YOLスペシャルインタビュー 上智人が語る 「日本、そして世界」

「想定外」をチャンスとして活かせる柔軟性を身につけたい

長野 美郷
フリーアナウンサー

期待通りだった実践的な上智大学の英語教育

長野 美郷 フリーアナウンサー

 私が生まれ育った愛知県三好町(現・みよし市)は、おいしい果物で有名なとてもいいところですが、東京の、それも大学の情報となると、そうそう入ってきませんでした。ですから、上智大学を第一志望にした理由は、正直なところ、漠然とした期待・あこがれのような部分が大きかったと思います。他大学に比べて少人数制、英語教育に力を入れていて海外に向けて開かれている、そして、カッコよくて楽しい東京のキャンパスライフが送れるというイメージがありました。

 なかでも英語教育については、小さいころから英会話を習っていたため、海外への興味もあって、とても期待していました。実際、専門科目においても、英語でのディベートが行われるなど実践的な授業が多く期待通りでした。また、交換留学制度を利用してニュージーランド、ロンドン、ロサンゼルスと、3回も短期留学する機会に恵まれました。充実した環境で学ぶことができたため、もっと英語を勉強してしっかり身に着けたい、使いこなせるようにしたいと、ますます思うようになりました。

 しかし、実は数学が得意だった私。入ったのは、数学が活かせる経済学部でした。それこそ数式やグラフを使って経済現象を分析するといった理論的な経済学を中心に学びました。一方ゼミでは、財務諸表の扱いなど経営実務的な勉強もしていました。

 ただ、一番興味深く受けた授業は、「開発経済学」です。途上国の成長をどのように支援すべきか——やはり理論的な分析が主でしたけど、ここで得た知識は、マスコミにかかわる現在の仕事の中でも生きている、そしてもっと生かしていけると思っています。

 開発経済に限らず、経済の問題はどんなニュースにも必ずなんらかの形でかかわっているといっていいでしょう。まだ自分の意見を持てるほどの知識はありませんが、「なぜ?」「どうして?」と、起こったことの背景や構造を理論的に考える姿勢と方法は身についたと思います。今後さらに磨いて、武器にしていきたいと思っています。

 とはいえ、もともとは直接的に経済学の知識が役に立つ、たとえばコンサルティングのような仕事に就くことを考えていました。しかしあることがきっかけで、進路が大きく変わったのです。

あこがれていたもう一つの道へ

長野 美郷 フリーアナウンサー

 あることというのは、「ミス・ソフィア」つまり上智のミス・キャンパスに選ばれたことです。

 最初にお話しした志望理由のうち、キャンパスライフの面でも、上智は期待通りでした。特に女子は本当にみんなキラキラしていて、ファッションなどの最新情報に敏感で、自分で発信してしまう子もたくさんいました。よく、上智の女子はかわいいとも、強いとも言われますが、それは本当です。この点も上智の素晴らしい魅力だと思うのですが、このシリーズに登場するほかの卒業生の皆さんはどなたも触れないでしょうから、私が強くアピールしておきたいと思います(笑)。

 そんなおしゃれな大学で、この私がミスコンで優勝するなんて、夢にも思っていませんでした。私はSBCこと上智大学放送研究会というサークルに入っていたのですが、そこでは毎年一人はコンテストにエントリーさせる伝統みたいなものがあって、2年生のときに私に白羽の矢が立ったのです。そうしたらなんと優勝。本当にありがたく、同時に本当にびっくりしました。

 この時、今の事務所の方に声をかけていただきました。本格的に就職活動を始める前に、別の道が具体的に開けてしまった、というわけです。でも、このアナウンサーという仕事、実は密かにずっとあこがれていた職業でした。

 私には妙な癖があって、お風呂で本を読んでいると、いつの間にか自然と声が出て音読になってしまうのです。いえ、お風呂でなくても、一人で何か読んでいると、気付くと声が出ています。学校でも、国語は得意ではなかったけれど、教科書の輪読の順番が自分に回ってくるのは楽しみでした。

 自分の声と言葉で、人に何かを伝えたいという欲求が、どうやら私の中にはあるようです。考えてみれば、SBCというサークルも、だから選んだのだと思います。

 卒業と同時に朝の情報番組のお天気キャスターに起用していただき、そしてこの4月、またまた想定外のことが起こったのです。

流れにまかせて全力をつくす生き方を

長野 美郷 フリーアナウンサー

 この春お天気キャスターを務めていた番組で、いきなり週2日のメインキャスターへの抜擢…私自身が一番驚いたことは、言うまでもありません。現在、私は勉強の毎日です。

 憧れていたニュースを読むという仕事は、実際にやってみると本当に難しく、最初のうちは緊張のあまり、頭と口がつながらない感じでしたし、少しでも不安をなくそうと細かく入れた書き込みが、かえって原稿を読みにくくしていたということもありました。ようやく少し慣れてきた今、より聞きやすく、心に入りやすい、そして頭に残りやすい読み方を猛特訓しています。

 でも、それだけではありません。1コーナーを担当していたときと違い、あまり縁のなかったスポーツを含め、あらゆる分野の情報にアンテナを張っている必要があります。何が起こるかわからない生番組で、全体の進行にも気を配れなくてはいけません。そして、海外のニュースを直接理解したり、一人で外国人のインタビューもできるよう、英語力もブラッシュアップしたいという目標ができました。

 そこで活きてくるのが、上智でつくった人のつながりかなと思います。SBCの仲間は、同じ分野の仕事に就いている人も多く、相談にのってもらえます。経済学部の友人は、私がもともと進みたかった分野で働いている人もいて、とても刺激になります。国内・海外いろんなところから、いろんな関心を持って、いろんな人が集まっていたあの空間。そこでできた、振れ幅の大きい人間関係は、これからも私を助けてくれることでしょう。

 自分の強み・弱みを見極めて、進むべき道を選んで、それに向けて自分を磨きステップアップしていくことが「キャリアデザイン」だとすれば、私にはそれができていないのかもしれません。でも、人生は思い描いたようにはいかないことも多いですし、その「想定外」が、マイナスに働くとも限らない。決めたことにこだわったら、大きなチャンスを逃す可能性だってあるのではと思っています。私の場合は、その典型のような気がします。

 だから私は、しばらくは流れにまかせ、いただいたチャンスには飛び込んで、そこで全力をつくしてみようと思っています。そのためにも、どんなことにも対応できる幅の広さと柔軟性は身に着けておこうと思っています。

 その結果、1年後、5年後、10年後の私がどう変わっているか、自分自身が楽しみにできるような生き方があってもいいのではないでしょうか。

長野 美郷 フリーアナウンサー
長野 美郷(ながの・みさと)
フリーアナウンサー

上智大学経済学部2009年卒業。
2006年ミス上智大学に選ばれる。フジテレビの「めざましテレビお天気キャスター」を2009年3月より担当。2014年4月からは「めざましテレビ アクア」メインキャスター(金曜担当)、「めざましどようび」メインキャスターを務める。写真集「Que,sera,sera2009-2013」を小学館から発刊。

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