青山学院初等部 2年
おしょくじのときに、「おいしい」といってはいけません。ぼくたちのはじめてのきゅうしょくのまえに、先生からおはなしがありました。おしょくじ中はマスクをはずすから、おしゃべりはしないでしずかにたべるのです。ぼくはえー、とおもいました。おいしかったら、しぜんと「おいしい」といってしまいそう。ちゃんとしずかにたべられるのか、すこししんぱいでした。
つくえの上をじょきんして、はじめてのきゅうしょくがはじまりました。マスクのまま、いただきますをしたら、あとはおしゃべりきんしです。メニューはホットドッグとポテトサラダとぎゅうにゅう。ぼくはこころの中で(おいしそう)とおもいました。まわりのおともだちも、そうおもったみたいでした。ケチャップとやいたソーセージのいいにおいがして、ほっぺたのうちがわがキュー、となりました。ぼくはたべるまえにきんちょうしていたことをわすれて、もぐもぐたべました。きゅうしょくをたべはじめて、気がついたことがあります。それは、おしゃべりをしなくても、おいしい!という気もちをつたえられるということです。ゆびで円をつくって見せあったり、おやゆびを立てて見せたり。かおをポンポンとさわる「おいしい」といういみの手わもおそわりました。
先生がマスクをしたまま、きゅうしょくのせつめいをしてくれることもあります。ぶりのせ中とおなかのかわのはなし。こくばんより大きいメカジキ。ぼくはへぇ、とおもったり、びっくりしながらあじわってたべます。しずかにたべるきゅうしょくが、こんなにたのしいなんておもいませんでした。おしゃべりをしなくても、おいしい気もち、うれしい気もちでクラスの中がポッとあたたかくなります。にこにこになります。みんなできゅうしょくをたべるのって、さいこうだとおもいました。きょうは、どんなおいしいサインをしようかな。ぼくはまい日のきゅうしょくがたのしみでしかたありません。