• 海外プロジェクト探検隊~世界の仕事現場を見に行こう!~  「海外プロジェクト探検隊」は、三菱商事が海外で展開しているさまざまなプロジェクトの現場を高校生たちが訪問し、現地の模様や肌で感じたことをリポートするシリーズ企画です。 海外プロジェクト探検隊~世界の仕事現場を見に行こう!~

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vol.1夏休み ブルネイ LNGプロジェクト体験ツアー

生活文化体験

保戸塚 弘明 学習院高等科3年/猪俣 貴寛 学習院高等科1年
保戸塚 弘明 保戸塚 弘明
猪俣 貴寛 猪俣 貴寛

朝市のエナジー

椰子の実、マンゴー、あらゆる種類のバナナの山。干し魚、赤と緑の唐辛子、そしてジャックフルーツの放つ強烈な匂い。1ドル飯屋からは鍋を振る音、向かいの骨董(こっとう)屋に並べられた昔の紙幣、その店の前に座り込んでなにやら金属製の道具で黙々と木刀を削るじいさん。ブルネイの朝市の風景である。

目にも鮮やかなブルネイ朝市 目にも鮮やかなブルネイ朝市

1日目・2日目とLNGプラントやマクファームなどの技術施設、またトゥンブロンの大自然を見てきたが、ブルネイに実際に住む人々の生活というものを、この朝市で初めて実感した。聞くところによると、朝4時ごろから川に面した広場には市が立つそうで、売られている野菜などはその川を利用して隣国マレーシアから運んでくるらしい。朝から日本にはない庶民の活気・漂うエネルギーを肌で感じた。

いとも豪華なる王宮博物館

これが黄金に輝く御所車。乗ってみてえ… これが黄金に輝く御所車。乗ってみてえ…

その後、現地ガイドの川田さんに連れて行ってもらったのがブルネイの王族に関する展示物が並ぶ「王宮博物館」である。まず度肝を抜かれたのが、高さ3メートル、長さは本体だけでも10メートルはあろうかという黄金をふんだんに使った御所車。式典パレードの際に使われたそうで、その巨大な御所車2つが館内に納められている。また結婚式の際に使われた物でも衣装・王冠、そして顎のせに至るまで純金製で、まさにブルネイ王国の持つ富の莫大さがうかがえる。

話を聞くと、このブルネイではハサナル・ボルキア国王による立憲君主制がとられているが、国王は人々に尊敬・信頼されており、国家は安泰な状態だという。その証拠に街のいたるところにボルキア国王の肖像が掲げてある。

回教国ブルネイ

ニューモスク。これまた壮麗な建築 ニューモスク。これまた壮麗な建築

その国王が在位25周年を記念し、自身の個人資産によって建立したモスクがニューモスク。正式名称は「ジャミ・アサル・ハサナル・ボルキアモスク」といい、今回の文化体験ではそこも訪れた。正面から見て真ん中にドームが、四方には高いミナレット(尖塔)があり、豪壮な装飾を施した建築で、収容人数5000人というブルネイ一のモスクである。外壁のタイルをよく見ると青い色が奇麗で、日本では見られないような青磁色に近い何ともいえない青だ。

モスク内に入るに際しては「女性は素肌を見せない」という戒律から、異教徒の観光客でも女性は黒い布を肩から羽織り、お祈りに来るムスリムは聖水で体を清めてから入らなければならない。また祈る場所であるドームも、男が大きいドーム、女は一回り小さいものと別になっていた。

やはりイスラムの寺院・モスクというのは市内の他のところと違って、神聖で特別な領域であるのだなと感じる。ドームの中には絨毯が敷き詰められ、回教徒でないとそこには足を踏み入れることが出来ないが、白い内壁に黄金で書かれたアラビア文字の形の複雑さ、美しさは非常に印象に残った。

