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2012/08/06
キャンパスコミュニティー放送「かわさきワンセグ」の裏舞台
ネットワーク情報学部の福冨忠和・藤原正仁両研究室のプロジェクトとして、2011年8月にスタートした「かわさきワンセグ」。これは携帯電話などで見られる地上デジタル放送「ワンセグ」を使った実験放送で、同学部の学生たちが自ら番組を制作し、さまざまな情報や映像を発信している。福冨教授と、プロジェクトリーダーを務める同学部3年生の石川陽佑さんに話を聞いた。
番組制作から配信まで学生が担当
──「かわさきワンセグ」では、どんな番組を放送しているのでしょうか。
- 福冨
- 定期的に放送しているのは地元のラジオ局・かわさきFMとのコラボレーション番組「かわさきワンセグ キャンパスライヴ」です。企画から取材、撮影まで学生が行い、毎週火曜日の12時から30分間、生放送でお届けしています。また、川崎市のイベントや他校の学園祭の中継のほか、こうした番組の再放送も行っています。生田キャンパスの周辺約500mほどの範囲で受信が可能です。
──現在、プロジェクトメンバーは何人ですか。
- 石川
- メインは今年度からこの研究室に入った3年生9人で、4年生も含めると最大24人ぐらいになります。メディアプロデュースを専攻している人が多いのですが、映像やネットワークシステムを勉強している人もいて、みんなで知恵を出し合いながら番組作りを進めています。
──まさにメディアプロデュースの実務実習といった印象ですが、そもそもこの放送はどのような経緯で実現したのでしょうか。
- 福冨
- ワンセグ放送は電波事業の一つで、総務省が各社に決まった周波数を割り当てています。昨年、割り当てが決まっていない周波数帯「ホワイトスペース」を活用しようという目的から公募が始まり、私たちのプロジェクトが、この周波数帯を利用できるホワイトスペース特区の指定を受けることができました。主な目的としては、学生の教育、多摩地区にある明治大学や日本女子大学との大学間連携、地域との連携の三つを掲げています。
プロジェクトの魅力は緊張感と達成感
──石川さんは、このプロジェクトのどんな点にやりがいを感じますか。
- 石川
- 番組内でどんなコーナーをやるかというところから自分たちで企画しているので、成功したときはやはり達成感があります。また、お店や役所へ取材に行ったり、かわさきFMの方や、技術サポートをしてくださっている富士通の方など外部の「大人」とやり取りしたりする機会も多いので、この経験は社会に出てからも非常に役に立つと思います。
──番組作りは、やりがいがあると同時に苦労も多いのではないでしょうか。
- 福冨
- 放送法に準拠するのが大変ですね。8秒間空白が続くと放送事故に相当してしまうので、学生は生放送では特に緊張しているようです。
- 石川
- 始めた当初に比べればだいぶ慣れましたが、未だに生放送は緊張しますね。かわさきFMとのコラボ番組でラジオでも同時放送されているので、ごまかしがきかないというか……。現場の緊張感はすごいです(笑)。
──地域との連携という部分では、どんなことを行っていますか。
- 福冨
- 「かわさきワンセグ」は昨年8月に本格始動したのですが、最初の試験中継が川崎市の総合防災訓練でした。会場の多摩川河川敷近くに中継局を設置して、学生が訓練の様子を生中継したほか、ワンセグとFMでの実況放送も行いました。中継によって警察、自衛隊、消防の三者が一つの映像を見ながら情報を共有できたため、かなりのインパクトがあったようです。
キャンパス放送のモデル作りを目指して
──ワンセグは災害時にも頼りになりそうですね。
- 福冨
- その通りです。ワンセグは携帯の電波が不通になっても見られるうえ、ラジオも聞くことができます。石巻専修大学(宮城県)の人に聞いたのですが、東日本大震災のときは携帯電話もメールも使えず、ワンセグで情報を得ていたそうです。しかし地上波のキー局しか受信できないため、地元発の情報はほとんど伝わってこない。こうした状況を見据えて、私は大規模災害時にワンセグ配信を行うための臨時災害放送の研究も進めています。この研究は、神奈川県の「大学発・政策提案制度」にも採択されています。
──地域の情報をリアルタイムで伝えられるのは大きな利点ですね。川崎市の地域イベントでも生中継を行っていると聞きました。
- 石川
- ハロウィンパレードなどのほか、富士通川崎工場のクリスマスコンサートも会場周辺で生中継しました。またこの3月には、桃井はるこさんを招いてライブを自主企画し、かわさきFMとの公開生放送にチャレンジしました。これらの番組は、生田キャンパスでもあらためて配信しています。
- 福冨
- 学生自身が、制作に関わるやり取りや交渉をどんどん進めてくれるので頼もしいですね。失敗したら怖いなあという思いもありますが(笑)。
──今後は、どのような展開をお考えですか。
- 福冨
- 石巻専修大学が8月にエリア放送局を開局する予定なので、かわさきFMとラジオ石巻も含めた4局での同時生放送を考えています。また、ワンセグ放送を実施しようとしている大学はいくつかあるので、この「かわさきワンセグ」を通してキャンパス放送のモデルを作っていきたいですね。学内に放送局を持ち、さらに実際にコンテンツを作って配信している大学はまだほとんどありません。この分野のパイオニアとして、さまざまな機関と連携しながら活動の幅を広げていきたいと思います。
【かわさきワンセグ視聴方法】
専修大学生田キャンパスにて、映像と音声を携帯電話やカーナビのワンセグTVで受信することで視聴できます。
- (1) アンテナを伸ばしてワンセグを起動
- (2)エリアが神奈川、または東京に合っているか確認
- (3)「1」ボタンを押して、「NHK総合」を表示
- (4)右ボタンを押してチャンネルをスキャン
- (5)30chで「かわさきワンセグ」を受信
※チャンネルスキャンの方法は機種によって違うことがあります。受診可能チャンネルから、右または左ボタンで30chに合わせてください。
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