YOLスペシャルインタビュー 上智人が語る日本、そして世界

手品をとおして気づいた自分の可能性

小森谷 翔平
国際教養学部国際教養学科4年

手品との出会い

手品との出会い

 手品を初めて生で見たのは小学5年生の時。自由の森学園中学校(通称、自森)の体験授業で、数学の先生がトランプを使った手品を披露してくれました。それは実に簡単な手品だったのですが、僕を虜(とりこ)にし、自森入学を決意しました。入学後はその先生が顧問を務める手品部に入部し、高校卒業までの6年間は、その先生について手品を学びました。先生は世界大会に出場するほどのプロマジシャンでもあったのです。

 当時はただの趣味として考えていたのですが、高校3年生の夏に出場したコンテスト(第五回テンヨージュニアマジシャンビデオコンテスト)でグランプリを取ったことが契機で、より真剣に手品に向き合うことを決意しました。

 手品というのは最強のコミュニケーションツールです。たとえ共通の言語がなくとも、人を楽しませ、人と繋がることができます。手品の魅力は「何かを受け取るよりも、何かを提供した時の方が喜び大きい」ということを直接的に感じることができます。一度それを味わってしまうと、やめられなくなります。

中国での活動

中国での活動

 中学・高校時代、強制的に何かを勉強させられるのが厭でした。英語の時間が嫌いで、授業中は興味をもっていた中国語を独力で学んでいました。ですから英語は全く身につかず、いっそのこと中国へ行ってしまえ、ということで高校卒業後は、すぐに中国へ渡りました。

 北京語言大学中文学科に入学し、北京大学へ入学するための準備をしていたのですが、入学申請書を提出した直後に出場したマジックのコンテストで優勝しちゃったんです。それからは、テレビ出演のオファーが増え、2009年7月に北京で行われた世界大会には日本代表で出場するまでに技術が向上しました。そこで、中国で勉学を続けていくことをひとまず中断し、勉学と手品をどう両立していこうか考え直すことにしました。

カナダへ、そして上智に

カナダへ、そして上智に

 中国を離れ、すぐにカナダのモントリオールに移って英語の勉強をすることにしました。英語力は中学生並みでしたから、1年2ヶ月必死で勉強しました。中国とは異なる背景を持った学生たちと関わり、それまでとは全く異なる刺激を得る事ができました。特に、日本社会や日本人に関して質問されることがとても多いことに気がつき、また、その質問に対して的確に答えられない自分にも気がつきました。その気づきに伴い、日本人として日本を知り、日本から出発するべきではと思い、日本での進学を考えるように。高校の後輩に相談すると、上智大学の国際教養学部ならば私の経歴を高く評価してくれるのではないかと教えられ、最終的に入学を決意する事になりました。

 大学では、社会学を専攻し、政治学を副専攻にしています。主に現代日本社会や同性愛者にとっての日本社会、国際関係学などの授業にとりわけ力を注いでいます。また、交換留学の制度を利用して現在マカオ大学に籍を置いているのですが、主に中国社会と中国の外交政策に焦点を当て、中国語を生かして中国人学生と現在の日中関係等をテーマに議論をし、中国を学んでいます。

可能性は無限大

可能性は無限大

 手品をとおして得られたことは、なにより自分の可能性の発見、気づきです。多くの土地で、多くの人々に手品を見せ、心を動かせるという可能性。より多くの人たちを幸せにできるという可能性。私の手品を見た人たち、特に子供たちの心に残り、自分と同じような体験となってくれたのなら嬉しいです。

 また、手品は想像力を形にする事から始まります。人間の想像力が無限大ならば、マジックの可能性も無限大。そして、人々に与える感動もまた無限大であると信じています。

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