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2012/07/02

「大事な一冊」に出会える場所 専修大学 図書館本館

 そうだ、本を読もう。そう思い立ったら、まず専修大学の図書館へ足を運んでみてはいかがだろう。ここは、人生を拓く一冊、好奇心を刺激する一冊、そして世界的に貴重な一冊に出会える場所。生田キャンパスに約110万冊の本を所蔵する本館を訪ねた。

読書の楽しみを広げる「図書館のワザ」

 専修大学図書館本館は120年記念館(9号館)の中にあり、2~4階とM3階の全4フロア。3階にある入口を入ると、まず目に飛び込んでくるのが「読書のスルメ」の展示だ。ここにはさまざまな学部の先生によるお勧め本が並んでおり、各書には先生の顔写真とコメント入りのPOPが付いている。思わず手にとって読みたくなる、この仕掛けが心憎い。

 この展示、実は図書館が発行するパンフレット「読書のスルメ ~教員がすすめる読めば読むほど味の出る本~」に載っている本を集めた展示。パンフレットにはコメントの全文が掲載されているので、合わせて読めば読書の楽しみがさらに広がりそうだ。

 隣にはパソコンが並ぶ情報検索コーナーがあり、ここで専修大学図書館の所蔵本すべての中からお目当ての本を検索できる。同図書館はこの本館のほかに生田分館と神田分館、法科大学院分館があり、蔵書数は全体で約170万冊。そのほぼすべてがデータベース化されており、書名やキーワードで検索すれば、所蔵場所や貸し出し中かどうかなどがすぐわかるようになっている。貸し出し予約や取り寄せもここでできるので、読みたい本が決まっているときはぜひ活用したい。

 そのほか3階には、和洋の参考図書や学習用和図書、教員著作コーナーが。自習スペースや広々としたソファスペースもあり、読書や勉強の場としてはもちろん、待ち合わせ場所としても気軽に使うことができる。

専門書のほか雑誌や映像資料も豊富

 4階には、新着雑誌をはじめ文庫や新書判図書、統計書などの書棚がずらりと並び、AVプラザにはCDやDVDが配置されている。聞けば、専修大学図書館では「専門知識だけでなく教養的な知識も身につけてほしい」という方針から、音楽や映画、アニメーションやドキュメンタリーなどの映像資料も豊富に揃えているという。

 こうした視聴覚資料は約1万点、雑誌は約1万6000誌、マイクロ資料は約8万リール。本館だけでこの所蔵数であることを考えると、専修大学図書館の幅広さと充実ぶりがよくわかる。

 M3階は和洋雑誌のバックナンバーを収納した電動集密書庫、2階は和洋図書が並ぶ書庫。ここでは、蔵書検索OPACのフロア図を活用して、お目当ての資料がある場所の見当をあらかじめつけておきたい。利用したい資料は、ほかのフロアと同じように自由に取り出して閲覧することができる。

 さて、本館には、普段は特別な許可がないと入室できない「特別書庫」という空間があるのをご存じだろうか。ここには、完全な温度・湿度管理のもと、図書館が年に数回行う企画展などでしかお目にかかれない古今東西の貴重書が保管されている。今回、その内部と収蔵資料を特別に見せてもらった。

貴重書を守り伝える「特別書庫」

 まず最初に入れてもらったのは洋書の部屋。ここの書棚に収められているのは、まさに世界史そのものだ。およそ13世紀から15世紀半ばまでに書かれた写本の数々、活版印刷術が登場して間もないころに出版された『ユスティニアヌス法典注釈書』(1482年)や『神の国』(1489年)、ホッブズ『リヴァイアサン』、ルソー『社会契約論』、アダム・スミス『道徳感情論』『国富論』、ルイ16世の遺言を記した印刷物、ナポレオンの遠征時の調査報告をまとめた『エジプト誌』……。

 「貴重書のうち洋書は、人文・社会科学系の図書が中心です。特に充実しているのはフランス革命期の文献で、資料約4万7000点から成るコレクション『ミシェル・ベルンシュタイン文庫』を所蔵しています。当時の議事録、法令集、小冊子、ポスターのほか新聞や風刺画、肖像画なども揃っており、質・量ともに世界有数のフランス革命関連資料コレクションです」と、貴重書の洋書担当者。

 一方、和書の部屋は洋書よりもコンパクトながら、江戸後期小説である戯作(げさく)を多く収集したコレクション「向井信夫文庫(江戸期和本)」がある。『南総里見八犬伝』や『偐紫田舎源氏(にせむらさきいなかげんじ)』など今も高い人気を誇る作品がある、読本(よみほん)、草双紙(くさぞうし)がその中心になっている。また、太閤秀吉の真筆とされる写本などを含むコレクション「蜂須賀家(はちすかけ)旧蔵本」や「菊亭文庫」、絵巻物などもあり、充実した内容となっている。

 貴重書の和書担当者は、「『蜂須賀家旧蔵本』は、阿波国徳島藩主蜂須賀家が収集した『阿波国文庫』(藩儒柴野栗山の蔵書と屋代弘賢の『不忍文庫』から成る)に由来し、本学が所蔵するのは長久館(藩校)時代に江戸屋敷に分置秘蔵された貴重本の一部と伝えられています。この中には重要文化財『長秋詠藻』があり、また専修大学図書館には他にも重要文化財、花山院師継筆『古今和歌集』と重要美術品『源氏物語(桐壺巻)』を収蔵しており、後世に守り伝えると同時に、展示などの機会にはぜひ皆様にもご覧いただきたいと思います」と語る。

スミス『国富論』フランス語版初版

『ルイ16世の遺言書』1792年12月25日付

『チョーサー著作集』ケルムスコット・プレス版

『人権宣言』(ブヴェロ作)手彩色版画

源氏物語のおこり

七夕のさうし タナバタ ノ ソウシ

雪梅芳譚犬の草紙 56編 224巻 セツバイホウタン イヌ ノ ソウシ

長秋詠藻 3巻 チョウシュウ エイソウ

 図書館では年に数回、こうした貴重本をもとにテーマ性の高い企画展を開催している。企画展は、時代の流れの中で散り散りになってしまいがちな資料を一堂に見渡せると同時に、本の奥深い世界を知ることができる貴重な機会。これは図書課の人々の熱意と、本への愛情のたまものと言えるだろう。学生や教職員はもちろん一般の人も入場できるので、ぜひ一度足を運んでみてほしい。

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