誰にでも起こり得るメンタルヘルスの不調
自分や身近な人が精神的な不調に悩まされたことがなければ、「メンタルヘルス」(精神面における健康のこと)と聞いても他人ごとのように感じるかもしれません。ですが、精神疾患は健康か病気か、0か1かではなく、健康な状態から専門的なケアが必要な状態までひと続きになっていて、様々な状態を含んでいます。統計では、4~5人に1人が生涯になんらかの精神疾患に罹患し※1、その多くは思春期に発症するといわれています※2。実は誰でもかかりうる(罹患しうる)身近な疾患であり、また対処の遅れにより重症化することもあるため、近年、メンタルヘルスは高校の学習指導要領に盛り込まれるなど、学校教育で学ぶこととして取り組みが進んでいます。それほど、誰にとっても自分ごとの問題なのです。
メンタルヘルスケアで重要なのは、不調の予防、不調の早期発見、そして回復を支える環境づくりでしょう。まず、予防はストレス対策。規則正しい生活を送り、十分な睡眠をとる、日頃から自分なりのリフレッシュ方法を用意しておき、ストレスが許容量を超えそうになったらすぐに実行に移す、誰かに不安や悩みを聞いてもらうなどです。いずれも基本的すぎると思われるかもしれませんが、不調の兆しは、その人の心と体と行動に現れます。ですので、異変に早く気づくためにも普段の自分を知る、普段の自分を周囲の人に知っておいてもらうことがとても大切なのです。不調に陥った時、何をすべきか理解しておけば、速やかに専門家や相談窓口を利用するなどの対処につながりやすくなります。また、適切な対処をとることができた経験は、回復するだけでなくその後の成長にもつながる可能性があります。
- ※1 出典:世界精神保健日本調査セカンド http://wmhj2.jp/report/
- ※2 出典: Solmi M, et al. Mol Psychiatry. 2022 Jan;27(1):281-295.
メンタルヘルスについて当たり前に語れる社会に
「今うつ病で…」「元気がなくて」とDMやコメントが届くと、励ますつもりで「大丈夫、上げていこー!」といった感じで返していました。事務所のマネジャーさんに「もう少し慎重になったほうがいいよ」と言われ、きちんと正しい知識を得ようと講習会に参加しました。メンタルの不調は誰にでも起こり得る、だから、不調に早く気づけるよう知識を持っておく。そして、不調を感じたら周囲の人に話を聞いてもらう、早めに心療内科などを受診する。今日は、そうした専門のクリニックも保険診療で受診できると知って安心しました。以前は「忍耐が足りないからだよ」などと言われていたうつ病も、今は治療すべき病気だとみんなが理解しています。だから、今日、自分が学んだこともどんどん発信していくことで、みんなの当たり前にしていけるといいなと思っています。