• 海外プロジェクト探検隊~世界の仕事現場を見に行こう!~  「海外プロジェクト探検隊」は、三菱商事が海外で展開しているさまざまなプロジェクトの現場を高校生たちが訪問し、現地の模様や肌で感じたことをリポートするシリーズ企画です。 海外プロジェクト探検隊~世界の仕事現場を見に行こう!~

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vol.2冬休み タイ 自動車プロジェクト体験ツアー

トリペッチいすゞセールス社

細川 恵里クラーク記念国際高等学校1年・稲澤真樹子北海道立札幌南高等学校2年
細川 恵里 細川 恵里
稲澤真樹子 稲澤真樹子

乗るならコレでしょ! Tri Petch Isuzu Sales Co., Ltd.(TIS)

国土は日本の約1.4倍。人口は日本の2分の1の0.6億人。GDP(国内総生産)は日本の約17分の1の国。タイ。タイの首都バンコクは、国際色豊かな活気のある街だ。そんなバンコクでも、電車は整備中で完全ではない。また乗ろうとすると運賃が高い。地方へ行くと、まだ整備すらされていない。こうなると、国民は移動手段を探し始める。そこで活躍するのが“車”だ。

ただいま修理中その1 ただいま修理中その1

名前はピックアップ。車が好きな人なら知っているかもしれないが、日本ではそんなに見慣れた車ではないかもしれない。前から見るとがっちりしていて、後ろには大きな荷台がある。この大きな荷台が最大のポイントだ!!

タイは農作物・果物がとても豊富で、人々の中には作物で収入を得て暮らしている人がとても多い。ピックアップの荷台には、その作物をたくさん積むことができるのだ!! ピックアップでいろいろな作物を売りにいけてしまうのだ。

ただいま修理中その2 ただいま修理中その2

だが、日本でもかなりの値段がする自動車。物価が違うといっても、タイの人にしてみたら相当高い。値段は60万バーツ(日本円にすると約160万円程度)。タイでは、家と車の値段はほぼ同じらしい。

そんな高いもの、購入するのだって簡単なことではない。それに、せっかく大金をはたいて買うのだから、そう簡単に壊れてしまうようじゃ困る。そこで、TISが大切(セールスポイント)にしていることがいくつかある。

まずは、1番大切なこと。いかに丈夫で長持ちするかである。日本人は、多くの人が、1台の車を数万km乗ると新しい車に変えてしまう。だが、タイ人は違う! 数十万km(いすゞ車での最高は83万km)も乗り続ける。だがそれは、いすゞの車がいかに丈夫で壊れにくいかということを表すものだ。

修理状況チェック 修理状況チェック

もう1つは、燃費の良さ。原油の値段が上がっている今、燃費はとても気になる問題だ。こちらは、いすゞ車に乗って1タンクで行けるところまで行ってみる企画を立てて、実験を行ってみたところ、なんと1タンクで1724kmも走ることができた(一般の方の運転で)。

こういう結果があるだけでも、お客さんがピックアップに乗る理由がわかってくると思う。けれど、車だけでなく、お客様のサポートの部分にも大きな工夫があった。ピックアップを買ったお客様に向けてセミナーを開いたり、故障や不具合があったときのために、サービスショップだけでなくフリーの相談場所があったりする。

購入前のお客様は、バンコク近郊の街パタヤに行くと4WDランドがあって、そこで実際に乗ってみて乗り心地を実感できる。市場調査の結果やディーラーに寄せられる要望にも、細かく耳を傾ける。お客様と近いところで、生の声を聞きながら車を作っていくこと。それが、商用車シェア22年連続No.1につながっているのではないかと思った。

店の横には修理工場もあり、そこでは修理を待つお客さんもいた。だが、そこにも子供の遊ぶスペース、仮眠室、映画館……。さらには、自分の車の修理時間があとどれくらいかかるのかがコンピューターで調べられるようになっていた。どこを見ても、お客様への気配りがいっぱい詰まっていた。いすゞなら安心して車を買うことができる! トリペッチいすゞセールス社は、そんな気持ちにさせてくれるところでした。

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藤野 真莉佳東京家政学院高等学校2年・柳田 由美東京家政学院高等学校2年
藤野 真莉佳 藤野 真莉佳
柳田 由美 柳田 由美

