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都市公共交通~身近な生活の裏に~
MRTの駅。休日のため、人影はまばらだった
僕らは現地の住民の足であるMRTとLRTに同乗した。MRTはMass Rapid Transitの略で、シンガポールの主要オフィス・商業地区と住宅地区を結ぶ鉄道交通機関である。これには国土の狭いシンガポールの激しい交通渋滞を緩和する役割がある。
LRTはLight Rapid Transitの略で、MRT駅から近郊地域を結ぶ無人トレイン。つまり、大量の人を大まかな地区に輸送するMRTは人間の体であれば大動脈のようなもので、LRTは枝分かれしている細かな血管のようなもの。車両の数は少ないが、ニュータウンをこまめに走っている。現地の住民は、この2種類を賢く使いこなしているというわけだ。
これらに乗る方法は、日本とほとんど変わらないが、シンガポールには紙のチケットが存在せず、カードを買うことになる。チケットにかかるコストを抑えるためで、乗車後に返却すると少量のお金が返ってくるのである。ただし、現地の人がこれを使用することはあまりないという。現地では、「ez-link」というソニー製の非接触型スマートカードが使用されているからである。日本のSuicaだ。これは10年以上前から普及し、これまでに累計1000万以上が流通しているが、そのカード販売に関わったのが三菱商事ということだった。
三菱商事と都市公共交通との関わりは、これだけではない。三菱商事は三菱電機とともに、MRT北東線の変電設備も納入した。またセンカン及びポンゴル両地区のLRTでは、三菱重工業と共に同社製の車両システムを納めている。三菱商事のビジネスと現地住民の生活がいかに密接に関わっているか、知れば知るほど、本当に驚かされる。
実際に乗ると、日本と違う点がいくつかあった。電車のダイヤの表示がない。これは電車が数分おきに来るためで、ピーク時には3分おきだという。また改札口には警備員がいて、荷物検査を要求されることもある。どういうわけか僕も荷物検査を受けさせられたが、これもよい思い出となった。
列車が到着。MRTの車内はシンプルなつくりになっている
看板は4ヶ国語で書かれていた。多民族国家のシンガポールならではである。おもしろい規則があった。この国でポピュラーな果物であるドリアンの持ち込みが禁止されていたことである。あまりにニオイが強烈なためだ。実際、電車に禁止のマークがしっかりと記されているのを確認することができた。
ちなみにこの国では様々な行為が禁止されている。チューインガムの禁止は有名である。禁止理由の1つに、ガムが電車のドアにはさまりドアが開かないという事故の多発があるらしい。
LRTの駅のホーム。多くの人が利用することで車の渋滞が緩和された
現地の交通手段を利用することで、その国の特色や生活をより知ることができた。LRTの車窓からは洗濯物のなびく生活感あふれる集合住宅や、シンガポールの可能性を予感させる平地の広がりを見た。LRT駅には、すでに作られているものの車両が停まらない所もある。その理由として、これから利用者が増えてから使用するものらしいが、シンガポールのさらなる発展を暗示する場所をいたる所で見ることができた。
これら交通機関を利用して最も感じたのは、三菱商事と現地住民との関わりの深さである。商社の事業といわれても漠然としていたが、生活のいたる所に商社が入り込んでいるという事実を知ることができた。それが何よりの収穫だった。これからもシンガポールに対する三菱商事の役割は大きいに違いない。
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シンガポール人の足
私たちは、香辛料の香りがうっすらとただようリトルインディア駅からMRTに乗車。まずは乗車券を購入する。
シンガポールには、紙の券は無い。ちょっとそこまで、という場合でもカード式なのだ。日本はそれがやっと一般的になりつつあるが、シンガポールでは十数年も前から導入されていたそうだ。
香辛料の香りが漂うリトルインディア駅
そのカードは「ez-link」と呼ばれ、SONYさん製造、三菱商事さん輸入だ。もちろん、このカードはバスやマクドナルド等々でも使用可能で、お金をチャージしては繰り返し使う。さらに、シンガポールには定期券といったものが無いため、「ez-link」が欠かせない。これまでの輸入総計は、1000万枚をこえたそうだ。この数はシンガポール人口の2倍以上。かなりの支えになっていることがわかる。
シンガポール人の足は、たいていこのMRT&LRTである。
それもこれも、初代首相リー・クアン・ユーさんが、渋滞がおきないように車の値段をとんでもなく高くしたり(ナンバープレートだけで100万円ほど)、朝夕の通勤・帰宅ラッシュの時間などといった特定の時間に車で中心都市に出入りする場合、お金を取るERPと呼ばれるものを設置したりしたからである。そのため、これからの人口増加にあわせて、外国企業と手を組みさらに線を細かく、さらに長くする計画が考えられているそうだ。
開放感、清潔感あふれる素敵な駅構内
ホームへの上り下りに使うエスカレーターは、日本よりも速いので、降りるタイミングが難しい。ホーム全体の様子は、私の最寄りの駅とはまったく違うが、日本の都心の駅と似たような雰囲気である。こまめにMRTがやってくるため、時刻表はないそうだ。
英語、マレー語、中国語、タミール語・・・それぞれの言語でアナウンスが流れた。
乗車・・・。
なんだかスッキリ、サッパリした印象を受けた。車内を注意深く観察してみた。
