な排除に苦しむマイノリティーへの理解と支援を学ぶ
現代福祉学部福祉コミュニティ学科 伊藤正子教授ゼミ
上段左から、伊藤正子教授、須賀大輔さん(ゼミ長)、関口奈々さん、下段左から、高島楽さん、飯田侑加さん、門口紗也さん ※全員、現代福祉学部福祉コミュニティ学科2年
「社会的排除について学び、何らかの原因で差別されたり、社会から排除されてしまった人(被排除者)を取り巻く環境、支援策などについて考察しています」と紹介してくれたのは関口さん。「多様な人が集まってのびのびと研究ができるゼミなので、学びの刺激を受けています。これからは貧困について深く調べてみたい」と新たな目標を見据えます。
現代福祉学部では、ゼミ(専門課程)は2年次から始まり、学年別にⅠからⅢの3課程を修学します。2年次に履修する専門演習Ⅰでは、伊藤ゼミは文献研究として基礎理論を学びます。「ゼミ内でも多様性に触れ、支え合う関係を築いてほしい」という伊藤正子教授の思いもあり、伊藤ゼミの研究スタイルはグループ研究が主体。取り上げるテーマは貧困、ホームレス、外国籍の移民や移住労働者、精神疾患など多岐にわたり、春と秋の学期ごとに、ひと区切りを付けてまとめています。
グループ研究の様子。同じテーマに興味を持ったメンバーがグループを組み、それぞれの意見を尊重しながら、研究を進める
虐待をテーマに、子どもに対するネグレクト(育児放棄)について調べたのは高島さん。「児童虐待は怒りの感情だけで起こっているわけではないことが印象的でした。親の主張では、『一人で外に出ると危険だから家から出さないようにした』と、子どものためを思っているつもりでいる。愛情の表し方を間違えてしまう親の存在について考えさせられました」。
心に痛みを持つ当事者との出会いから、LGBTへの学びを深めたのは飯田さん。「何気ない会話の中でも、傷つくことがあることを知り、ジェンダーについてきちんと学ぶことが大切だと思いました」。飯田さんと同じグループで研究していた門口さんも「LGBTの人たちの生きづらさを理解し、何ができるかと考えて『男らしさ、女らしさではなく、その人らしさを見る』というフェミニズムの考え方を取り入れることを提案しました」と成果を語ります。
特別授業としてゲストスピーカーを招き、お話しを伺うことも。写真は授業を終えてからEGG DOMEで開催した交流会の様子
年に複数回は、学年をまたいだ交流の機会を設けている(2020年は中止)。写真は、春休みの合同合宿でのグループ研究の成果発表
3年次以降のゼミ活動は、理論から実践の段階に入ります。例年であれば、現地調査に出向いて当事者の声を聞いたり、ボランティア活動に参加するなど、フィールドワークが活動の中心。そのため、ウィズコロナの対策が検討されています。
「2020年は合宿や上級生との合同行事も中止になり、人との交流がかないませんでした」と語るのは、ゼミ長の須賀さん。「社会福祉では現場の声を聞くこと、いい人間関係を築くことが大切です。これ以上、交流の機会が失われることのないように、感染症予防に気を付けながらも、今できることを考えていきたい」と、これからの活動に期待を寄せます。
※今回はオンラインで取材しています。
写真は昨年以前の活動の様子です
(初出:広報誌『法政』2021年 3月号)
- 現代福祉学部福祉コミュニティ学科 伊藤正子教授ゼミ
伊藤正子教授
須賀大輔さん(ゼミ長)
関口奈々さん
高島楽さん
飯田侑加さん
門口紗也さん
※全員、現代福祉学部福祉コミュニティ学科2年
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