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国際パラリンピック委員会 フィリップ・クレーブン会長による講演会が行われました

"Paralympic Education, IPC Vision, Sport for Society"をテーマに講演

講演するクレーブン会長

講演するクレーブン会長

 10月19日、本学に国際パラリンピック委員会(IPC)のフィリップ・クレーブン会長が来校しました。会場には学生を中心に定員を大きく超える約200人が訪れ、関心の高さをうかがわせました。

 冒頭、リオデジャネイロパラリンピック競技大会を振り返る動画が流れたのち、高祖敏明理事長が「クレーブン会長と直接対話する機会に恵まれたことは、本学にとって大きな喜びであり、光栄なことです」と歓迎の挨拶を述べました。

 自身も車いすバスケットボールの選手だったクレーブン会長は、先日バチカンにて開催されたスポーツと信仰の会議での自身のスピーチを引用し、「皆さんのような若者は世界を変える力を持っています。若いということはそれだけ何かにかける時間が残されているということ。チャレンジを楽しんで変化を起こしていこう」と学生たちに力強く語りかけました。

 同会長は、リオデジャネイロ大会は当初チケットの売り上げが20万枚にとどまっていたにもかかわらず、オリンピックの後に250万枚売れたことに言及し、現地の人々のパラリンピックに参加したいという強い気持ち、そしてカトリック教会などパラリンピックをサポートする団体の協力によって素晴らしい大会となったと振り返りました。そして、パラリンピックが世界一の祭典といわれる所以について、「ソーシャル・インクルージョン(社会的包容力)による共生社会実現にむけ、(パラリンピックは)社会を再構築していくきっかけになる」と述べ、パラリンピックの意義を強調。「メダルを取ることが重要ではなく、スポーツの素晴らしさを体感すること。そして感動させるのではなく驚かせること。素晴らしいパフォーマンスを魅せることで世界を驚かし、感動とインスピレーションを与えることで社会を変えていくことができる」と訴えました。

講演後、学生から花束が贈られる

講演後、学生から花束が贈られる

 また、事故で両脚を失ったアスリートに対し、脚がないことに注目するのではなく、素晴らしい心臓があることに感謝するという考え方を紹介し、ネガティブ思考からポジティブ思考への脱却を促しました。そしてルールを守ること、生涯の友をつくること、コミュニケーション能力を身につけること、チームワークを楽しむこと、健康であることなど、スポーツを通じて獲得できるこれらライフスキルの重要性についても言及し、スポーツが社会で果たすべき役割について熱く語りました。

 質疑応答では、パラリンピックに関する報道が従来より多かった理由についての質問で、ロンドン大会ではtwitter上でプレミアリーグよりも多くのつぶやきがされたことを例にあげつつ、ソーシャルメディアが大きな役割を果たしたことを紹介しました。また、「パラリンピックとオリンピックは融合すべきなのか?」という問いに対し、運営面では難しいことがあると言及しつつも「両方の共通項はアスリート。それぞれのアイデンティティを維持しながら協力関係を続けていくだろう」と述べ、両大会のより一層の協力関係の強化を示唆しました。最後に、2020年東京大会に対し、「障害の有無に関わらず、全ての人、特に子どもたちや若い人たちに楽しんでほしい。アスリートの懸命な姿を見て、『がんばろう』という前向きな気持ちを持ってもらいたい。リオの感動はきっと東京でも再現されることでしょう。楽しみにしています」と期待感を示しました。

―本学とパラリンピックについて―

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会大学連携協定を結んでいる本学では、「他者のために、他者とともに」の教育精神に基づき、東京2020パラリンピック競技大会にどのように貢献できるか検討を進めています。これまでに共生社会の実現に向けた人材育成を目指す教職員による「ソフィア・オリンピック・パラリンピック・プロジェクト」が発足したほか、教職員と学生による調査団がリオデジャネイロパラリンピック競技大会を視察し、現地の大学や障害者スポーツ支援協会の専門家、大会運営ボランティアなどへのヒアリング調査を実施しています。

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