上智大学ダイジェスト

国際関係研究所主催 第2回、第3回ラウンドテーブルを開催

マニュエル・ロペス駐日フィリピン大使が来学しました

マニュエル・ロペス駐日フィリピン大使(左)と藤崎一郎教授(右)

マニュエル・ロペス駐日フィリピン大使(左)と藤崎一郎教授(右)

 12月18日、国際関係研究所主催の第2回「ラウンドテーブル」が開催されました。ゲストにマニュエル・ロペス駐日フィリピン大使を迎え、参加した学生・研究者の間で、南シナ海における領有権問題等について活発な議論が交わされました。ロペス大使は、南シナ海の大半の領有権を主張する中国とその海域に位置する近隣諸国との間で生じている摩擦について、地図やグラフなどを用いて概説しました。

 互いが領有権を主張する海域における建造物の構築や巡視船配備等の中国の行為に対して、2013年フィリピンは外交手法も尽きたとして、国際海洋法条約にのっとり仲裁裁判所に提訴しています。

多くの学生、教員が集まりました

多くの学生、教員が集まりました

 これに対して中国は、あくまでも2国間同士の話し合いを要求し応じていません。世界経済、特に東南アジア圏の経済界において多大な影響力を発揮する中国に対して各国の対応も様々です。ロペス大使は、「前途多難ではあっても国際社会に向けて真摯に訴え、多くの理解を得ることが重要である」と語りました。

 南シナ海の領有権問題は、漁業権、海底資源の開発権、海運ルートの確保にも波及するため、領域内の国々のみならず、アメリカや日本にとっても関わることであり、問題解決にむけて連携・協力を期待していると話しました。

大使を囲み参加者全員で記念撮影

大使を囲み参加者全員で記念撮影

 学生からロペス大使に寄せられた質問の中には、「価値観の全く違う相手に話し合いを求めること自体意味があるのか」といった現実的なものも。これに対して大使は、「たとえ力のある相手だとしても利害関係のみに焦点をあてずに、自らの立ち位置を国際社会に明確に示して賛同を仰ぐことがより良い未来につながる」と自らの信念を主張しました。

 ロペス大使には、これまでフィリピン経済界で活躍してきた実績があります。「外交は自分の専門ではないと感じていたが、就任する先が日本であれば、ビジネスにおいて培った関係や、視点を多いに役立てることができると思い、任務を引き受けた」と、大使就任に至る経緯を語りました。また、「2016年には、天皇陛下がフィリピンをご訪問される予定となっており、両国の関係を深めるための素晴らしい機会だと感じている」と述べ、親日家としての一面を覗かせました。終了後には和やかな雰囲気の中、参加者との記念撮影に応じてくださいました。

春原剛本学客員教授が講演、米大統領選と日米関係の行方の核心に迫りました

春原剛教授(左)と藤崎一郎教授(右)

春原剛教授(左)と藤崎一郎教授(右)

 1月14日、国際関係所総括代表、藤崎一郎特別招聘教授コーディネートのもと、日本経済新聞社編集委員で本学グローバル教育センター客員教授の春原剛氏を招き、国際関係研究所第3回ラウンドテーブルが開催されました。

 今回のトピックは、「米大統領選と日米関係の行方」。春から本学で教鞭をとる春原教授は、本学経済学部卒業後、日本経済新聞社に入社。その後CSIS等、米国にて政策シンクタンクに研究員として参加し、現在は日本経済研究センター日米プロジェクト、富士山会合の事務総長として活躍しています。日米で精力的に政治研究活動に携わってきた日本有数の政治と外交のスペシャリストである春原教授は、国内外の政治家、政府関係者らとも親交が深く、今回の米大統領選と日米関係の行方の核心に迫りました。

春原教授

春原教授

 春原教授は、いま全世界が注目するアメリカの大統領選挙について、その全体像、共和党・民主党の現在、そしてアジア・世界戦略、最後に日米関係といった4つの観点から分析。 共和党においてはティーパーティー運動の発展、民主党においては中立派の不在により、現在2大政党制の崩壊が懸念されていることを紹介。1992年クリントン大統領が当選した際の現象と酷似しているとも言われているドナルド・トランプ旋風について、「ウォール街、シリコンバレー、ハリウッドが経済チームの3本柱」というヒラリー・クリントン候補陣営の華やかな顔ぶれ、そして様々な課題を抱えるロシア、中東、北朝鮮・中国を含めたアジア外交におけるそれぞれの党のスタンスを巧みな比喩も交えて語りました。日米関係においては、共和党政権イコール親日外交といった時代は去ったという見解を示し、民主党最有力候補といわれるヒラリー候補は、現在の日本における女性の地位向上のための政策の推進を大変評価し、今後、米国がアジア外交をより重要視していくにあたり、他のアジア諸国に先駆け、人権や女性の権利を尊重するモラルを重視した日本の社会作りへ一層の期待を寄せていると語りました。

 参加者は春原教授の興味深い話に熱心に耳を傾け、従軍慰安婦問題のアメリカメディアの取り上げ方や世界における核開発の動向等、国内外で高い関心を集めていることがらについても質問が相次ぎました。ディスカッションは終了予定時刻を過ぎるまで続き、充実したイベントとなりました。

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