1957年にタイ国三菱商事がいすゞ自動車の販売ビジネスを開始し、1974年に同社が販売・サービスの分野を強化するため、トリペッチいすゞセールス社(TIS)を設立した。タイにおけるビジネスの歴史は古く、そのことからもビジネスモデルが確立されていることがわかる。

タイ自動車市場の特徴は、日本車が90%以上で、その使用量の60%以上がピックアップトラックであることだ。日本車が、他国でここまで多く使用されているとは思っていなかったので、これを知ったときは正直驚いた。

また、これほどまでのシェアの高さには、歴史の長さはもちろん、独自のノウハウを確立したこともうかがえる。その1つが「マーケティング」なのだ。ピックアップトラックのほぼ100%がディーゼルエンジン車である。いすゞはピックアップをタイで生産し、逆に世界各国へ輸出している。

しかし、日本やヨーロッパでは需要がないようで、この車を日本で見かけることはない。逆に、日本では一般的な乗用車が、タイではあまり売れていない。理由の1つとして、タイの年間走行距離の長さが挙げられる。そのためすぐ壊れてしまうので、頑丈なトラックをベースとした車が人気なのだ。

日本とタイの使用目的の違いを的確にとらえ、ピックアップで市場を築いたのはマーケティングのたまものだろう。日本でのニーズは、主に近くへの買い物や旅行、仕事場への移動手段にある。しかしタイでは移動手段を車に頼っているため、主に商業目的で使用されているのだ。

いすゞのピックアップトラック「D-MAX」は、トヨタと熾烈(しれつ)な争いをしているが、中大型トラック販売では首位を堅持している。首位を堅持することは、並大抵の企業努力では無理だと思う。それを堅持しているのは、きっとタイで成功を収める地域戦略があるはずであり、今回その一端を紹介していただいた。

タイの交通網の状況は、まだ電車による交通手段が整備中であり、地方に至ってはほとんどが未整備である。そのため、移動手段として絶対に車が必要となる。日本の大部分では、電車に乗れさえすればどこでも行くことができるので、タイの移動手段のほとんどが車だということは、にわかには信じ難かった。

タイの人は車を財産として買う。値段は平均160万円だ。その金額は、個人の平均的な年間収入の何倍もするものであり、その結果、1台買ったら一生ものになるのだ。そのため、修理・保守メンテナンスの分野が、車を選ぶ重要な要素になっているのだと思う。

TISは、メンテナンスの分野でCS(顧客満足度)No.1に輝いている。No.1の理由には、ディーラー網、優れた商品、マーケティングが挙げられている。TISとディーラーは、コミュニケーションとして、さまざまな会議をしている。

たくさんの会議の種類があり、内容も異なっているが、すべては市場ニーズの吸収と、生産から販売までの情報を一体化させるためのものなのだ。TISでは、このような会議をすることにより、ピックアップトラックを顧客の望む車(優れた商品)にしているのではないかと感じた。このことが、いすゞ車が人気No.1の理由の1つだと思う。以下のコンセプトの役割分担をしっかりと行うことによって、市場から厚い信用を得ているのだと感じた。

1. 開発・設計→お客様のことを第一に考え、市場の声をいすゞ自動車へ。
   タイ政府に対する助言、提案、交渉をする。

2. 製造・組み立て→日本から部品出荷。生産スケジュールの確立。

3. 販売→発売マーケティング戦略の立案。販売店あて指導。

4. 保守・修理→販売店での対応。

修理中の様子、床がきれい 修理中の様子、床がきれい

次に、保守メンテナンスを行うサービスショップは、1階部分がフロントとなっていて、顧客の要望を詳しく聞き、何をメンテナンスしたいかを調べる。また、部品の販売も行っていて、必要な物がすぐに確認できるよう便利に作られている。

2階では、簡単な傷の修理をしていた。そこで印象に残ったのは、床がとてもきれいなことだ。タイの人は習慣で床に物を置いてしまうので、外した部品も床に置いてしまう。そうすると部品にホコリやゴミが付いてしまうため、それを防ぐ意味で常に床をきれいにしておくよう、社員教育をしているのだ。

