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香港に暮らす人々を支えている香港電燈ラマ発電所
ツアー4日目の8月8日(金)、ラマ島にある香港電燈発電所を訪れた。ラマ島は香港島の南、フェリーで20分程の場所にある。今から30年前、発電所は香港島にあったが、電力需要の増加により、発電所の規模を拡大する必要が出てきたためラマ島に移転した。
香港電燈ラマ発電所の外観。煙突は215メートルです
今回、僕達にこの発電所について教えてくれたのは、英語も中国語もできる現地のスタッフの方で、英語で説明してくれた。このラマ島の発電所では約600人のスタッフが働いている。
1978年、三菱商事は香港電燈ラマ発電所の建設を香港電燈から受注し、三菱重工、三菱電機とともに担当することになった。建設を開始した頃のラマ島には小さな村しかなく、土地も狭く、荒れていて、水道水もなかった。まず、土地を整備し、道路を作るところから始めた。
ラマ発電所のコントロール室。全ての設備をここで監視しています
実際の建設が始まったのは1980年で、1982年に第1号機が完成し、石炭を燃やして、電力を供給し始めた。その後も次々と建設され、8号機まで作ることができ、同時に高さ215メートルを誇る煙突が3つ建てられた。2002年には地元の人たちを中心に埋立地を作り始め、そこに新たな発電所を建設し、今度は天然ガスを使って電力を供給することが可能になった。このプロジェクト全体の建設費は、およそ5000億円かかったと言われている。発電所を建設する上で一番苦労したのは高さ215メートルの煙突だったそうだ。煙突をこの高さにした理由は、周囲の環境に悪影響を与えないようにするためである。
僕達は発電所のコントロール室に案内された。コントロール室は24時間365日監視されており、何かあった時はいつでも対策がとれるように、準備万端の体制である。定期的に避難訓練も行われ、スタッフ一人ひとりの役割がそれぞれ決まっているそうだ。
コントロール室はいくつもあり、僕達が見学した部屋には9人いて、火力発電や遠くにある風力発電のコントロールを行っている。また、電力の供給量なども簡単にチェックすることができる。
火力発電の原料となる石炭は、主にインドネシア、オーストラリアから輸入している。石炭はベルトコンベヤーで運ぶことができるため、人の手はあまり必要ない。また、石炭は風で飛ばされることが多いので、隣に大きな山を作り、さらに緑のパイプから出る水を石炭にかけることで、飛ばされにくくしている。
石炭を使用して電力供給するガスタービン
また、僕達はガスタービン、石炭を砕く装置、配管、ボイラーなどを見学した。石炭を使って、電力を供給する方法は次の通りである。まず、石炭は細かく砕かれ、次にボイラーで燃やされ、配管を通って、最後にガスタービンに運ばれる。そして、圧力を加えることで電力を供給することができる。音は非常にうるさく、騒音レベルはコントロール室で監視されている。
石炭を燃やすと、主に4種類の有害物質が発生する。それは、窒素酸化物、硫黄、煤塵(ばいじん)、そして二酸化炭素である。この発電所では周囲の環境に悪影響を与えないため、排煙脱流装置を設置しており、酸性雨を作り出す窒素酸化物、硫黄、煤塵などといった物質を取り除くことができるが、二酸化炭素だけは取り除くことはとても難しい。そのため、2006年にはよりクリーンなエネルギー天然ガス焚き火力発電所が完成。環境対策に乗り出している。
現在、この発電所の発電用量は約3755MWで香港島とラマ島に暮らす約55万世帯に、海底のケーブルを通して電力を供給することができ、今日も人々たちの生活を支えている。僕達が行った世界三大夜景のビクトリアピークの夜景も、この発電所のおかげである。
僕は、このラマ島の発電所の建設に日本の技術が色々な形で生かされていることに、とても感動した。働いているスタッフの方々は、現地の人たちの暮らしを支えていて、とても立派だと思う。私達が当たり前に使用している電気はどのように作られ、どのように供給されているのかを、今回の訪問で知ることができた。さらに、今後も地球温暖化を防げるような環境を考えて発電所を目指していって欲しいと思う。
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ビクトリアピークの“夜景”を製造──香港電燈ラマ発電所
私が体験ツアーの中で最もインフラプロジェクトを体感したのは、香港電燈ラマ発電所であった。大きな発電機に描いてあった三菱のマークは今でも目に焼き付いている。三菱グループが日本で培ってきた技術を香港で最大限に生かしていることを、実際に自分の目で見て理解できたことに感激した。
フェリーから見えた発電所。3本の大黒柱(煙突)
発電所があるラマ島には、香港島から専用フェリーで渡った。小心者の私は、しきりに揺れる船内にドキドキしながらも、外の景色に次第に目を奪われていった。そこからは、たくさんの国のカラフルな貨物船が見え、香港が世界で有数の自由港だと言うことを改めて実感した。ラマ島に近づくにつれ、ようやく発電所の全容が明らかになってきた。長くそびえる3本の煙突からは、発電所の規模の大きさがうかがえた。
