言語は世界を開く鍵。日本文学をウズベキスタンに広めたい
交換留学生 国際文化学部国際文化学科3年
Kosimova Gulnorakhon(コシモワ グルノラホン) さん
スピーチコンテストにて、最優秀賞受賞の喜びを語るグルノラホンさん
Discover Japanの合宿で訪れた富士浅間神社にて。前列右から2番目が本人
観光で訪れた鎌倉の江島神社にて。趣味であるカメラを通じて、見知らぬ人にも積極的に話し掛け、日本人との交流を楽しんでいる
「言語は世界を開く鍵。その思いをスピーチに込めました」と、6月に本学で開催した第34回留学生スピーチコンテスト(※1)を振り返るのは、「言語のゴール」の題で最優秀賞を獲得したコシモワ グルノラホンさん。ウズベキスタン・タシケント国立東洋学大学(以下、タシケント大)からの交換留学生として、昨年9月から本学で学んでいます。
※1 国際交流サークル・Hi-C Orange主催、本学グローバル教育センターと法政大学後援会後援で開かれるスピーチコンテスト。今年は5つの国と地域から10人の留学生が出場した。
文化・習慣に基づく"生きた言語"を学ぶために
NHK連続テレビ小説「おしん」がウズベキスタンで放送されていたことから、日本文化に興味を持ったグルノラホンさん。日本語コースのあるタシケント大に入学し、より深く学びたい、と留学を決めました。
「タシケント大が提携している日本の大学は他にもありましたが、留学するなら法政大学にしようと決めていました。日本に留学経験を持つ先輩方の中でも、法政に留学した方々がとりわけ優秀で、私も先輩方のように成長したいと思ったからです」
来日当初は『おしん』から抱いていたイメージと現代の日本とのギャップに多少驚きがあった、と苦笑いを浮かべるグルノラホンさん。勉強熱心な学生と共に学んでいく中で現代日本もすぐに好きになった、と言います。
「特に手応えを感じたのは、Discover Japan(※2)という留学生と日本人がグループになって与えられた課題を調査する授業です。課題を通じて日本を知ることができましたし、調査しプレゼンテーションするプログラムは研究力を養ってくれました。調査で日本のビジネスパーソンに直接インタビューしたことも、貴重な経験になりましたね」
この授業は、専門である日本語の考察もさらに深めてくれた、と言います。
「会話する中で相手との距離感がわかるようになりました。日本の文化・習慣に基づいた"生きた日本語"を肌でつかめるようになったからです。
言語は言葉が表す意味だけでなく、その時代背景や文化・社会も反映されています。特に日本語はウズベク語や英語と異なり、謙譲語や尊敬語のほかにウチとソトといった別もある。日本語の奥深さを知れば知るほど、ますます関心が強まっています」
※2 Discover Japanは交換留学生受入れプログラム(ESOP)の一つとして、交換留学生と本学学生が協働で日本社会文化を調査する過程で、互いの国や文化を理解し交流を深めることを目的とした授業。最終回は本学富士セミナーハウス(山梨県)で合宿をし、調査結果の発表と周辺各地のフィールドワークを行っている。
日本文学をウズベキスタンに
「ウズベク人の特徴は、すぐに人と仲良くなれること」と言って笑い、語学習得を兼ねて観光で訪れた場所でも面識のない日本人と積極的に交流してきたグルノラホンさん。来日中はここでしかできないことをしたい、とスピーチコンテストにも参加しました。
「言語はツールではなく世界を開く鍵である、というのが、私が来日後に改めて感じ、スピーチコンテストでも発表したことです。私の言う"世界"とは、雰囲気。会話なら相手とその時その場だけで作られる雰囲気、文学なら作品が醸し出す雰囲気まで感じられてこそ、見える世界があるからです。そのためには言語習得において文化や習慣も体得しなければならない難しさがありますが、留学し"世界"を感じられるようになったことは、人間としての成長も促してくれました」
8月の留学期間終了を控え、タシケント大を卒業したら大学院生として法政に戻ってきたい、と思いを新たにしています。
「将来、翻訳家になって夏目漱石の『吾輩は猫である』のような独創的な日本文学を、私なりに作家へ思いを寄せ、ウズベク語で紹介するのが私の夢です。作家の幸せは良い翻訳家を見つけること、と言われるほど重要な存在。文学分野で強みを持つ法政大学の大学院で、日本文学もしくは表現史の理解を深めたいと思っています」
帰国までの残りの日々、グルノラホンさんは図書館を利用し、さまざまな文学作品の原作に触れることも大切にしています。
<関連リンク>
「第34回留学生スピーチコンテスト」(「動画で見る法政大学」2015年7月21日掲載)
http://www.hosei.ac.jp/koho/doga/2015/150721.html
「第34回 留学生スピーチコンテスト開催」(「法政フォトジャーナル」2015年7月1日掲載)
