教員が発信する上智の学び

電気を「見えるもの」として扱い 例えば未来の鉄道に貢献する

宮武 昌史
理工学部 機能創造理工学科 教授

自分に合った「面白い」を選ぶ

宮武 昌史 理工学部 機能創造理工学科 教授

 大学というのは、ただ漠然と講義を受けているだけでは、専門性を身につけることは難しい所だと思います。面白いと思えるものを発見し、取捨選択をしながら、自分に合った知識を吸収していく。そんなプロセスが、とても大切ではないでしょうか。

 私自身のことを振り返ってみると、電気工学を専攻する中で、「クリーンなエネルギーを活用して人やモノを運ぶ」ことに関心をもつようになりました。そうしてたどり着いた研究テーマが「鉄道」だったわけです。そもそも鉄道は、非常にエネルギー効率が高く、環境への負荷が少ない乗り物です。しかも、車両から車両へ電気を届けて省エネルギー化を図るシステムや、決められた時刻に合わせて正確かつ安全に運行する仕組み。そういったものが一体となり、全体が調和しながら動いていることに魅力を感じます。いかに消費する電力を抑えながら、良質なサービスを提供するか。こうしたテーマを探っていく上で、重要な役割を担っているのが電気工学なのです。

「手で解くこと」が不可欠な理由

 通常、列車に電気を送るときには、ケーブルを接続して電気を供給します。しかし、レールの下にコイルを埋めておき、その上をバッテリーを積んだ列車が通過すると自動的に充電される。例えば、そんな技術の開発が進んでいます。まだまだ何十年も先のことかもしれませんが、いずれ電気をためる機構が確立され、架線も必要なくなり、電気自動車と同じようなバッテリーを搭載した列車が走る。そんな時代がふつうになるかもしれません。自分たちの研究の成果が、日本、あるいは世界で少しずつ実用化され、人々の役に立てるかもしれない。そんな思いは、研究を続けていくための大事なモチベーションです。

 では、電気を学ぶことの面白さは、どんなところにあると思いますか。私は、「目に見えないものを見えるようにして扱う」ことに、一つの特色があるのだと考えています。電気を理論としてとらえ、数式などで表現し、理解する。学生には、そのトレーニングをしっかりと積んでもらいたいと思っています。

 1、2年次は電気回路や電磁気など、基礎的な現象を学ぶ科目が主体です。手を使って計算していくわけですが、少々複雑な場合はかなりの計算量になります。そこで私が担当する講義では、「手では難しい問題をコンピュータを使って解く」方法を教えています。皆さんはきっと、「最初からコンピュータに頼れば早いのに」と感じるでしょう。でも、出てきた答えが正しいかどうかは、実は手で計算して理論をしっかりと自分のものにしていなければ、判断できないのです。これが、「見えないものを見えるように扱う」ということです。

文系と理系のコラボレーションも

 物理、機械や電気など、どの分野を専攻しようか、まだ迷っている。そんな人も多いでしょう。最初はそれで大丈夫。上智大学は間口を広くして、入学後に専門性を高めていける環境を整えています。また、文系と同じキャンパスであることも利点だと思います。私が参加している文系、理系の教授陣による学内共同研究「鉄道ネットワークの構築による貧困、教育、環境問題の複合的解決のための方法論の開発」など、枠にとらわれない学びを修得したり、ネットワークを広げたりするチャンスも豊富です。

 地図上で見てみると、本学は山手線の中心部に位置しています。つまり、学外もつながりやすい。ぜひ、活動の範囲を広げながら、自分が打ち込めるテーマを見つけてください。

宮武 昌史 理工学部 機能創造理工学科 教授
宮武 昌史(みやたけ・まさふみ)
理工学部 機能創造理工学科 教授

エネルギー・人・物を運ぶ社会インフラを電気工学で最適にデザインする研究開発に取り組む。専門は電力変換、電気機器、システム制御等。著書は『鉄道車両技術入門』(共著、2013年)など。

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