教員が発信する上智の学び

一生の強みとして使えるレベルまでロシア語の力を磨き上げる

ラティシェワ・スベトラーナ
外国語学部ロシア語学科准教授

まるで、ピアニストのように

ラティシェワ・スベトラーナ 外国語学部ロシア語学科准教授

 いわば「絶対音感」を備えているように、ロシア語をはっきりと聞き取ることができる──。カリキュラムで目指しているのは、例えばそのような力を学生たちに修得してもらうことです。

 毎年、ほとんどの学生が、まったくのゼロからロシア語の学習をスタートしています。そこで重要なのが、初期の段階でどんなことを身に付けるか、ということ。ピアニストは、最初に正しい弾き方を覚えてしまえば、それが崩れることはないといいます。同じように、一度マスターした美しい発音や文法の知識は、決して忘れ去られることなく、体の奥に染み込んでいくことでしょう。しばらくロシア語を使っていなかったけれど、仕事で急に話さなければならなくなった。そんな場面でも、すぐに記憶を呼び戻すことができる。

 そんな、一生モノの宝石のようなレベルにまで、磨き上げていくことが目標なのです。激しく変わり続けているいまの社会においては、いつ、何が役に立つのか、分からないものです。いざというときに自身を支える柱は、一本だけに絞らず、二本、三本とあっていい。そんな強みの一つとして、ロシア語に興味を持っていただけたらと思っています。

力を伸ばす、さまざまな機会がある

 ロシア語は、比較的、難しい言語に分類されるかもしれません。ただ、一度きっかけをつかめば、学ぶ楽しさはどんどん膨らんでいくはずです。私の専門分野は、もともと日本史を中心とした、日本の文化に関する研究です。その知識や、日本のニュースを海外に向けて発信する。

 NHK国際放送局での勤務経験などを活かし、みなさんがスムーズにステップアップできるよう、翻訳や発音の指導を行っていきます。また、ロシアの経済や人々の習慣といった比較文化の要素も取り入れながら、より深く、多様な角度から語学を学べるようにもしています。

 外国語が上達するための大切なポイントは、「目で覚えるのではない」ということです。自宅で課題に取り組んでいるときにも、必ず声に出し、何度もロシア語を聞くことを勧めています。そして、上智大学では、「日露青年交流事業招聘プログラム」の実施など、ロシアの人々と学生が実際に触れ合うことのできる機会づくりにも力を入れています。

 プログラムが終わった後も、インターネットなどを介して、交流が続くことも少なくありません。こうした活動のほか、さまざまなスピーチコンテストへの参加などもバックアップ。マンツーマンで教員の指導を受けられるチャンスですから、ぜひ、活用してほしいと思います。

互いの関係をもっと深める役割を

 ご存じのとおり、ロシアは広大な国であり、日本にとっては隣国です。そのポテンシャルは高く、今後、さらなる発展にともなって、日本との交流が深まっていく可能性も十分あります。 特に、2020年には東京オリンピックの開催が控えていることもあり、ロシア語学科としても、それに向けて何かサポートできないかと考えているところです。東京を案内するボランティアなど、ぜひ、学生と一緒にできる取り組みを探っていきたいと思っています。

 ロシアも日本も、とてもユニークな文化を持っています。互いの良さをうまく組み合わせて、両国の発展のために活かしていく。私自身、それぞれをつなぐ「変圧器」のような役割を担いたいと考えていますし、これからロシア語を学ぼうとしている学生たちのなかからも、そうした人材が数多く育ってくれることを期待しています。

ラティシェワ・スベトラーナ 外国語学部ロシア語学科准教授
ラティシェワ・スベトラーナ
外国語学部ロシア語学科准教授

モスクワ大学卒。1991年来日。専門は、翻訳論、ロシア語の発音。ロシア語の教科書、翻訳論について論文の筆者。多数のロシア語教科書のCDの吹き込み。NHKロシア語講座翻訳部門解説員。

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