イスラム教がメジャーでない日本において、モスクといったイスラム教の建物を訪れる機会はめったになく、また実際のイスラム教そのものについて知ることも少ない。テロなど最近の世界情勢のニュースを見聞していると、イスラム教は「おっかない」というイメージを自然に持っている人が多いのではないか。しかし実際に回教国・ブルネイを訪れてみると、イスラム教は全く物騒な印象を与えない。当然のことながらイスラムは暮らしの中に溶け込んでいるものであり、古くから根付いている人々の日常の一部だ。

また川田さんの話によると、1日5回のお祈りを必ずしも全回教徒が行うわけではなく、1日1回程度の人、もしくは全くやらない人も多いそうで、他の回教国ではどうかわからないが、少なくともこのブルネイでは寛容に、ほどほどに掟が守られ、現在まで至っているようだ。この4泊5日で「イスラム」というものが非常に身近に感じられるようになった。熱帯の夜、一日の終わりにどこからともなく聞こえてくるコーランの放送も忘れられない。

水上集落と子ども

カンポンアイールでの風景。 カンポンアイールでの風景。

ブルネイ博物館の展示によると、この国は遠い昔から海のシルクロードの要衝として栄えた地だそうだ。その名残もあってか、ブルネイには世界最大の水上集落がある。今回の取材ではそのカンポン・アイール(水上集落の現地名)も訪れた。モーターボートで陸地の川岸から集落内へと入ると、本当に何でもある集落、いや「まち」となっているのだ。

製菓業を営むおじさんに案内してもらった。水上モスク、水上小学校、水上病院。商店も多く普段の生活に困らないとおじさんは言う。川の水は国立公園と違って濁ってはいるが、もちろん生活用水には困らないし魚もいて、台風や地震は来ないので水害も少ない。また首都の中心部へは車より船で川を移動した方が早く利便性がよいのだそうで、水上生活はやめられないといった感じである。

ただやはり災害を懸念して政府が陸地に家を提供する移住政策をとっているそうなのだが、なかなか水上の人たちが家を移そうとしないのもうなずける。それにしても、ここに住む子どもたちは本当に楽しそうだ。みんなして縦横に渡された桟橋(これが町の道路である)の上で追いかけっこをしたり、自転車を乗り回したり、凧揚げをして遊んでいる。日本の子どもよりだいぶ目の輝きが違うような気がしてならない。ただお金が豊富なだけではなくて、この国の本当の豊かさは子どもたちの目に表れていたように思う。

帰りの船上で、暮れかけるカンポン・アイールの空に子どもらが操る凧が無数に舞っているのを見て、本当に感動した。

(文責・1年猪俣)

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平山 雄大千葉県立佐原高等学校2年/五十嵐 光嗣千葉県立佐原高等学校2年
平山 雄大 平山 雄大
五十嵐 光嗣 五十嵐 光嗣

いよいよ現地滞在も後わずかになってしまいました。4日目は、午後から生活文化体験ということで市内を観光した後、昨日国立公園に向かう船内から見た水上集落の実際のお宅に伺います。それでは、出発です。

まず初めは、ニューモスクと呼ばれる、現国王が自らの個人資産で国民にプレゼントしたモスクを見学しました。モスクというのは本来男性が神に祈りをささげるための施設ですがここニューモスクでは国王が「女性にもモスクを」ということで、女性用礼拝堂も併設されています。モスク内部では男性と女性は完全に分離されています。女性は男性の見えないところで小さな礼拝堂で拝み、宗教指導者からの法話も男性用礼拝堂にて行なっている様子をテレビモニターで見られるようになっています。

モスクの外観 モスクの外観

イスラム社会では男性の力が強いので仕方ありませんが、小さい女性用礼拝堂でも1500人が収容できます。基本的に異教徒はイスラム教の聖典コーランに触れることはできません。本来お祈りをする施設なので、静かに見学させていただくことになります。ここモスクからメナレットと呼ばれる塔を用いて、塔内部のスピーカーから1日5回「放送が聞こえる範囲の信者はお祈りに来ましょう」と放送しています。このメナレットの高さは56mで、ブルネイではこれより高い建物は建ててはいけないそうです。建築の面からも、イスラム教中心社会であるということがわかってきます。

