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よみがえる宮古島の祭祀(さいし)〜池間・佐良浜の神願い(カンニガイ)〜法政大学沖縄文化研究所創立50周年記念展示

イメージ渡名喜島の伝統的民家。しっくいで固められた赤瓦の屋根、家の正面に配されたついたての「ヒンプン」が特徴(1987年)

沖縄県は、東西約1000キロ、南北約400キロの広大な海域に、沖縄諸島、先島諸島(宮古・八重山)、大東諸島に分かれて約160の島が点在しています。このうち約40の有人島では、それぞれの自然環境と歴史によって、特徴ある文化が育まれてきました。

法政大学沖縄文化研究所では、1972年の創立以来、沖縄の離島研究に取り組んできました。代表的な研究プロジェクトに、久米島、久高島、渡名喜島などに関する言語・文化・社会の総合的研究があります。調査の際に撮影された島の景観、建物などの写真は、当時の島々の様子を今に伝える貴重な記録となっています。

このほか同研究所では、国内研究員の加藤久子氏が民俗学調査の際に撮影した写真をデジタル化し、保存しています。加藤氏の調査・研究の中心は沖縄の漁村で、代表的な著作『海の狩人 沖縄漁民―糸満ウミンチュの歴史と生活誌』は沖縄タイムス出版文化賞を受賞しています。また、沖縄本島を代表する「ウミンチュ(海人)」である糸満漁民と対比する形で、宮古・池間島や伊良部島佐良浜の調査にも取り組んできました。

イメージ池間島の祭祀「ユークイ」で、拝所を巡るツカサンマたち(1985年)

イメージ伊良部島佐良浜の「カーニガイ(井戸願い)」。カー(井戸)へ降りる急階段の途中で祈願するツカサンマたち(1993年)

池間島では、かつて年間50近くの祭祀が行われ、人々の生活と深く結び付いていました。それらの祭祀を担っていたのが、「ツカサンマ(司母)」という女性の神役たちです。ツカサンマは、聖なる存在として権威を与えられる一方で、個人の生活が大幅に制限されることもあり、近年は辞退者が多く不在となっていましたが、池間では今年6年ぶりに誕生し、祭祀継承の模索が始まっています。

伊良部島の佐良浜地区は、18世紀に池間からの移住者により村む ら だ 建てされました。そのため、多くの祭祀が池間の影響を受けていますが、異なるやり方で行われるものもあり、二つの地域がたどってきた歴史の影響が見られます。残念ながら現在は神役が選出されておらず、ツカサンマによる祭祀は行われていません。

沖縄文化研究所創立50周年記念展示では、80〜90年代に加藤氏が撮影した池間・佐良浜の祭祀の写真を展示します。池間の「ユークイ(豊穣祈願)」や、佐良浜の「ムズビューイ(収穫祈願)」「カーニガイ(井戸願い)」など、長らく途絶えてしまっていた「神願い」の姿を今によみがえらせます。

取材協力:法政大学沖縄文化研究所 HOSEIミュージアム事務室

(初出:広報誌『法政』2022年5月号)