豊田市立大林小学校 6年
ファサファサ…。木の葉が風にゆれて、音を立てている。ここはおばあちゃんの家の庭。今年も私は虫達に囲まれながら、くわの実を採る手伝いをしている。
「やあ、今年も手伝ってるのかい?」
「がんばってるね。」
そんな会話が虫達から聞こえてきそう。
私のおばあちゃんは野菜やくわの実を作っている。しかも、全て無農薬。なのでいつも虫達は大集合。くわの実は、一年に一回しか採れない貴重な木の実。見た目は青むらさき色で、ラズベリーに似ている。ジャムにするとおいしくて、いちごジャムに似た味。
くわの実ジャムは、おじいちゃんとおばあちゃんが二人で協力して作っている。くわの実はおばあちゃんが無農薬にこだわって育て、ジャムにしている。パソコンが得意なおじいちゃんは、ジャムを入れるビンのラベルを作る。ラベルの内容にもこだわりがある。例えば、『原材料、必死で探した国産レモン』、『分量、いうほどない』のように、おもしろおかしく書いてあるので、いつもみんなを笑わせてくれる。それが私の元気のみなもと。
くわの実ジャムはそれだけでもおいしいけど、おばあちゃんの作るパンにつけると、さらにおいしさがアップする。ジャムもパンも時々友達に分けてあげる。そうすると、いつも喜んでくれて、作ったのはおばあちゃん達だけど、私までうれしくなってきてしまう。手伝りの力はすごいと思った。
ラベルを作っていたおじいちゃんは、三年前に亡くなってしまった。だから、ラベルは今でも昔と変わらないままの形。もちろん、味もずっと一緒。今はおばあちゃんが毎年作っている。だけど、いつかはバトンを私が受け取りたいと思う。今までと変わらないおいしさで、みんなを笑顔にするんだ。だから見ていてね。おじいちゃん、おばあちゃん。変わらないそのままの笑顔で。