智辯学園和歌山小学校 3年
「ねー、琉ちゃん、一口ちょうだい。」
「えー、瑛ちゃんも新しいの開けて食べたらいいやん。これ、おれのやし。」
これは、ぼくとお兄ちゃんがよくするやりとりです。
ぼくは、カップのアイスクリームやスティックのアイスクリームを一人で食べ切ることができません。だから、食べたいときは、お兄ちゃんが食べているアイスクリームを少しもらいます。お兄ちゃんは、どんなアイスクリームも一人で最後まで食べられるので、ぼくが、一口ちょうだいと言うと、いつも、
「えー、瑛ちゃん新しいの開けて食べたらいいやん。これ、おれのやし。」
と、言います。もう一回ぼくが、一口ちょうだいと言うと
「もー、しゃーないなー、かわいいからあげるわ。」
と、言って一口くれます。ぼくは、一口かじって美味しくて笑顔になります。それを見たお兄ちゃんも、美味しいよなーと言いながら笑顔になります。
「もう一口食べるか?」
と、お兄ちゃんが聞いてくれて、ぼくは、さっきより少し大きく口を開けて、アイスクリームをかじります。ぼくの一口が大きくて、あっ!っとおどろいた顔をしているお兄ちゃんを横目で見ながら、ぼくは、笑顔で口の中のアイスクリームを楽しみます。ぼくとお兄ちゃんを見ていたお母さんが、
「自分で好きなアイスえらんで食べたらいいやん。残ったらお母さんが食べてあげるよ。」
と、ぼくに言うけれど、ぼくは、お兄ちゃんのアイスクリームを少しもらって食べるのがよかったので、そのまままた一口もらいました。自分が好きなアイスクリームを食べるのもいいけれど、お兄ちゃんと二人で一つのアイスクリームを食べていると、なんだか楽しくて幸せな気持ちになるので、ぼくは、今日も、お兄ちゃんに一口ちょうだいと言います。