越谷市立千間台小学校 4年
五年前、保育園の行事でいねかりに参加した。お米で有名な新潟県魚沼市にある田んぼへ、一泊二日で行った。保育園の給食の白米にここのお米が使用されていた関係で、毎年行われている行事だった。
年中で初めて参加したぼくは、出発するバスの中で、田んぼの広さはどれくらいなのだろう、いねをかるのはどんな感触なのだろう、などと考えてすごくわくわくしていた。しかし、あいにくの天気で雨がふってきた。それでも、予定通りバスをおり、先生は田んぼを目指してくれた。しかし、ますます雨が強くなって田んぼを見られないまま、いねかりは中止となってしまった。とてもくやしかった。
その日の夜のことだ。夕飯にだしてもらった白米を口にしたとたん、ぼくは、はっとした。いつも給食で食べているお米と同じはずなのに、ものすごくおいしかったのだ。思わず、「おいしい」と声がでた。そのホカホカな白米は、食感はモチモチ、味はあまく口の中でとろけるみたいだった。いつも家では、おかずばかりを食べて残してしまう白米だが、この時ばかりは、全て食べてしまった。
その白米は、とても大きなかまどでたかれたものだった。たいてくれた農家の人は、火にまきを入れて火かげんを調せつしていて、とてもかっこいいと思った。いねかりができなくてくやしかった思いなど、ぶっ飛んでいった。雨でぬれて冷えきっていた体は、一気に温かくなったのだった。
今ぼくは、畑の手伝いをしている。かっこいい農家になりたいからだ。食べた人が、あの時のぼくのように、「おいしい」と言って温かい気持ちになる作物をつくれるようになりたい。そして、みんなが笑顔になってくれたらうれしい。あの雨の日の体験が、ぼくの将来の夢につながっている。