http://www.hosei.ac.jp/koho/photo/2015/150701.html
- 交換留学生 国際文化学部国際文化学科3年
Kosimova Gulnorakhon(コシモワ グルノラホン) ウズベキスタン・タシケント国立東洋学大学からの交換留学生として、昨年9月から1年間本学に留学しているグルノラホンさん。最優秀賞を獲得した第34回留学生スピーチコンテストでは、言語はツールではなく世界を開く鍵、という思いを語った。
<学生インタビュー>新着記事
<学生インタビュー>
バックナンバー
全ての記事を見る▼
NEWS
- 2024.11.12 法学部の廣瀬・土山ゼミの学生が「公共政策フォーラム2024 in 会津若松」 において日本公共政策学会長賞(最優秀賞)を受賞しました
- 2024.11.8 理工学研究科の在学生が第8回抗酸菌研究会で第8回抗酸菌研究会奨励賞を受賞
- 2024.11.7 法政大学が「SDGs WEEKs 2024」「DIVERSITY WEEKs 2024」を11月18日(月)〜11月30日(土)に開催 無料生理用品配布の試行など20以上のプログラムを実施
- 2024.11.1 2025年4月入学希望者対象 チャレンジ法政奨学金について
- 2024.10.29 法政大学江戸東京研究センターの研究プロジェクトが2024年度 三菱財団 人文科学研究助成(大型連携研究助成)に採択されました
- 2024.10.25 プロ野球ドラフト会議で篠木健太郎選手が横浜DeNAベイスターズから2位指名、山城航太郎選手が北海道日本ハムファイターズから6位指名
- 2024.10.25 ソフトテニス部総長表敬訪問
- 2024.10.23 都市環境デザイン工学専攻の学生が学術講演会優秀講演者として表彰されました
- 2024.10.17 陸上競技部長距離駅伝チームが第36回出雲駅伝で第9位
- 2024.10.11 【DEIセンター × SASH企画】無料生理用品&自動開閉式サニタリーボックス設置を試行実施します
- 2024.10.4 法政大学植木教授の共同研究グループがボルボックス目藻類の多細胞化進化とレイノルズ数の連関を発見
- 2024.10.1 「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に採択されました(経営学部 木村 純子 教授)
- 2024.9.27 湯澤規子教授がNHKラジオ第二 カルチャーラジオに出演されます
- 2024.9.26 法政大学が工学院大学附属中学校・高等学校との高大連携事業に関する協定締結式を行いました
- 2024.9.25 2023年度の研究・教育活動に対する受賞・表彰者の紹介(一覧)
- 2024.9.23 2024年秋季入学式を挙行しました
- 2024.9.23 2024年9月卒業・学位記交付式を挙行しました
- 2024.9.19 2024年度多摩オープンキャンパスで40周年記念ロゴマークおよび缶バッジを作成しました
- 2024.9.14 2024年秋季入学式 総長式辞
- 2024.9.14 2024年9月卒業・学位記交付式 総長告辞
- 2024.8.22 本学出身の小松原美里選手がパリオリンピック会場で北京2022大会フィギュアスケート団体銀メダル授与式に参加しました
- 2024.8.20 パリ2024オリンピックフェンシング団体種目で金銀銅メダル獲得 (男子フルーレ金 敷根崇裕選手・男子エペ銀 見延和靖選手・女子サーブル銅 福島史帆実選手・髙嶋理紗選手・尾﨑世梨選手))
- 2024.8.8 高大連携事業『人馬のウェルビーイング for 協定校』を開催しました
- 2024.8.7 法政大学関係者のパリ2024オリンピック・パラリンピック競技結果
- 2024.7.26 パリ2024 オリンピック・パラリンピック競技大会出場者壮行会(動画)
- 2024.7.24 お笑いサークル現役生と一緒に、マヂカルラブリー・村上さんにお話を聞きました(動画)
- 2024.7.16 デザイン工学研究科システムデザイン専攻 博士課程2年の清宮普美代さんと姜理惠教授が International Council for Small Business 2024でBest Paper Awardを受賞
- 2024.7.10 理工学研究科の在学生がThe 21st Biennial Conference on Electromagnetic Field ComputationでBest Student Presentation Awardsを受賞
- 2024.7.5 市ケ谷キャンパスで「パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会」の壮行会を開催
- 2024.7.4 法政大学島野教授の研究チームがブータンに生息する絶滅危惧種シロハラサギの人工孵化・育雛に成功