続いて向かったのは国立博物館です。この博物館ではイスラム教の結婚式の様子が人形で展示されていたり、古くからこの島に伝わるとても大きな南京錠などが公開されています。なぜ、南京錠がそんなに大切かといいますと、イスラム教では利息を取ることを禁止しているためにごく最近まで銀行が無く、人々は自分達の資産を蔵に鍵をかけてしまっていました。そのため、頑丈なものや飾りのついたものなど多くの南京錠コレクションが保存されています。館内は撮影禁止で様々な収蔵品を写真にして皆さんにお見せできないのは残念ですが、コレクションの多さには思わず目を見張りました。

帽子がよく似合う2人 帽子がよく似合う2人

国立博物館の次はハンディクラフトセンターにお邪魔しました。ここでは、工場と職人養成所と展示即売施設が一体になっていて、マレー社会伝統の帽子を見せていただきました。僕は帽子が似合う男ではないので被ってみませんでしたが、広告局の井上さんと学習院の猪俣さんはとてもよく似合っていました。

いよいよ最後は水上生活者のお宅訪問ということで、今日も船に乗って出発です。今回乗った船は結構大きく、地元の方が使っている船を水上タクシーと呼ぶそうですが、これは水上バスと呼んでいいのでしょうか。水上集落には学校もあります。もともと、水上集落はブルネイにマレー人がやってきたときに開発が始まりました。その理由は先住民の攻撃を避けたかったのと、この地方では現在撲滅されていますが当時はマラリアが流行しており、蚊にさされると命を脅かされるので、絶対蚊のいないところに住みたかったようです。この水上集落は川の河口ですが、海からの海水が入り込むために蚊がタマゴを埋めないようです。

水上バス? 水上バス?
水上の小学校 水上の小学校

この水上集落の特徴は、世界最大にして電気・ガス・水道が完備された水上都市であるという点です。ですから水上集落の家といっても、住民の方たちはテレビもあれば、電話もあるという一般の家庭と変わりない生活を送られています。実際水上集落の住民の方からお話を伺っても、生活上頭の痛いところは無く、ペットもニワトリと猫を飼っているそうです。

しかし、やはり骨組みが全て木で家と家の間が桟橋でつながっているために火災の危険が大きいので、ブルネイ政府は陸への移住を推進していて、希望者には土地代は年賦負担で新しい家を用意してくれるようです。今回お話を伺った方は、陸に別荘を持つならいい話だけど、先祖伝来の水上の家を離れたくないとおっしゃっていました。

このように、服装や文化・生活については所変われば色々と興味深いことがあり面白いなと思いました。ほかにも海外ではそこにしかない独特の風俗・伝統があるので、まだまだ見に行ってみたいなと思います。

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野村 遙子山口県立徳山高等学校1年/藤井 菜野子山口県立徳山高等学校1年
野村 遙子 野村 遙子
藤井 菜野子 藤井 菜野子

生活と文化のちがいを発見して

ブルネイの王子様は去年、愛くるしく上品な女子高生と結婚されたということを、何度もテレビで拝見した。その時、なんだか幼い頃思い浮かべたアラビアンナイトにでも出てきそうなおとぎの国だなと思った。同じ女子高生として感じることは、「なんとイケテル国なのだろう」ということ。小説のストーリーにでも出てきそうではないか。今回、実際にその国を訪れることができるというわけでとてもわくわくした。

私たちはイスラム教のモスク、今の国王が建てたニューモスクに入った。外から見るととても大きくて白と青で塗りわけられていて、本当にきれいな建物だった。観光客の女性は黒いマントを着ないとモスクの中には入れなかった。

モスクの前で モスクの前で
水上の家たち 水上の家たち

中には、男性用と女性用の礼拝堂があった。元々、モスクは男性のみのためだったけれども、国王が女性も礼拝できるようにと、女性用の礼拝堂が造られた。中の階段は、数えてみるとなんと29段!!今の国王が29代目というわけでモスクの中には29という数にちなんだものがたくさんあるそうだ。