まず、天井が低い。次に、日本の電車のようなごちゃごちゃした中吊り広告がない。荷物を置く網棚が無い。つり革も無い。
そんな中、広告といえば、車内に張られた大学案内や薬のシールや、テレビくらいだった。そのテレビにはCMが流れていた(音声なし)。内容は、駆け込み乗車は危険!というものと、テロはあなたの近くにひそんでいるかもしれない、という注意を呼びかけるものだった。
そもそも、MRTにはいくつか大きな線がある。
北東線・・・街と観光地を結ぶ、比較的新しい線。
東西線・・・ジュロン工業地帯を結ぶ線、等々・・・。
痴漢の問題はあるが、減少のための、女性専用車両はない。
ゆらりゆられてMRT&LRTの旅
私たちはセンカン駅に到着すると、今度はLRTに乗車。
MRTよりもさらに細かい線路のため、人が住む住宅街を走る。そのため窓ガラスは少しスモークがかっているという工夫がなされている。LRTは1、2両編成で、スピードは速くないのだがかなり揺れる。とてもスリル満点だった。車内には、ドリアン持ち込み禁止のマーク。シンガポールならでは というような感じで面白かった。
同行してくださった三菱商事シンガポール支店の宮崎さんのお話を聞くと、MRT北東線では三菱電機さんと共に変電設備を設置しているそうだ。
LRTでは、おや、車内天井近くに三菱のマークを発見!三菱重工業さんが作った車両を納入されたということも教えてくださった。
10分程度で1周して、センカン駅へ戻った。
センカン駅は、日本顔負けというほどエキナカが発達していて、コンビニ、ファストフード店、電気屋さんなど数々のお店がそろっていて、かなり充実していた。沢山の人でにぎわっていた。
MRT&LRTに乗ったことで、三菱商事さんがやっている仕事が、シンガポールの日常生活にも溶け込んでいるのを実際に見ることができた。幅広く活躍する三菱商事さんはいつでも私たちのそばにいて、見守ってくれている。
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人々の生活を支える多国籍企業
リトルインディア駅入口。駅構内は非常にきれいだった
私達は、今最も多くの人に利用されている公共交通機関である地下鉄MRTと無人トレインLRTに乗車し、シンガポールの交通事情を体験した。
シンガポールでは、公共交通機関と言えば、かつてはバスやタクシーがその中心であった。しかし、人口の増加や著しい経済発展とともに街を走る自動車の数が急増、中心部では激しい交通渋滞が発生し、大きな社会問題となった。そこで新しい市民の足として登場したのが、この地下鉄MRTである。
MRTは現在、南北線・東西線・北東線の3つの路線が開通していて、島内のあらゆる場所を走り、中心部と郊外を結ぶ重要な役目を果たしている。三菱商事は三菱電機と共に、MRT北東線の変電設備を納入した。また、LRTは郊外の大規模なニュータウンの開発に伴って最近導入された、全自動の無人トレインである。三菱商事は三菱重工業と共に、センカン地区とポンゴル地区のLRTの車両を納入した。私達は、リトルインディア駅からMRTに乗り、センカン駅でLRTに乗り換えた。
改札は皆タッチ1秒!
駅では、最初にGTMと呼ばれる券売機で「スタンダード・チケット」という切符を購入した。切符と言っても日本のものとは全く違い、緑色のカード型で、運賃には1ドルのデポジットが含まれていた。この日も三菱商事シンガポール支店の宮崎さんが同行して下さったのだが、宮崎さんが持っていたのは「ez-linkカード」。これは、JR東日本のSuicaのようなもので、MRTやLRTはもちろん、バスやマクドナルドなどでも使える便利なプリペイドカードだ。三菱商事は、ソニーが作ったこのカードを代理店として輸入し、既に1000万枚以上の流通に成功している。シンガポール人は大抵1人1枚持ち歩いているらしい。私は「なるほど、宮崎さんはタッチ1秒で改札を通れるということか」と思いながら改札に行き、持っていた切符を入れようとしたが、差し込み口がない。なんと、「ez-link」カードだけでなく、私達が購入したスタンダード・チケットにもIC機能が付いていたのだ。私達は皆、改札ゲートの上にあるセンサーに切符をタッチさせるだけで改札を通ることができた。これには驚いた。
ホームの様子。電光掲示板で、次の電車の到着まで、あと何分なのかを確認できる
車内は、まだオープンしたばかりなのではないかと思うくらいきれいで、ゴミ一つ落ちていなかった。喫煙や飲食はもちろん、ペットを連れての乗車やドリアンの持ち込みも禁止されている。広告が少なく、網棚もないので、とてもすっきりとしていた。日本の電車と比べると、はるかに揺れが少なく、静かだった。多くの駅では、ホームと車両の間にガラス張りのドアが設けられていて、安全に乗り降りできるようになっていた。まさに今の日本が目指すべき、安全で快適な空間が、シンガポールの地下鉄で実現されていた。
シンガポールが発展し、シンガポール人のナショナリズムが形成されていく最中に日本の企業は進出した。とすると、ひょっとしたら現地の人にとって、日本はある意味「黒船」のような存在になってしまっているのではないか。私は渡航前、日本にいるときはそう心配していた。しかし、このMRTとLRTに乗車して、三菱商事の取り組みがこの国の人々の生活をどれだけ豊かにしているのかを体感し、多国籍企業に対する考え方が180度変わった。政府だけなく、企業の力も合わせて国を成長させるということは、とても素晴らしいことだと思った。是非今後も、人々の暮らしを向上させるようなビジネスを展開していって欲しいと思う。
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