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正岡子規生前の思いや考え方に触れられる貴重な資料をウェブ上で公開

イメージ漢文の短編小説集「古今小説」

イメージ自筆ノート「日本歴史」の表紙。左側の「正岡 常規」は子規の本名

2017年10月、法政大学図書館は正岡子規文庫のデジタルアーカイブをリニューアルしました。新たな「法政大学図書館デジタルアーカイブ」では、生誕150年を迎えた明治を代表する俳人・正岡子規の自筆ノートや蔵書など236点(うち新規公開は141点)を公開しています。

本学図書館が所蔵する「正岡子規文庫」は、子規の門人であり、子規の没後も東京・根岸の子規庵で遺品を守り続けていた寒川鼠骨(そこつ)を介して、1949年に寄贈されたものです。

俳諧や漢詩文、絵画関係、英文の書籍など、子規庵にあった和洋中の蔵書コレクション2118点がそろい、子規の資料としては内容も点数も国内最大を誇るもので、子規関連の博物館などからも展示用に貸し出し依頼が寄せられています。

デジタルアーカイブで公開している資料のうち自筆資料は19点で、その半数以上が学生時代の自筆ノートです。ページには赤線が引かれたり、説明図が描かれたりしており、子規が自然科学や歴史に関心を寄せていたことがうかがえるほか、当時の講義内容を知ることもできます。

蔵書のうち特に貴重な資料としては、馮夢竜(ふうぼうりゅう)の『古今小説』が挙げられます。これは明代後期( 17世紀前半)に中国で出版された書籍で、当時流行していた口語調の短編小説を編さんしたものです。この題で現存しているのは、判明している限り本学図書館を含め3点という稀覯本(きこうぼん)です。刷りもよく、原本のくっきりした細い線には目をみはるものがあります。

イメージ 学生時代の「自然科学ノート」

同じく元禄期の小句集『大三物(おおみつもの)』もこの年のものは他に存在が知られていません。この句集が制作された元禄2(1689)年は、松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅に出た年で、当時の俳諧を知る上でも大変貴重な資料です。

2017年秋には本学教員らを中心とする子規文庫デジタル化推進チームが発足しました。今後は子規文庫の貴重な資料を世に広く公開するために、デジタル化推進チームにより電子化する資料を選定し、作業を続けていく予定です。

イメージ 「梅謙次郎文書」も公開している法政大学図書館デジタルアーカイブ

本学の所有する貴重な資料を、誰もが閲覧できるデジタルアーカイブとして公開することで、学内外で思わぬ発見や新しい出合いにつながることが期待されます。

取材協力:中丸宣明文学部日本文学科教授、小林ふみ子文学部日本文学科教授、法政大学図書館
法政大学図書館デジタルアーカイブ

(初出:広報誌『法政』2017年度1・2月号)