水中演技を仲間と作り上げていく一日一日を
大切にしていきたい
スポーツ健康学部1年 シンクロナイズドスイミング 河野みなみ(こうのみなみ) 選手
5月の日本選手権にて(写真左)。デュエットの他にも2種目に出場し、コンビネーション2位、チーム2位にも貢献した
昨年、フリーコンビネーションで金メダルを獲得したフィンランド・ヘルシンキでの「第14回世界ジュニア選手権」にて(中列右)。河野選手はチーム種目にも出場し、2位を獲得した
練習の合間には友人とスイーツ店巡りをしたり(写真中)、映画鑑賞を楽しむことも
座右の銘は「限界は自分で決めるものではない」と話す河野選手
身長は、念入りに体を整えて、163cm。シンクロナイズドスイミング(以下、シンクロ)日本代表の選考基準165cm(※)を下回る小柄な体格ながら2014年に代表入りを果たし、今年度、国内外の大会でメダルを獲得。11月のリオ五輪代表最終選考会では身長による減点分で惜しくも五輪代表入りは逃したものの、実力は五輪代表に匹敵する高さを見せつけているのが、スポーツ健康学部1年の河野みなみ選手です。
「大学進学を機に辞める選手も少なくない中、続けることを選びました。良い結果を出せているのはうれしく感じています。ただ、ここまでの結果を出せるとは思ってもみなかったので、まだ実感がわかない、というのが正直な気持ちです」
※日本代表の選考基準は身長に関わる項目が設けられており、165cmを基準値に、1cm下回るごとに1点減点される。
日本選手権を皮切りに国際大会へ
音楽に合わせた水中演技を、2分20秒前後にて技術完成度や同調性で測るテクニカルルーティンと、3分前後での自由な表現力によるフリールーティンとの合計点で競うシンクロナイズドスイミング。人数別にソロ(1人)、デュエット(2人)、チーム(8人)、コンビネーション(10人)の4種目あり、河野選手は今シーズン、オリンピック種目として採用されているのと同様、デュエットとチームの2種目を中心に出場しています。
今年5月の日本選手権を皮切りに、6月のスペインオープン大会、8月の日本シンクロチャレンジカップ入賞。今年10月に行われた2016年リオ五輪代表選考会の2次選考では、前回オリンピック出場選手10人に僅差で続く11位にランキングし、一部のメディアからはリオ五輪代表入り予想も報じられました。
「きっかけとなったのは5月の日本選手権です。この成績が認められ、スペインオープンとリオ五輪代表選考会に出場できました。気持ちの上でも、良い波に乗れたように感じています。日本選手権は、小学生のころからデュエット競技でペアを組んでいるパートナーと中学時から出場し、入賞したいと取り組んできた大会。日本代表といっても私たちはBチームと呼ばれる、五輪に出場するAチームが出場しない国際大会に参加するチームに所属していますが、Aチームの選手もいる中で3位に入賞できたからです」
今シーズンのデュエット種目フリールーティンのテーマは"ロボット"。「前のシーズンは"和"がテーマだったので、今回はコミカルに演じたくて決めました。デュエット種目はシンクロにおいては個人種目と位置づけられ、少人数のため個人の細かい技まで注視されます。素早くポーズを決めて留まるようなシャープな動きは苦手ですが、バタ足のように早い動きは得意。曲の盛り上がる中盤に取り入れ、生かすようにしました」
仲間と作り上げていく過程が充実した日々に
シンクロを始めたのは小学校1年生。「母の影響で2歳から通い始めた水泳教室が、たまたま全国でも数少ないシンクロを併設している"アクラブ調布"で、小学1年時のシンクロか競泳かのコース選択で、当時日本代表がオリンピックでメダルを獲得していた活躍ぶりに影響されてシンクロを選びました」
練習は週6回。平日3時間、休日8時間、スタジオで筋トレとストレッチをした後、競泳をし、垂直姿勢などの基礎練習を行ってから音に合わせた振り付けを行っています。
「練習はハードですし、他の女の子のようにネイルなどを楽しみたい気持ちはありますが、シンクロを辞めようと思ったことは一度もありません。アクラブ調布では選手自身が振り付けや音楽を決めていて、パートナーと無料動画配信ツールでイメージに合う曲を探し、全体構成や振り付け、表情などを話し合い、練習中も映像撮影し動きを確認しながら仕上げていく----。1つの目標に向かい皆で作り上げ、成果として認められる達成感は他に代えられない喜びなのです」
幼い頃から各大会で入賞しながらも、趣味として続けてきたシンクロを競技として本気でとらえ直したのは、実は最近だと河野選手は話します。
「高校3年だった昨年、大トリを務めた世界ジュニア選手権のフリーコンビネーション種目で金メダルを獲得しました。2位のロシアとの得点差はわずか0.1。それでも、世界の強豪と言われるロシアを制し、勝てたことは大きな手応えとなりました」
スポーツへの理解をより深めたいと、今年4月に本学スポーツ健康学部に入学。「解剖学や運動学など、授業ではシンクロにも直結する多くの学びを得られていますが、それ以上に法政のスポーツ健康学部を選んで良かったと思うのは、もう一つの入学理由でもあった在学生の多彩さです。各競技の世界的試合で活躍する選手が多くいて、話をするだけで刺激をもらえます。最近、東京五輪の出場を目指しているのか尋ねられるようになりました。もちろん出場できたらいいですが、毎日の積み重ねの延長線上にオリンピックはあると感じています。シンクロの選手生命は長くても20代後半まで。いつか辞める時が来たら満足してその日を迎えられるように、日々を大切にしていきたいと思っています」
12月11日(金)~13日(日)に中国・紹興で開催予定の「第10回FINAワールドトロフィー」では、トップの成績で日本代表派遣選手に選出され、出場予定の河野選手。「自分の役割がしっかり果たせるように頑張りたいと思います。応援、よろしくお願い致します」
- スポーツ健康学部1年 シンクロナイズドスイミング 河野みなみ(こうのみなみ)
シンクロナイズドスイミングの日本代表選手として活躍する河野選手。「世界的大会で活躍する選手もいる法政大学スポーツ健康学部での学びは、シンクロに直結するさまざまな学びと刺激があります」
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