ラマ島に発電所ができたのは1982年のことだ。以前は香港島にあったのだが、都市化が進んで電気需要量が増えたので、ラマ島に移動してきた。現在、ラマ島で作られた電気は地下にある送電線を通じて香港島へ送られている。こんなに大きなプロジェクトに三菱商事が関わっていることを知り、その事業範囲の大きさに驚いた。
発電所が生み出す百万ドルの夜景
発電所では火力・天然ガス・風力の3つのエネルギーで発電を行っている。すべての発電はコントロールセンターで制御されている。センターには大きな画面やたくさんのスイッチが並べられていて、これが発電所の中核かと思うと少しびくびくした。また発電所内では、所々床が金網のようなもので作られていたり、重機の下にローラーが付いていたりしていた。これはすぐにメンテナンスができるようにするためらしい。事故発生防止のための徹底した管理があるからこそ、環境問題などへの様々な取り組みができるのだと思う。
現在ではクリーンな発電をするために、様々な工夫がなされている。私はその中で二つの技術に注目した。一つ目はコンバインドサイクルである。空気圧縮と排気の熱により、ガスタービンや蒸気タービンを回して発電を行う、まさに二つの発電が合わさった方法である。これにより40%程度であった熱効率を55%まで上げることができた。二つ目は電気集塵(しゅうじん)機である。この装置は、排気に石灰をスプレーすることで、酸性雨の原因となる硫黄酸化物を排除している。90%以上の排気の清浄化が望め、ほぼ無害化できると言うことであった。このような環境対策の自主活動のために、これからどのようなことにも対応できる技術の開発が求められているのだと思う。
発電所を見学した日の夜、私たちはビクトリアピークを見学した。ライトアップされた町並みがきれいで輝いていた。やはり、私たちの生活と電気は切り離せないものだと実感した。香港電燈ラマ発電所にはいつまでも美しいビクトリアピークの夜景を作っていってほしい
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地球環境に配慮するラマ島発電所
当初は2日目に訪問する予定だったが、台風により船が欠航となり4日目の訪問となったラマ島発電所。香港島からフェリーに揺られ約20分。私たちは香港電燈ラマ発電所へ到着した。ここ香港電燈ラマ発電所は、香港島・ラマ島のすべての電気を作り供給しているという、とても重要な任務を背負う発電所だ。
フェリーから臨むラマ島の発電所
ラマ島発電所では火力発電(石炭・天然ガス)、香港初となった風力発電、太陽光発電を行っている。発電設備は、香港三菱商事が香港電燈から受注を受け、三菱重工、三菱電機が誇る最先端の日本の技術を導入したものである。
香港電燈は香港島にて1890年ワンチャイ発電所として始まった。当時の電気は道の電灯や水道水を持ち上げる時に使う電気に使われていた。その後電力需要が多くなり、1968年現在のラマ島に移された。
「火力発電」と聞くとどんなことを思い浮かべるだろうか。私は、世界で最も利用されている発電法。しかし発電時に二酸化炭素を排出して、地球温暖化の一因となっている。その他の廃棄物を含め、環境に悪いというイメージを持っていた。
香港島・ラマ島全域に電力供給されている
しかし、香港電燈では効率の良い発電、また90%以上の硫黄をカットする排煙脱硫装置、電気式集塵装置、排煙脱硫装置などの設備を始めとして、環境にとても配慮した、環境への影響がとても少ない方法で発電を行っていた。
石炭での火力発電時にでる煤塵を例にあげよう。電気式集塵装置を使って99.5%以上除去し、残ったものは石膏としても使える。一時も無駄がない。
そして天然ガスでの火力発電時ではコンバインドサイクルが用いられている。これは、ガスタービンを使って発電した後、その排熱を利用し蒸気を作り、その蒸気を蒸気タービンで発電する、という二方法での発電法だ。世界トップクラスの熱効率55%以上の発電を実現している。限りある資源を大切にという考えをもとにし、また燃料費節減にもつながっている。
香港電燈ラマ島発電所は、香港島・ラマ島に住む約55万世帯の人々が必要とする電気という需要に応え、それだけでなく、世界で問題となっている環境問題に対しても真剣に取り組んでいるのだ。そんな姿勢に私は深く感銘を受けた。
世界トップクラス! コンバインドサイクルによる火力発電
発電システムはすべてコントロールセンターにあるコンピューターで管理・制御されている。また、ラマ島内には緊急時の対策として、ヘリポートも用意されている。
物流の街、金融の街である香港。しかし、島国であるため人が住める個所が限られているという側面もある。言い換えると電力需要が伸びないという街だ。そんな香港島に電気を供給している香港電燈に今求められているもの、それは環境への配慮だ。近頃は上記の通り方針を環境対策へと切り替えつつあるという。また寄付、募金活動等も行っていて社会に貢献もしているという。
香港島・ラマ島の電力供給を一手に担うこのラマ発電所。環境に配慮し、安定した電力を日夜供給し続けている。私はそんな巨大なインフラプロジェクトを目の当たりにし、事業の奥深さを感じることができた。
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