焼け跡から創られた新制・法政大学
1945年9月25日の卒業式(学位授与式)の答辞。「興 国ノ責務」「報国ノ誠」など戦前・戦中期の言葉遣い が随所に見られる一方、戦後の復興に向けた決意も示されている
同卒業式(学位授与式)の式次第。戦前・戦中期と 同様に「宮城遙拝」で始まっている
戦前の富士見校地。中央は1921年竣工の旧第一校舎
焼け跡に戻ってきた学生たち
日中戦争以前は、大学生(学部生)の兵役は27歳まで猶予されていました。しかし、兵力不足から1941(昭和16)年に修業年限が短縮され、大学生の課程は3年から2年6カ月になります。これに伴い、卒業式(学位授与式)も9月に早められます。
さらに、1943年10月には大学生の徴兵猶予措置が撤廃され(理工系等は入営延期)、20歳に達した学生らの学徒出陣が始まります。全国の大学から出征した学生は10万人規模と言われており、最新の調査によれば、本学からも終戦までに3395人が戦地に赴きました。
米軍による本土への爆撃は終戦まで続き、1945年5月25日から26日にかけての空襲では、木造の第一校舎と第二校舎が焼失。六角校舎や第三校舎は残ったものの、辺り一面が焼け野原になりました。
法政大学史センターには、終戦の翌月に行われた、戦後初の卒業式(学位授与式)の式次第と卒業生総代の答辞が残っています。宮城(皇居)遙拝など、戦前・戦中と同様の儀式が続けられた一方で、答辞の言葉には終戦への複雑な感情がにじみ出ており、戦争終結直後の混沌とした状況がうかがわれます。
学生たちによる大学再開に向けた運動を受けて、11月には図書館の閲覧利用が再開。校舎で講義・演習が再開されたのは、翌年の4月のことでした。
1946年2月に学長に就任した野上豊一郎(後に総長)は、戦時中に休刊となった『法政大学新聞』の復刊第一号(1946年10月10日)で、「諸君は裸一貫で出直す覚悟が必要である」と述べ、「理知を研(みが)き正しい批判力」を持った主体となろう、と学生の内面に深く問いかける叱咤激励の一文を寄稿しています。そして、この年から段階的に進められた学制改革により、1949年4月、法政大学は「新制大学」としての新たな一歩を踏み出しました。
本学では、2012年から5年間にわたり、学徒出陣も含めた戦時下の歴史を正確に記録し、次代に伝える調査プロジェクトを実施しています。その成果は『法政大学と出陣学徒』(上下巻)として刊行されます。
取材協力:法政大学史センター
(初出:広報誌『法政』2017年度10月号)
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