また、社員教育が行き届いているかどうかを見分けるのには、トイレがきれいかどうかを見るのがポイントだと教えてもらった。トイレを見ることによって、会社の社員教育の状態がわかるという発想は、大変興味深かった(日本できれいなトイレを使用すると、よい印象が残るのと同じである)。

顧客には、車を修理している間を過ごすための待機場所が設けてある。子供の遊び場所はもちろん、映画館まであり、1日中過ごせそうだと思った。子供たちが遊ぶ場所は、休日になるとどこからか子供が集まってきて、勝手に遊んでしまうらしい。子供たちが集まる様子が想像でき、とてもほほ笑ましく感じた。

また、顧客は、現在作業がどこまで終わっているかを、フロントのコンピューターで確認でき、メンテナンスの工程が一目瞭然(りょうぜん)である。ほかにも、さまざまな形で顧客満足度を高める工夫が凝らされている。IQ(クイックサービス)は、オイル交換や部品交換を実施する。やることが決まっているので素早く安い。修理した場所に問題があったときは無料で修理し直すことができ、アフターフォローの体制が確立されている。

待合室 待合室

3階はサービス本部で、全体の管理的な仕事をしている。4階は整備が終了した車の駐車場と技術のトレーニングセンターとなっていた。このように、サービスショップは総合的に運営されており、顧客が満足するのもうなずける。

とどめは、4種類コンテストの成績を掲示している掲示板であった。フロントマンのコンテスト、インストラクターのコンテスト、メカニックのコンテスト、道具改善のコンテストである。いろいろな改善や技能向上の仕組みづくりが用意されており、タイという国に根差したビジネスモデルが確立されていた。

MU-7 MU-7

最後に、いすゞ車に試乗した。私たちが乗ったのは新しく発売された車で、7人乗りのワゴン車だった。MU-7という名前の車だ。足元がとても広く、足を十分に伸ばせて快適であった。運転をしてくれた人に、この車はどんなコンセプトで作られたのか聞いてみた。この車は家族での外出用に、荷物も積めるように作られている。家族でいつも一緒に出かけるのにもってこいの車だ!!

いすゞ車やTISのサービスには、消費者の心をつかむ要素が満載されていることがわかった。その企業努力の結果が、CSのNo.1と売り上げ、シェアに表れていた。日本企業が海外で成功するためのストーリーに触れることができ、大変勉強になった。

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江口 洋丞国立東京工業高等専門学校1年・小坂 典嵩国立東京工業高等専門学校1年
江口 洋丞 江口 洋丞
小坂 典嵩 小坂 典嵩

22年間連続トップランナーの秘密

自動車が大好きな私。実はこのプロジェクトで一番見学したかったのが、このトリペッチいすゞセールス社と整備工場でした。日本の自動車業界の標準とどのような違いがあるのか、また、タイならではの面白い工夫など、期待に胸を膨らませ見学開始です。

郷に入っては郷に従え ―トリペッチいすゞセールス社―

大きな整備工場 大きな整備工場

トリペッチいすゞセールス社(TIS)は、前身であるタイ国三菱商事といすゞ自動車の合弁事業を基にして1974年11月に設立、タイ国三菱商事から分離独立しました。ここで三菱商事は、顧客のニーズを開発現場に伝えたり、日本からの部品入荷や生産計画を立てたり、販売戦略の提案をするなど、販売と開発、生産の現場を結ぶ中枢神経の役割を果たしています。

タイでの自動車販売は、日本の方式とはずいぶん違うものでした。日本での自動車販売は、主に自動車メーカーとは別の販売会社の販売店が行っています。メーカーとユーザーとのつながりは、あまり強いものではないように思います。

フロント フロント

一方、タイの自動車販売はとてもエネルギッシュです。祭り好きなタイの国民性を生かした販売戦略を展開しています。例えば、燃費を競うエコラン大会や、ツーリングキャラバンなど数多くのイベントを開催するなど、メーカーとユーザーが親密なつながりを持っているといえます。

現地で販売されているいすゞ自動車のピックアップトラックは、何より頑丈で低燃費が売りなのだそうです。低燃費というのは、同じ量の燃料で長く走ることができることを言いますが、販売している車種の中には、走り方によっては1リットルの燃料で57kmも走ることができるものもあるそうです。57kmというと、山手線1.6周分に相当します。

