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専門医に聞く心不全診療 ― 進む地域の医療連携

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超高齢社会の進展に伴う心不全患者の増加に対し、医療現場ではどのような対応が進んでいるのでしょうか。多くの重症心不全患者の治療にあたり、臨床研究にも精力的に取り組んでいる大阪大学の坂田泰史教授(循環器内科学)に話を聞きました。

大阪大学大学院医学系研究科 教授 / 大阪大学医学部附属病院 副病院長
坂田 泰史(さかた やすし)
1993年、大阪大学医学部医学科卒。2002年に医学博士を取得し、同年から2年間、米国テキサス州ベイラー医科大学循環器内科へ留学。帰国後は大阪大学医学部附属病院循環器内科で臨床に携わりながら、循環器疾患に関する研究と後進の教育に力を注ぐ。

予防と早期発見が大事 「前段階」でリスクに気づく

 心不全とは、心臓のポンプ機能に異常があり、そのために全身に様々な症状が出ている病態をいいます。ポンプ機能が弱まると十分な量の血液を全身に送れなくなって「うっ血(血液の滞留)」が起こり、息切れ、むくみ、せきなどの症状が表れます。こうした症状は心不全以外でも起こるため、心臓が原因かどうかを見極めるために、胸部レントゲンで、心臓が拡大していないか、血流が滞ることで肺に水がたまっていないかなどを確認します。

 また、BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)というホルモンの血中濃度を心不全の診断指標とすることもあります。このホルモンは心臓に負荷がかかると濃度が上がるため、症状の出ていない「心不全の前段階」でリスクに気づくことができます。

 心不全になっても、薬物や手術などの適切な治療を受ければ、心臓の正常な機能を取り戻すことが可能な場合もあります。早く異常を見つけて心臓の機能悪化を防ぐことが重要です。

多職種が連携して 患者さんを地域社会で支える

 高齢化に伴い、心臓の病気以外に認知症がある、感染症を起こしやすい、栄養状態が悪いなど、心不全患者さんの病態は多様化しています。治療を受けながら住み慣れた地域で自分らしく過ごせるように対応していくためには、医師、看護師だけでなく、介護職員、薬剤師、栄養士、リハビリテーション技師、臨床心理士など、多職種の連携が必要になってきます。

 地域の医療連携は確実に進んでいます。患者さん向けのツールの共通化が進めば、連携はさらに進むでしょう。例えば大阪では、「大阪心不全地域医療連携の会(OSHEF)」が中心となり、患者さんのための自己管理ツール「ハートノート」の普及に取り組んでおり、大阪大学も参加しています。

心不全診療の発展に向けて

 治療技術の向上はもちろん、心不全を予防するための医療関係者向け講習会や勉強会は数多く行われ、医師をはじめ多職種の方が積極的に参加し、情報や知識を共有しています。患者さん向けの勉強会、市民公開講座の開催も、心不全リスクを自分事としてとらえてもらう上で大切です。心不全医療のニーズに合わせて、これからも様々な形のアクション(行動)を模索していきたいと思います。

広がるハートノート 大阪府内の導入病院 ※ 2024年7月30日時点

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