通信教育部関係資料
日本で最初に開設された 通信教育部70年の歩み
法学部に加えて経済学部と文学部が開設された1948年10月当時の通信教育部入学案内
現在、国内外の約6000人が学んでいる法政大学通信教育部は、1947(昭和22)年7月に日本で最初の大学通信教育課程として設置され、同年10月に開講しました。戦後の混乱期に他大学に先駆けて開設できたのは、既に本学の前身である東京法学校時代から「中央法学会」という通信教育制度の礎があったためです。それでも、創設に際しては、当時日本の占領政策を実施していたGHQ(連合国軍総司令部)のCIE(民間情報教育局)との交渉、テキスト用の用紙不足などさまざまな問題がありました。
当時、向学心を持ちながら学問の機会を持ち得なかった人がどれだけ多くいたかは、新聞の学生募集広告に2万もの入学案内請求があった事実に現れています。募集人員5000人に対する入学許可者は3896人、当時の入学金は100円、講座料は年間1500円(テキスト料を含む)でした。
教員が直接授業を行う「面接授業(スクーリング)」は、「大学通信教育基準」で30単位の取得が義務付けられ、野上豊一郎総長(当時)も当初からこれを重視していました。
1948年8月2日から10日にかけて行われた第1回夏期スクーリングには、当時の食糧・宿泊事情から、校庭で飯ごう炊さん、教室の机にゴザを敷いて宿舎代わりにするなど過酷な環境にもかかわらず、全国から約700人が参加しました。そして1952年3月、社会人として働きながら「目的を達せんとする強き意志を持つ」185人が、第1期の通信教育課程の学士として卒業したのです。
大学と学生を結ぶ『法政大学通信教育部報』(右)はその後改題して『法政通信』(左)に
1950年からは通年(夜間)の、1960年からは冬期のスクーリングが加わり、30周年の1977年には青森県十和田湖畔で初の地方スクーリングが実施されました。2000年以降もインターネットを利用したメディアスクーリング、週末スクーリングなど選択の幅を広げています
1997年に創設50周年を記念してクルーズ船を貸し切って行われた洋上スクーリング
学生たちも1949年に全国に自主的な「学習会」を結成。1958年12月に創刊された『学習会報』(現『オレンジ通信』)などを通じて活発な情報交換や交流を行っています。
2017年に創設70周年を迎える通信教育部は、これからも「いつでも、どこでも、だれでも」学べる教育機関として、「働きながら学ぶ」はもちろん、近年需要が高まっている「生涯学習」や「社会人の学び直し」など幅広く人々の向学心に応えていきます。
出典:「HOSEI MUSEUM Vol.86」
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