府中市立栗生小学校 6年
小学六年生になると「最後」が増えた。最後の運動会、最後の参観日、最後の授業。そして最後の給食。まだまだ先だと思っていた最後の給食が、こんなにも早く訪れるなんて・・。まだ実感がない。
卒業式の一日前。「最後」が多い。最後の音楽、最後の式練習、最後の外国語。当たり前だった生活が明日になれば、簡単に私から離れていくなんて・・。どうしようもない悲しさにつつまれた三月十六日。四時間目の授業が終わり、教室で給食の準備をする。小学校生活最後の週に給食当番、ツイてる?食缶のふたを開ければ、私にぐぐっと迫る湯気と食べ物のにおい。最後の給食!と思った瞬間だった。皆で楽しく、ガヤガヤと給食準備を進めていく。いつも通りの楽しい時間だった。
今日のメニューの中に、れんこんが入っている。どうやらこのれんこんは、縁ぎの良い食べ物らしい。おせち料理にも使われる食材らしい。れんこんの穴、先が見えますように、未来へ見通しがつきますように・・という意味がこもっている。四月から中学生へと進む私にぴったりの食材だと思った。そして運良く、私が皆のお皿に入れていくことになった。一人一人にエールを送ると共にお皿へ入れていく。なぜかこの時、最高のチャンスと思って笑みがこぼれた。
この子の将来の夢は○○だから、○○になれるように頑張れよ・・とか中学生になったら強い人達に負けんなよ・・と一人一人に私の思う願いをこめた。そして自分には、看護師という夢に向けて、一生懸命頑張れよ・・とエールを送った。この給食を食べれば、全てが上手くいく気がした。
いただきます。皆で揃えた言葉は一生心に残るだろう。一つ一つの食材が私達の卒業を祝ってくれている気がする。ありがたいなぁと思いながら、最後の一口を幸せに味わった。
小学校低学年・高学年の部(作文)最優秀賞受賞者と読売KODOMO新聞の読者がよみうりランドのメニューを考案しました!