札幌市立大倉山小学校 6年
祖母は料理が上手だ。中でも、正月に必ず作ってくれる筑前煮は絶品中の絶品。かつおだしの陰に、ほんのりと香る野菜のだしは、味わい深く、記憶に刻まれる。だしがしみ込んだとり肉はつまみ食いが止まらない。どうしてこの味になるのか。私は不思議でたまらない。母も挑戦するのだが祖母の味とは少し違う。しかしそんな母だったが最近、祖母の筑前煮には「かくし味」にごま油が入っていることを知ったそうだ。でもそれだけではこの味にはたどり着けないだろうと私は思う。今は祖母の筑前煮を食べているだけの私だが母のように祖母の味を研究する日が来るのかと思うとなんだか待ち遠しく感じる。
祖母に負けないくらい料理上手な人がいる。祖父だ。祖父は元々、料理をする人ではなかった。だが、あることがきっかけで料理を始めた。そして定番料理となったのがとり肉と野菜のピリ辛煮。これは最強に辛い。とにかく辛い。唐辛子何個か聞きたくなるほどだ。それからこれも祖母と同様、野菜のだしがよく効いている。とり肉も煮汁ごと吸いつくしてしまいたいほどだ。しかも祖父はこれを一回に三キロも作るという。そして三十キロ離れた私の家まで運転して持ってきてくれる。私は嬉しくてその煮物を辛い辛いと言いながらパクパクとたいらげてしまう。それを見ている祖父は満面の笑みだ。
そんな祖父母たちだが、実は別居中。こんな状況ではあるが何よりも祖母も祖父も元気でいてくれることが私は一番嬉しいし、誇らしくも思う。そして、二人の料理に共通点が多いことは孫が知る二人の秘密として知っておこう。だからこそ私は祖父母の味をどちらも引きつぎたいと思っている。