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大国へ成長する中国の象徴、高級住宅街「第五園」
市内では高層マンションが立ち並ぶ
ツアー3日目。僕たちは中国広東省深圳(しんせん)市を訪れ、中国最大の不動産会社「万科(ばんか)」のショールームと高級住宅街「第五園」を見学した。
深圳市は1980年、改革開放路線を推し進める鄧小平(とう・しょうへい)によって経済特区に指定され、急速な経済発展を遂げている。中国では、香港・マカオに次いで所得が高い。経済発展が著しいということは多くの富裕層が生まれる。「第五園」はそういった富裕層を対象にした、高級住宅街である。
万科は近年急速に広まる「CSR(企業の社会的責任)」に基づき、利益を追求するばかりでなく社会貢献も重視した企業運営を中国でいち早く取り入れた。そうした活動は、中国ばかりでなく世界有数の経済誌「Forbes」で取り上げられて評価されるなど、世界的にも有名な企業だ。現在、中国では物件価格の下落が目立つ厳しい環境にあるが、万科は順調に利益を上げ続けている。
高級家具が置かれるモデルルーム内
万科ショールームは、2007年に中国で住宅設備を展示する初の施設として開館。ここでは万科の目指す、人間工学に基づくユニバーサルデザインなどに配慮した「新しい」住宅設備を体験することが出来る。だが、日本人から見れば「新しい」発見は見つかりにくいかもしれない。ここで展示されていた設備というのは、日本では既に生活の一部として定着しているものが多かった。
それが何を意味するのかといえば、中国における生活設備の水準は既に日本とほぼ同じレベルにまで引き上げられている。そして、製品に付加価値を求める余裕のある人間が増えているため、それらが徐々に浸透してきているということだ。
日本では、日本を東アジアの大国であると自負し、中国を様々な面から日本と比較して過小評価している人もいまだに多くいる。しかし、こうして中国の発展を目の当たりにすると、中国が東アジアにおいて中心となる日は極めて近いと改めて実感するはずだ。その日が訪れたときに、日本がいかに影響力と地位を保っていくのかを、今のうちから考えておかなければならないだろう。
第五園は東京ドーム約10個分の44万平方メートルという広大な敷地内に5000戸余りの住宅を6期に分けて建設する大型プロジェクトで、三菱商事は現地法人の三菱商事(広州)有限公司を通じて第3期から日本製のエアコンを納入している。都市部から車で1時間近くかかる郊外に位置しているため、入居者はここの邸宅を自宅として住むよりも、平日は都市部で、休日はこの閑静な高級住宅街で過ごすという優雅な生活を送っている人がほとんどだそうだ。ゲートには警備員の詰め所があり、広大な敷地内を移動する際は、テーマパークにあるような小型車両が送迎をしてくれるなど、安全で快適なリゾートそのものだ。
ゲートは警備員が常駐している
今回僕らが見学した約48坪の敷地に建つモデルルームは、ここでは平均的な広さの住宅だ。しかし、部屋数が多いために、一部屋や廊下が個人的には狭く感じられた。さらに、付近には公共交通機関がないので、車が欠かせない。
深圳市内の平均的なマンション一部屋の値段が2000万~3000万円程度に対して、そうした条件にもかかわらず、第五園の平均的な一軒の値段は4000万~5000万円する。それでも売れ行きは悪くないというのだから、この第五園は深圳市、そして中国の経済発展を象徴しているといえるだろう。
この急速な発展を遂げる深圳市の父と言われる鄧小平。彼の唱えた「先富論」が忘れ去られることなく、近い将来実行されることを祈りたい。
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中国の巨大な住宅市場
総資産約1兆5000億円、売り上げは8000億円となり、今や中国随一の不動産会社となった大企業「万科(ばんか)」。ツアー3日目にその万科を訪問した。モダンでさっぱりとしたデザインの社内、そこで案内役の方が僕たちを迎えて下さった。
世界有数の不動産企業、万科
万科は1984年に国営企業として設立され、その4年後に株式会社となり、1991年にA株式市場で上場を果たした。2007年度に売った住宅は5万件と、世界でもトップの数字である。そして、2014年までには約1兆5000億円の売り上げを目指しているという。顧客の満足度は89%と高い水準を誇っている。
しかし、これほどの大企業でありながら、中国国内全体でのシェアは2.1%ほど。中国市場がいかに巨大なものなのか、それをこの数字から思い知らされた。
三菱商事はこの万科にダイキンのエアコンを専売的に納入している。ちなみに、日本メーカーの設備があるだけで、ビルや住宅は約2割増しの価格で売れるという。この話を聞き、日本企業の高い技術力を誇らしく思えた。
説明の後は、最新の住宅機能を展示したショールームに案内された。展示品はどれもユニバーサルデザインをコンセプトに作られている。段差を少なくした床、使いやすさを考えて設計されたキッチン、障害者やお年寄りのために手すりが付けられた風呂やトイレ、採光のための窓、さらにはメンテナンスがしやすいようにデザインされた水道の配管などなど。これらは、日本ではよく知られた機能ばかりである。
今や中国でも生活のゆとりができて、消費者がそういった「付加価値」を求めるようになった。また、そのような新しいテクノロジーに対応し得る企業も現れてきた。
無数に立ち並ぶ白い住宅
日本を追い越す勢いで成長を続ける中国。その中国における住宅機能の発展に、技術を持った日本の企業はどう対応し、中国市場に参入するのか、そこに最も興味を引かれた。
ショールームを後にし、僕たちは万科が実際に住宅を建てている「第五園」という場所に行った。44万平方メートルの巨大な地域に6期に分けて約5000戸の住宅を建設する計画がなされている。現在は3期までは完成しており、数戸を残してほぼすべて完売しているというほどの人気ぶりだ。4~5期は今建設中で、6期はまだ計画の段階だそうだ。
「第五園」の中をモデルハウスまで車で案内してもらう。約150平方メートルで2、3階建て、地下室付きの豪華なコンドミニアムである。外観はとても奇麗で、まるでドラマや映画のセットの中にいるようだ。中に入ると広いリビングがあり、ソファーやキッチンが置かれている。ここにも万科の住宅の特徴を見ることが出来る。中国では内装がつかない家が一般的であったが、顧客のニーズに対応して内装付きの部屋を売り出したのだという。
屋上に出てみると、整然と白い壁の住宅が並び、一定の幅で道路が通る計画都市「第五園」が一望できた。視界いっぱいの建物すべてを万科が建設したものだと考えると、その巨大さに改めて驚く。
日本と同水準、あるいはそれを超える技術を見せる万科。その力強い企業が持つ影響力を肌で感じた。
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