礼拝堂に入る大きな扉を開けると、中は床一面、びっしりと絨毯が敷きつめられていて明るくカラフルな感じだったが、まさに神聖な空気が流れていた。よく見ると、人、1人乗れるくらいの大きさに区切ってあり、その1つ1つにこのニューモスクの絵が描かれていた。イスラム教の人はこの上に乗って、アラーに向かって1日5回お祈りをしているそうだ。この日はたまたまお祈りをしている市民の方がいて貴重なシーンを見ることができた。

水上集落を歩いてみて 水上集落を歩いてみて

ブルネイでは人口の70%の人がイスラム教だ。国教ももちろんイスラム教。3代目の国王の時に国教になった。それに対して日本のイスラム教徒は7万人、昔に比べたら増えたそうだけれども、やっぱり比率がぜんぜん違うなあと思った。イスラム教の国ではあるが、ブルネイの街を歩いている女の人の服装はさまざまで、スカーフを巻いていない普通の格好をしている人も多く見かけた。たださすがに日本と違い、口があんぐり開いてしまうようなファッションをした人に出くわすようなことはなかった。

博物館ではブルネイのおもちゃの展示を見学した。コマによく似たもの(上から巻く)、竹とんぼによく似たものなど、ブルネイの伝統的なおもちゃは日本にあるものととてもよく似ていた。他にも囲碁とよく似たゲームなどがたくさんあった。後で行った水上集落では凧が人気で、ざっと数えただけでも10ぐらいの凧が風に乗ってピンと張って揚がっているのを見かけた。ブルネイ川の上空ではとても気持ちのよい風が吹くみたいだった。不思議なもので、人間住んでいる場所が違っていても楽しむために作った玩具は似てくるものなのだなあと思った。きっと楽しいという気持ちが、国境を越えて共通しているからではないかと勝手に想像した。

水上での生活を拝見 水上での生活を拝見

ブルネイ川の水の上にはたくさんの家が建っている。そう、ブルネイには世界最大級の水上集落が存在しているのだ。昔の家は細い木の柱、近代的な家はコンクリートの柱が水の中に立ち、それが家を支えている。この水上には、学校、病院、モスクなど、生活になくてはならないものが全てある。小学や中学だけでも合わせて13校もあるらしい。人々は川をボートでスイスイッと移動して行く。なんとも涼しげだった。実際、家の中に入ると、とても丈夫で、「本当にここが水上?」といった感じだった。玄関で靴を脱ぎ、部屋に案内されてソファに座った。あたりを見回すと、壁にかかった国王と王妃の写真がすぐに目に入った。波の音もせず、我が家と同様にくつろげる。ブルネイの伝統的な水上生活は本当に住んでいる人にとって、快適なのだろうと思った。昔から慣れ親しんできたブルネイ川に愛着を持っているのだろう。

ライトアップされた夜のモスク ライトアップされた夜のモスク

私にとって、初めての熱帯の国での5日間だった。四季のある国からやって来た私たちとは異なり、日本でいう真夏続きのブルネイでは、人々が快適に過ごすために、昔からの生活の知恵を利用している。文化というものはお互いに理解し合い、尊重していくものだと思った。経済的なつながりはもちろん大事だけれども、これからはもっと文化や人と人との交流でお互いの理解を深めて、みんながどうすれば幸せでいられるか、どんなことを日本の私たちが感じているのか、ブルネイの人々にとってどんなことが必要なのかを伝え合っていかなければならないと思った。

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鈴木 望文教大学付属高等学校3年/杉浦 茉奈実文教大学付属高等学校3年
鈴木 望 鈴木 望
杉浦 茉奈実 杉浦 茉奈実

ニューモスク

ブルネイはイスラム教を国教とし、国民はその戒律を守って日常生活を送っている。例えば、豚肉を食べること、お酒を飲むことは禁止されている。また、一年を通して温暖な気候なのにも関わらず、ノースリーブや短パンなどの肌を露出する服装も好まれていない。他にも、左手は不浄とされており、物や食べ物を渡すときなどは、必ず右手を使わなければならない。頭は神聖な部分とされているため、子どもであっても、頭を撫でてはいけない。年長者の前で足を組まない。人差し指で物や人を指すといった行為も好ましくないとされており、地元の人達は親指を使っている。