また、タイ国内にオフロードコースを所有していて、購入したピックアップトラックの性能を試したいといったユーザーの要望に応えています。そして、地域の特色に合わせて、会社の機能を7色に変え対応しているということは、日本では見ることができない面白い工夫だと思いました。

フレームの髄まで使いつぶす

修理待ちの事故車群 修理待ちの事故車群

タイと日本の自動車事情には、大きな違いがあります。日本の乗用車が生涯に走る距離は、平均して大まかに10万~20万km、同じ車に10年乗れば長い方だと思います。しかしタイでは、1年で10万km走ってしまう人もおり、加えて同じ車に20年以上乗り続ける人もたくさんいるそうです。

ですから、大切になってくるのが整備と修理なのです。トリペッチいすゞセールス社のすぐ隣には、1997年に完成した7階建ての整備工場があり、高度な修理や車検などを行っています。

整備工場内の様子 整備工場内の様子

整備スペースは実質4階分で、高度な技術が必要な整備場と一般の整備場、トラック用の整備場などに分かれています。各整備フロアには、工場長ポストの人物がいて作業を統括しています。仕事内容は、1階の受付カウンターからコンピューターで送信されてきます。ユーザーは、作業内容をリアルタイムで閲覧できるようになっています。

この整備工場では、高品質なサービスを提供できるよう工夫を凝らしています。例えば、自動車を使って生計を立てている人が多いタイでは、修理に長期間かかってしまうことは、死活問題になりかねません。

そこでこの整備工場では、故障した部分を総取り替えして、ユーザーに車を返してからゆっくりと修理するという手法を、エンジン・トランスミッション系のブースで行っています。そして、修理した部分に保証を付けることで、他の修理工場との差別化を図っています。

事故車ブースでは、日本なら廃車にするようなめちゃくちゃに壊れた車を修理していました。タイでは、多くの場合そうするそうです。再塗装する際は、日の光で微妙に色あせてしまった外装色に合わせて、手作業で色の調節が行われます。

待合ブースでは日本の整備工場にある待合室とは違った雰囲気が漂っている 待合ブースでは日本の整備工場にある待合室とは違った雰囲気が漂っている

また、自動車がないと仕事ができない人のために、待合室にベッドルームや本格的な映画館がありました。タイ南部の方に行くとイスラム教徒が多いので、お祈り部屋が設置されているところもあるそうです。休憩時間に仮眠がとれる従業員用の部屋を設けるなど、従業員への配慮もされています。

整備工場内には、トレーニングセンターもありました。ここでは、新米整備士が、エンジンや電子機器についての知識を身につけるそうです。最近の自動車は、電子機器の搭載数が増えてきているため、故障が複雑になっているそうです。わざと電子機器に故障を起こさせた実車を用意して、それを使って修理のトレーニングをしています。

まとめ

日本人はタイ人を見習って、もっともっと自動車(に限らずすべての物)を大切に、長距離乗るべきです。最近は、生産技術や環境技術の向上などによって、環境への負荷は少なくなる方向へ動いていますが、トータルクリーンという観点から考えれば、日本人の自動車の乗り方は、決して環境によいものとはいえないと思います。いいものを大切に長く使う。タイでは、当たり前のことが当たり前に行われていました。

天然資源は有限です。物質も有限です。大量生産、大量消費している日本は、今こそ効率よく物を使う方向へシフトすることが急務なのではないでしょうか。

[文責:江口]

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南 遼立教池袋高等学校2年・足立 圭桐光学園高等学校2年
南 遼 南 遼
足立 圭 足立 圭

僕たち(南と足立)は小学校が同じで、5年生のときに課外授業で日本の自動車整備工場に行ったことがありました。今回工場に行くまでは、トリペッチいすゞセールス社(TIS)の整備工場の設備はそこよりも低いか、良くてもせいぜい同じくらいだと思っていました。

しかし実際に訪ねてみて、設備はもとよりそのほかの、例えばお客様に対する心遣いなど、あらゆる面においてTISのレベルの高さに驚かされました。今回は、TISがなぜそこまで自動車整備工場に力を入れているのかということを中心に考えていきたいと思います。 

