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学長インタビュー

建学精神と教育の原点を胸に 時代を見つめた学びを提供

 日本の私学の先駆けとして知られ、今年、創立135年を迎える専修大学。建学の精神を現代的に捉え直した21世紀ビジョン「社会知性の開発」のもと、近年は教育改革やグローバル人材の育成にも果断に取り組んでいる。この日本有数の伝統校は、今後どう進化していくのだろうか。読売新聞東京本社教育部長の松井敏宏氏が、専修大学長の矢野建一教授に聞いた。

独自性のあるグローバル教育を展開

専修大学 第16代学長
矢野建一教授

松井 専修大学と言えば日本の伝統校の一つとして有名ですが、実際はどんな大学なのでしょうか。まずは学長ご自身の言葉でアピールしていただけますか。

矢野 本学は、若者が今後社会へ飛び立っていくための「ジャンピングボード」、すなわち社会で活躍するための基礎を身につける機能を備えた大学だと思っています。創立者たちは、自らが海外で学んできた経済学や法律学を日本の若者に伝えようという思いのもとに本学を開校し、社会で役立つ人材の育成に力を注ぎました。この精神を受け継ぎながらも、時代の要請に応えるべく改革にも積極的に取り組んでいます。

松井 今年は創立135年ですね。今後はどんな方向へ進んでいこうとお考えですか。

矢野 近年は、大学にもグローバル社会に対応した教育が求められています。人文・社会科学系の総合大学である本学としても、グローバル教育、特にアジア圏を重視した教育に力を入れていくつもりです。中国や韓国、台湾はもとより、ベトナム、ラオスなどの東南アジアやインドにも目を向けていきたいですね。

松井 グローバル教育には各大学がさまざまな形で取り組んでいますが、内容としてはどんな点に力を入れていますか。

矢野 一つ目は「異文化理解」です。グローバル化というのは日本人が海外に出ることだけを指すのではなく、異文化圏の人々が自国に大勢入ってくるということでもあります。そのときのために、学生たちには今のうちに異文化を理解する術を身につけておいてほしい。二つ目は「福祉」です。日本は産業では他の国をリードするまでになりましたが、福祉の面はまだ未成熟。ぜひこの分野でも、世界を舞台に活躍できる人材を育てたいと思います。今の私の夢は、この二つのグローバルを実現することなのです。

松井 6年後の東京オリンピック・パラリンピックでも、異文化圏の人々がたくさん来日するでしょう。異文化理解を浸透させて、ぜひ学長の夢を叶えていただきたいですね。

全学共通の「新たな学士課程教育」スタート

読売新聞東京本社教育部長
松井敏宏氏

松井 学生に対する教育という点では、専修大学では今年4月から「新たな学士課程教育」が始まりました。転換教育課程、導入教育課程、教養教育課程、専門教育課程と3層4領域になっているそうですが、この狙いを教えてください。

矢野 近年、学生が高校の学びから大学の学びへの転換がスムーズにできていないケースが見られ、3年生で少し意欲が落ちることなどが課題になっていました。そこでこのような課題を解消し、大学生・社会人として汎用性の高い知識や能力、多様化する現代社会を生き抜く知力を身につけるため、従来、教養と専門という2つの領域で構成されていた教育課程を、転換・導入・教養・専門の4領域に再編成しました。

松井 教養や専門教育課程に入る前に、高校から大学教育にスムーズに入るための転換教育課程や、大学での学びの基礎を固める導入教育課程を設置したということですね。

矢野 はい。さらに教養教育課程と専門教育課程の間に、学際科目や新領域科目を学べる「融合領域科目」を設け、自分の興味の方向性を再確認したり、複数の学問領域にまたがるようなテーマについても学べるようにしました。これは全学部共通の仕組みで、どの学部に在籍していても履修することができます。

松井 なるほど。大学にとってはこうした教育改革のほかキャンパス整備も重要な課題の一つですが、専修大学では今年、神田キャンパスに新校舎が完成しましたね。アクティブ・ラーニングの拠点だそうですが、具体的にはどんなものなのでしょうか。

矢野 アクティブ・ラーニングとは、教員に知識を教えてもらう「受動型」ではなく、学生が自主的に勉強する行動のことで「能動的学習」とも呼ばれています。本来は施設ではなく姿勢を指す言葉ですが、学生に浸透させるためにはやはりそのための「場」が必要になってきます。実際、その場である神田5号館ができてから、学生の動線が変わりました。ここには勉強に必要な情報がいつでも引き出せるよう情報端末が配置され、学生が交流するラウンジ、自習・ディスカッションルームを配した学習スペースなどが備わっています。

学生と教員の共鳴関係を大切に

松井 安倍政権の発足以降、教育改革の流れが加速していますが、大学入試について専修大学としてはどうお考えですか。

矢野 偏差値で輪切りにする従来の制度では入学後の能力を伸ばしにくいので、工夫していく必要があると思います。そのため、本学では高校との連携強化を模索中で、教員が付属高校や指定校、高大連携校などに出掛け、授業の中で大学の学びについて話をするといった啓発活動にも力を入れています。こうした活動を通して、高校から大学への教育の連続性を深めていきたいと考えています。

松井 それはとても大切なことですね。しかし、現行の大学入試センター試験に代わる「達成度テスト」が実施されるとの見通しもあり、大学が対応を迫られる課題は増えていく一方のように感じます。

矢野 大学のあり方や制度は時代によって変わるものですが、私は教育の原点は「学生と教員の共鳴関係」にあると考えています。どんなに時代が変わってもこの原点だけは決して忘れず、そのうえで学生に最善の学びを提供すべく積極的に改革に取り組んでいくつもりです。

松井 少子化の時代にあって、大学間の競争は今後ますます激しくなっていくと思われます。生き残るためには他大学とは違う特色も必要です。学長の話からは、専修大学の教育に対する熱意も感じました。では、最後に受験生や学生へのメッセージをお願いします。

矢野 本学の学びの特色は、卒業までの4年間で、グローバル社会に対応できるだけの基礎力を身につけられるところにあります。「新たな学士課程教育」も改革としては派手ではありませんが、内容が濃く、私たちの考える教育の原点をしっかりと反映したものです。また、学生の満足度が高いのも本学の特色の一つです。勉強、サークル、スポーツなどさまざまな事柄に取り組んで、有意義な4年間を過ごしていただきたいと思います。

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