前述のとおり、私達が日常生活で行っている何気ない行為でも、異国では好ましく思われない場合もあるのだ。注意を怠れば、うっかり左手を出してしまいそうになったり、人差し指で物を指しそうになってしまうだろう。

ニューモスク ニューモスク

イスラム教はこれらの日常戒律のほかに宗教上の戒律もある。例えば、モスクに入るとき、女性は男性に姿を見られてはいけないため、長袖、長ズボンを着るか、モスクで黒い上着を借りなければならない。そして、お祈りの前には身を清めなければならない。モスクでは男女別の洗い場の聖水で、体の露出している部分と鼻や口、耳といった穴の中を3回洗わなければならない。家でも、コーラン(*1)に触れる手などは普通の水で良いので洗う。イスラム教徒以外はコーランに触れること、モスク内の祈る場所に敷いてあるマットを踏むことなどが禁止されている。

現在のハサナル・ボルキア国王が即位25周年を記念して建立したニューモスク。正式名称はジャミ・アサル・ハサナル・ボルキア・モスクだ。国王の個人資産で建てられたこの壮大で豪勢なモスクは、伝統的な建築様式が美しく、床や柱は全て大理石を使用している。また、収容人数は約5000人と、ブルネイ随一の大きさを誇っている。

朝市

ジャックフルーツを試食中!! ジャックフルーツを試食中!!

朝市に近づくにつれて、なんとも言えない良い匂いが漂ってきた。それは、南国独特の果物の香りと、魚の匂いだった。これらの中には、隣の国マレーシアから輸入してきたものもあるそうだ。そして朝市の中にはブルネイのお菓子を作っているお店もあった。そこではチョコレートやナッツの入った巨大な大判焼きを売っていた。味はおいしいが、私には甘すぎて多くは食べられなかった。また、お店のおじさんやおばさんに頼み、とっても辛い唐辛子や見たこともないような果物を味見させてもらったり、商品の値段を交渉したりもした。


ロイヤルレガリア

結婚式で使われた車 結婚式で使われた車

ここには現国王が戴冠(たいかん)したときの金の王冠や、金糸やダイヤモンドを使った結婚式の衣装など、華やかな王室の品々や現国王の幼少の頃からの写真などが展示されている。中でも、入り口にある車はその大きさと本物の金があしらわれていることにとても驚いた。



ブルネイ博物館

イスラム教は偶像崇拝を禁止しているため、文字の美術にとても長けている。ここでは、精巧な金のコーランなど多くの美しいコーランを始めとし、陶磁器、ガラス細工、カーペットなどのイスラム美術が展示されていた。その他に、凧上げやコマといった遊び道具や、衣服など、ブルネイの人々の生活習慣やブルネイの歴史、石油・天然ガスの4つの展示を楽しむことができる。

陸よりも快適な水上生活

約600年以上もの長い歴史を持つ世界最大の水上集落。学校や病院、消防署、モスクなどを完備している立派な街が、ブルネイ川に浮かんでいる。しかし、この水上の街は火事に弱く、1軒火がついただけでどんどん燃え広がってしまう。そのため、現国王は陸地に住むようにと言っている。そして、希望を書く用紙を各家庭に配布した。水上生活は無料なのに対して、陸上生活は土地を政府から無料で借り、家の代金のみを払うようになっている。だが、ある程度お金を支払うとその家は自分のものになるらしい。

私達が訪問した家庭の主人は地震や台風もないし、橋から落ちても梯子から上がってこられるし、ペットも飼うことができるので不便などまったくないと言っていた。また、水上生活をこよなく愛しているので、陸に住むことはないと言っていた。私も水上生活に魅力を感じたが、床に四角い穴と水が出るホースがあるのみのトイレは好きになれそうもない。

(*1)イスラム教の聖典。ムハンマド(マホメット)が天使ガブリエルを通して受けたとされるアッラーの啓示を収録したもの。

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