まず、TISの自動車整備工場について考える前に、僕たちが聞いたTISという会社について説明したいと思います。TISは、1974年にタイ国三菱商事から分社して設立し、87年にエンジンの組み立てを開始。そして、98年のアジア通貨危機により経営が苦しくなることがあったものの、商用車では現在まで22年連続シェアNo.1を獲得しているそうです。

ここで僕は率直に思った疑問、「いすゞと三菱自動車は関係ないのか」ということを質問してみました。そして、返ってきた答えは……全く関係ないということです。

TISについて説明したところで、僕たちが行った整備工場について書きたいと思います。整備工場の大きさは5階建て。奥行きもかなりありました。整備工場の1階部分はトラックとピックアップ車のクイックサービス(時間を短縮する代わりに値段を安くし、早く簡単な修理をしてほしい人に最適)、2階部分は車の中でタイでの需要が圧倒的に高いピックアップ車、3階部分は駐車場、4階部分は駐車場と整備練習するところ、会議室などがありました。そして、最上階である5階部分は従業員の食堂になっているそうです。

各階の役割がしっかり分かれていて、それぞれに部品ストックがあります。ここに収まり切らない部品(使用頻度が低い部品)は、ここから1時間ぐらい行ったところにある、会社の敷地にまとめて置かれています。すべての機能は、地下室にあるコンピューターで管理されています。

受付。ATTENTION PLEASE 受付。ATTENTION PLEASE

今回、驚いたことが主に2つありました。1つ目は、2階部分にあるお客様待合室です。そこには、子供が遊べるような遊具施設(KID’S LAND)やベッドルーム、ゲーム機、映画館、そして今までの修理のお金、時間、個所がわかるパソコンがありました。

何と、すべて無料です。僕は、なぜそこまでするのかという疑問がありました。その答えとして、「ここに来るお客様は、トラック運転手など、車がなくては仕事ができないお客様で、修理に出している時間に暇を持て余さないように、ということを一番に考えました。だから、映画館では1日3回、ハリウッドものを中心に上映し、仮眠室を男女別にして疲れを癒やせるようにしました」とおっしゃっていました。

映画館設置。まさかここまでするとは 映画館設置。まさかここまでするとは

現に、月曜日に行ったにもかかわらず、待合室では多くの人が待っていました。ちなみに休日になると、ここの遊具施設目当てに地元の子供たちがたくさん遊びに来るそうです。ここでも、TISの基本戦略である、未来の顧客になるであろう子供たちに「車といえばいすゞ」というイメージをつけさせていると感じました。

2つ目に驚いたことは、毎年、各社内の整備工場で選ばれたエンジニアによるコンテスト(6月予選・12月全国決勝)があることです。出場チームは12。優勝者にはTISから15万円、オーナーから100万円ほど渡されます。オーナーたちは、自分の整備工場から優勝者が出ることをとても名誉なことと感じているそうです。

成績結果 成績結果

コンテストは、フロントマン、メカニック、インストラクター、道具改善(新しく便利な道具を生み出す)という4つの分野に分けられています。そのコンテストの結果が発表されている写真を載せておきました。

ここで、面白い話を1つ。これは実際にあった話のようですが、タイ南部にある中国系(華族)の人がオーナーを務める整備工場で、その中で選ばれたエンジニアと応援者たちが全国大会に参加するためにバンコクに行こうとしました。

お金はオーナーが出すのですが、人数が多いため夜行列車で10数時間の長旅になってしまいました。しかし、コンテストで何とその人が優勝。すると……オーナーの態度が一転、その日に予約していた夜行列車をキャンセルすると、参加者と応援団を、バンコク市内で一番高級なホテルに招待し、夜まで飲んだり食べたりの大騒ぎをしていました。そして、次の日に飛行機でゆうゆう帰っていったそうです。この話でもオーナーの名誉欲がわかります。

今回、僕が思ったこと、そして最初の疑問「なぜここまで自動車整備工場にこだわるのか?」の答えは、TISの社員の人の「1度、いすゞの車を買っていただいたお客者に、次も絶対いすゞの車を買っていただきたい」という言葉で理解できました。ここの施設にこれだけお金を費やすのは、言葉は悪いが「次への投資」ということのようでした。これが僕の結論です。

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