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読売新聞オンライン タイアップ特集
上智大学の考える未来

SDGs達成への貢献、環境問題、人道危機、経済格差、国際紛争など地球規模の課題解決のため、多様な価値観を受け入れ、グローバルな視野でこれからの未来を目指すために、上智大学が果たすべき役割とは何か。そこで「上智大学の考える未来」をシリーズで紹介する。

あらためて「上智らしさ」が見えてきた ~教職員・学生による企画で大切な110周年の節目~ あらためて「上智らしさ」が見えてきた ~教職員・学生による企画で大切な110周年の節目~

あらためて「上智らしさ」が見えてきた ~教職員・学生による企画で大切な110周年の節目~

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上智の過去・現在・未来と向き合う機会に

青空に風船が舞い上がった

110回目の創立記念日を間近に控えた2023年10月6日、東京都心の本学・四谷キャンパスから色とりどりの風船が、気持ちよく晴れ渡った空へと舞い上がりました。記念イベントのひとつ、「バルーンリリースセレモニー」です。

100周年の際は、大学の長い歴史を振り返り、困難も乗り越えて存続・発展してきたことを祝う大規模なイベントを開催しましたが、「新たな100年に向かう最初の節目となる今年にふさわしい企画とは?」と話し合うなかで、職員からの発案で形になった企画のひとつがこのバルーンリリースでした。セレモニーの運営も、職員有志が担当。「バルーン業務安全管理士」(日本バルーン協会)の指導の下で、自然分解される天然ゴム100%の風船と紙ひもを使用するなど、環境には十分配慮して実施しました。

予想を上回る1,000人あまりの参加者は、110年目の上智大学という時間と場所を共有した体験を印象深く心に刻んでくれたのではないでしょうか。110年を振り返ることは、私たちのルーツ、アイデンティティ、そして精神を再認識すること。これをきっかけに今日の上智を作り上げてきた多くの卒業生や教職員の先達の努力や活躍に心から感謝し、110年間の上智の歴史とミッションに誇りを持ってほしいです。その誇りは自信となって、今後学生・教職員の皆が取り組む挑戦の希望になると思います。

そのほかの110周年関連企画も、ほとんどが教職員や学生からの自主的な提案がもとになっており、いずれもにぎやかなお祭りのようなものではありません。

たとえば、創立記念日(11月1日)の記念式典のプログラムとして開催した、本学の難民問題への取り組みを考える講演会や、本学の伝統であるボランティア活動に着目した手話体験のワークショップ。これらは、建学の精神や教育理念をあらためて見直す貴重な機会となりました。

学生が考案した110周年記念ロゴ

そして、「学生と考える、上智大学の創立110 周年企画」では、2022年の同プログラムにおいて学生・教職員が協働で考案した60あまりのアクション・プランを、さらにさまざまなひとの手を経てブラッシュ・アップしていきました。より具体化されたアクション・プランには「ソフィアンくんのマスコットを活用した国際広報展開」や「ソフィアワインの製造を通じた交流の場創造」、「古本棚の設置による資源と知識の共有化」など「上智らしさ」が感じられ、今後上智大学フューチャーセンタープロジェクトのメンバーを中心に、最終的な実現まで進められていきます。

また、プログラム「働き方から上智を考える」では、教職員20数名が「働き方」を切り口に、課題を共有し、"将来の上智"を全員で考える機会を設けました。「傾聴と信頼」をキーワードに、互いを尊重し、和やかな雰囲気の中でディスカッションを行い、その結果は、同月下旬に開催する教職員交流会の中で、更に議論を深めることとしています。このような活動を通じて、更なる組織の活性化を目指していきます。

こうしてみると、本学の過去・現在・未来のそれぞれと向き合う企画が、期せずしてバランスよく揃ったなと感じます。上智らしく、また110周年らしいラインアップになったのではないでしょうか。

困難から学んだ10年間

インタビューに答える永井副学長

改めて振り返ると、上智大学は100周年以降の10年間に、かつてない試練に直面しそれを克服するという経験を、その歴史に新たに刻み込みました。試練とはむろん、本学だけでなくすべての大学を襲ったコロナ禍、COVID-19です。

感染症のために1年以上もの間、学生がキャンパスに足を踏み入れることすら難しい事態のなか、できる限り学業が継続できるよう、オンラインの設備と仕組みの整備・充実を急ぎました。このことは結果的に、本学の元々の強みである海外の数多くの協定校等とのネットワークとあいまって、コロナ禍終息以降、将来に向けて、オンラインと対面それぞれのメリットを組み合わせた学び方や、教育の多様性の開発につながることになりました。

また、私はフランス文学科で教えると同時に、学生総務担当副学長という役職に就いており、学生の学業以外の活動や生活の支援、中でも学生の心身の健康の管理は重要な責務です。コロナ禍による行動制限は、学生の心の健康にもかなりの影響がありましたが、本学ではカウンセリングも、希望に応じてオンラインで受けられるようになりました。

2022年の「ウェルネスセンター」の開設も、最近の重要な改革のひとつです。保健部門とカウンセリング部門の連携も強化され、英語以外に中国語によるカウンセリングにも対応しています。相談業務をはじめ、より利用しやすく総合的なサービスを提供できるよう、現在も整備を続けています。

上智だからできることを未来につなげる

コロナ禍では、私自身に大きな気づきもありました。ご存じのようにアフリカにはフランス語を話す人も多いので、いくつかの国に私の友人がいます。日本など先進諸国で、いよいよこれからウイルスがアフリカ大陸に蔓延して大変なことになるのではないかと懸念していたころ、彼らは冷静でした。考えてみれば当然のことでした。日本人が前代未聞とあわてふためく感染症の流行に常時向き合いながら、生活や仕事を続ける彼らの工夫と努力からは、学ぶことが多いです。

学生ボランティア団体が運営に協力し防災関連イベントを実施

翻って、災害大国・日本に住む私たちは、こと防災に関しては豊富な知恵を蓄えています。そしてその中には歴史や文学など、一見防災とは無関係な文系の資料に埋もれているものも少なくないでしょう。それらを掘り起こし、理系の技術と組み合わせる学融合的な研究などは、ほとんどの学部学科と大学院専攻がひとつのキャンパスに集約されている本学の得意とするところです。

110周年を迎えた今、そのような日本ならではの、そして上智ならではの成果・知見を前述のオンラインのインフラとグローバルなネットワークを通して発信し、社会にそして地球に貢献していく準備が、ずいぶん整ってきたように思います。しかも、そのために必要なさまざまなアイデアが、教員はもちろん学生や職員からも自然に出てきて、どんどん形になっていくに違いない。それが、記念事業の企画・実施に関わってきて得た実感です。先人からバトンを受け取った私たち皆が力を合わせて、上智大学の未来を描いていきたいと思います。

2023年12月4日 掲出

永井 敦子(ながい あつこ)上智大学 学生総務担当副学長

1961年東京都生まれ。
1984年上智大学文学部フランス文学科卒業。1987年同大学大学院文学研究科博士前期課程フランス文学専攻修了。1989年同研究科博士後期課程フランス文学専攻中途退学。
博士(文学)(1995年フランス・アンジェ大学)。
1989年岐阜大学教養部助手。1997年上智大学文学部フランス文学科助教授、2003年同教授、現在に至る。
2021年上智大学学生総務担当副学長に就任、現在に至る。
専門は20世紀フランス小説、特にジュリアン・グラック、アンドレ・マルローなど。シュルレアリスム。

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SOPHIA ONLINE「上智大学を知る」タイアップページ 2014年4月〜2017年3月掲載分 各界で活躍する上智大学卒業生
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