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- 小阪みちる 国際教養学部 助教
グローバルな環境で専門性を磨きながら英語で意見を発信する術を学ぶ
- 小阪みちる
- 国際教養学部 助教
個人の行動がマクロ経済につながる
私がマクロ経済、特に国際金融を研究していきたいと考えるようになったのは、大学3年生のとき、アジア通貨危機について書かれた研究書を読んだことがきっかけでした。例えばある貿易会社が、海外市場や為替の動向を見ながら何をどれだけ輸入するかを決める。
そうした一企業や個人のミクロレベルの行動の集積が、GDPや為替レートの変動といったマクロの現象にどうつながっていくのか。さらに政府の金融政策にどのような影響を与えるのか。その仕組みを理解して、それまで遠く思えたマクロ経済に意外な身近さ、面白さを感じたのです。
私が担当している国際金融論の講義では、ユーロ危機や米国から始まった世界金融危機など実際に起きた事柄を例に取って、世界経済の仕組みを説明しています。
国際金融論では現実と理論との関連を理解するのが大切です。そこでユーロ成立の背景に触れたり、グラフなどを使って当時の状況を示したりしながら、発生原因や各国へ与えた影響について、マクロ経済学の理論ではどう説明できるかを直感的につかめる形で伝えています。
世界の仲間たちと力を磨ける
国際教養学部ではすべての授業が英語で行われ、世界中から集まった学生が共に学んでいます。少人数のクラスが大半で、講義中の質問も活発。ある学生から出た質問に別の学生が意見を述べ、その場で議論が始まることもあります。そう聞くと、少々気後れしてしまう人もいるでしょう。
ただ、入学後はスピーチや英作文など、英語で発信する方法をサポートする必須科目がありますし、私たちは「どんな発言も尊重する」という姿勢を示し、学生の間に「自分の意見を口にし、異なる意見に耳を傾ける」という雰囲気をつくるよう心がけています。 ですから、海外経験のない人が4年間で大きく伸びることだって珍しくありません。「ある仮想経済圏で起きたマクロ経済ショックへの対応をどうすべきか」といった課題をクラスの仲間と相談しながら考えるなど、講義以外にも気軽に意見を交換できる機会もあります。
さまざまな国から集まったクラスメートから今まで想像もしなかったような意見を聞き、交流していくことで、世界が大きく広がっていくでしょう。
将来、どう社会に貢献していくか
一見複雑に思える経済学の理論。それを今の経済の動きに上手く当てはめ、データに基づき、自分の言葉で説得力ある説明ができるようになってほしいですね。こうした力は、将来どんな道に進んだとしても大いに役に立つと思います。
卒業生には外資系企業や商社をはじめ、国際的な環境で活躍している人も多数います。
単に「英語が話せる」というだけでなく、自分の意見を英語でしっかり主張できるスキルや、未知の事柄に対処する方法、柔軟性などを身につけていることが評価されているのでしょう。
高校生の時点で「将来何をしたいのか」がはっきり見えている人はそう多くないと思いますが、私はそれでもいいと思います。 ただ未来を考えるときは「どんな会社に入るか」だけでなく、「自分がどのような形で社会に貢献するか」という長期的な視点も持ってほしい。 そのためには幅広く社会を知りながら、専門スキルをしっかり磨いていくことが欠かせません。専攻コース以外の科目も幅広く履修できる本学部は、それを同時に実現できる場所だと思います。
- 小阪みちる(こさか・みちる)
- 国際教養学部 助教
専門分野はマクロ経済学・国際金融論。主な論文に、“Product Variety, Firm Entry, and Terms of Trade Dynamics”(TCER Working Paper E-35、2011年)等。