YOLスペシャルインタビュー 上智人が語る 「日本、そして世界」

挑戦し、問い続けることが大切。
そこから見えてくるものが必ずある。

知花 くらら
モデル、国連WFP日本大使

「何事も経験!」という一言から人生が変わった

知花 くらら モデル、国連WFP日本大使

 高校の時から、大学では心理学や哲学などの人文科学の領域について幅広く学びたいと考えていたため、上智大学の文学部教育学科(その後の改組改編により教育学科は総合人間科学部)に入学しました。主専攻として教育哲学を選択、副専攻では国際教育を選択し、それぞれについて関心を持って学ぶことができました。大学時代の4年間は、青年海外協力隊の方の話を伺ったり、開発途上国の子どもたちの教育の状況を調べてリポートを書いたり、自分の興味のある分野の研究を通じて、世界に視野を広げる貴重な機会だったと思います。

 また、キリスト教主義の学校である上智大学ならではの授業も印象に残っています。例えば、神学部の先生が担当していらっしゃる倫理の講義を通じて、先生方の寄って立つ視点によって講義の内容も変わってくることに気づき、世の中にはいろいろな見方があることを理解できたことに加え、宗教的な観点からのものの見方にふれることができて大きな刺激を受けました。 当時は大学においてグローバル教育ということが言われ始めていた頃で、留学も経験することができました。フランス映画の世界観がとても好きだったこともあり、2年生の時に1カ月間の短期夏期留学でフランスへ。初めての海外でした。そして、その後、1年間の語学留学。ここでの経験が今の自分につながっているように思います。
卒業後は編集者になることを夢見ていました。文章を書くことと、父から一眼レフカメラを譲り受けたことをきっかけに始めた写真が大好きでしたので、雑誌の編集の仕事にたずさわってみたいと考えたのです。就職活動の末、幸い希望の出版社から内定をいただくことができたのですが、そこの会社の社長さんから言われた「何でも経験しておきなさい」という一言が私の人生を変えることになりました。

 「何事も経験!」という気持ちから応募したミスユニバースの日本代表に選出され、悩んだ末に出版社の内定を辞退。世界大会に進むことになったのです。自分で応募してはみたものの、まさか世界大会でも勝ち残るとは夢にも思っていませんでしたが、挑戦する以上は力を尽くそうと言う気持ちで臨んで良かったと思っています。

現場に足を運んで感じることの重要性を痛感

知花 くらら モデル、国連WFP日本大使

 昨年、2007年からオフィシャルサポーターを務めていたWFP 国連世界食糧計画の日本大使に就任しました。サポーターとしての活動も意欲的に取り組めたと思っています。少なくとも年に1回は国連WFPの方と相談しながら食糧事情に問題を抱える地域を視察し、そこで得た知見をさまざまな場所でアウトプットして広めていくという活動を自主的に行ってきました。こうした問題は文献を読んでどんなに調べたとしても、今どんな助けが必要なのかが見えてこないものです。現場に足を運んで目で見て考えることの大切さを痛感しました。

 昨年、内閣府のアジア交流懇談会のメンバーとなった際もタイ、インドネシアを視察しましたが、その時も現地に行って自分の肌で感じることの重要性を強く感じました。アジアの時代と言われて久しいですが、成長著しいアジアの国は本当に熱気にあふれています。ビジネスの第一線で活躍をされている女性も多いですし、人のエネルギーが満ち満ちていました。私たち日本人もどんどん外に出て、こうした勢いのあるアジアの国と一緒に盛り上がれたらとても楽しいだろうなと思いました。

 近年グローバル人材の育成を掲げる大学が増えていますが、学生にとっては一歩日本の外に踏み出してみるだけでも学べることがたくさんあると思うんです。グローバリズムと言ってもそれぞれのグローバリズムがある。立場が違うといろいろな見方がある。そのことを知っているだけで全然違うと思います。

 日本では教育の中で討論会やディベートに参加するという経験が少ないですが、欧米の子たちはディベートがすごく上手ですよね。彼らの持っている、自分の立場から相手の立場にスイッチして考える視点の切り替えの早さ、相手の主張を受け入れる客観的な目は、これからのグローバル化した世界には絶対に必要なものだと思います。

 もちろん、一番大切なことは自分自身の関心の向かう先です。自分が何を大切にしているかを問題意識として常に持っていること。そして、自分の関心のあることに挑戦し続けて行くこと。そこから見えてくるものが必ずあります。

 大学の4年間は人生のうちで比較的自由な時間がある時代。大学生の方には、この貴重な4年間の間に自分の好きなこと、夢中になれることに一生懸命取り組んでみることで、自分自身の世界を切り開いて行ってほしいと思います。

衣装協力:ピンク×ブラックバイカラーワンピース(ヴィヴィアン タム)、ゴールド星型ピアス(チーゴ)

知花 くらら モデル、国連WFP日本大使
知花 くらら(ちばな・くらら)
モデル、国連WFP日本大使

1982年3月27生まれ。沖縄県那覇市出身。表紙専属モデルとして小学館「Domani」のほか、レギュラー番組BS12「グローバル・ビジョン」、JFN「知花くららのPrecious Life」 ほか多数の番組・CMなどに出演中。また、2007年より国連WFPオフィシャルサポーターを務め、2013年に国連WFP日本大使に就任。積極的にアフリカや東南アジアなどで現地視察を行い、日本国内で積極的に現地の声を伝える活動を行っている。

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