2018年1月31日
小笠原 僕らおじさんが邪魔しないのが一番大事だと思っています。歴史を見ても、何かが変わる時は世代交代が起きています。10代、20代を認めて自分たちの力を貸す40代がいて、50代、60代が40代をバックアップしたり意見を通りやすくしたりする、世代の役割があるはずなので、若い人たちの動きを阻害しないこと。時間とお金をそこにどう費やしてあげるかですね。
安宅 良い人はどんどん認める。邪魔な人はやめる。規制をやめる、この三つじゃないですかね。規制が何千とあるのが問題で、保護的団体、何とか協会とか組合とか、やたらと多いですね。全く悪気はないのですが、新しい動きを仕掛けようとしている若い人たちから見れば、何かを阻害している極限的な「邪魔おじ、邪魔おば」ですよ。僕らはそうならないようにしないといけない。
小笠原 業法そのものの問題もあります。車のシェアでもレンタカー業法で、自家用車を反復継続して貸すと営業行為と見なされます。反復継続とは何回でしょうか。よく分からないです。
髙島 戦争や大災害みたいな有事に、そんなこと言う? 成熟した社会で人口が増える中、整理をするために、あえて規制をするのは必要かもしれませんが、現状では非常にネックになっています。
小笠原 今は有事だと思った方が良いです。戦後できた法律が1000ぐらいだったのが、今では2000~3000もあると聞きました。規制緩和をするために法律を増やすみたいな、無駄は無くなってほしいです。
佐別当
僕らの協会は、まさに規制を緩和するために作った業界団体で、業界団体におけるベンチャーとして活動しているつもりです。チャレンジしようとする人たちに対して規制があればあるほど、ベンチャーは死んでしまいます。
シェアリングエコノミーは、アメリカか中国の会社がどんどん大きくなって何兆円もの時価総額と評価されています。中国でのシェアサイクル会社は創業1年で1000億円を集めていますが、日本では民泊もライドシェア、自家用車での配送も出来ません。自国の新産業を自分たちで苦しめているのが現状です。一方でイベント民泊とか、年末年始だけ自家用車の配送を認めるとか限定的には行われています。だったら毎日続けても構わないと思います。
髙島 イノベーションが起きるのは人と才能が集まった東京、都心部が起きやすいと思われていますが、過疎などの社会課題の解決があれば、連続性の中から、変革する大義になると感じています。駅に着いても、バスもタクシーもいない町が日本中にたくさん出来てしまった。じゃあ支え合うしかないよね、とカーシェアやドライビングシェアという話になっていくと思います。限界集落や過疎を逆にチャンスに変えるという発想も必要かなと思います。
松井 医療の分野では規制緩和について慎重なのでは?
園田 フリーアクセスや皆保険といった恩恵を私たちが当たり前のように享受する事ができるのは、脈々と地域医療を守ってきた先人たちの努力があることは間違いありません。医療の分野では、破壊的イノベーションではなく「共創的イノベーション」であること、また、テクノロジーといった技術的イノベーションのみならず、産学官の連携による「社会的イノベーション」の視点が重要であると思います。
安宅 5年後、中国は世界一の覇権国に戻ります。日本は第2位のアメリカと非常に強いアライアンスがあり、中国の隣にあるという立地となるのを生かすべきです。髙島市長のご指摘通り、変革は中心ではない所から起きるのです。福岡はずっと国境の町でした。こういうところに期待したい。私たちは映画「ブレードランナー」のような都市集中型未来とそうでない未来の分岐点に立っています。日本は、答えを出せる国のひとつだと思います。過去の莫大なテクノロジーや文化的蓄積、楽観的希望を持ちやすい国民性でもあります。今、有志を募って様々な仕掛けをしています。
松井 最後にまとめをお願いします。
小笠原 福岡でしかできないことをやっています。成功すれば、各地域で色んな伸び方を考えるきっかけになるでしょうし、そうしたことが起きなければいけないと思います。
佐別当 福岡はチャレンジ精神が旺盛です。ぜひシェアリング特区を目指していただきたい。民泊新法が施行されます。福岡から始まる民泊条例を期待しています。
園田 テクノロジーの力によって、「普通に生活していると自然と健やかになる」ような社会システムを実現したいと思います。人々の健康が豊かな暮らしの基盤であり、それが社会を強くすると信じています。
安宅 未来の世界がどうなるかの予測や予想を聞くのは詮無いことなので、やめましょう。実際には無限の可能性があり、予測は不可能だからです。そんなことより、どういう未来を子や孫の世代に残したいのかをみんなで考え、取り組むべきです。未来は目指すものであり、創るものです。すてきなビジョンであれば人は自然と集まります。動けば未来は出来ます。ツールとしての技術は熟してきています。
髙島 福岡がやってみせることが一番早く全国が変わる方法という気概を持ち、チャレンジする人が尊敬される社会をつくるために挑戦をします。今日、学生服の彼、高校生が来てくれたことが未来の希望です。