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- 上智大学ダイジェスト(2015年11月)
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上智大学 コロンビア大学ティーチャーズカレッジ教育連携協定締結記念シンポジウムが開催されました
上智大学 コロンビア大学ティーチャーズカレッジ教育連携協定締結記念シンポジウム
Co-Director Consortium for Research Policy in Education Teachers College, Columbia University Thomas Corcoran氏
コロンビア大学ティーチャーズカレッジ(以下CUTC)と大学院特別進学に係る教育連携協定を締結
10月25日、本学において協定締結を記念してシンポジウムが開催されました。CUTCは、1887年創立の伝統ある世界的に有名な教育大学院で、教育学のみならず、国際開発、国際協力、心理学、社会学など100以上の専攻があります。現在約5000人の学生が学び、内留学生が17%を占めています。この進学協定によって、CUTCに進学を希望する本学の学生は、推薦を通して通常より早く選考結果の通知を受け取ることができる等、優先的な選考プロセスを経ることが可能となります。このような協定が結ばれるのは、同じくニューヨークのフォーダム大学に続き二校目となります。
シンポジウムの開会の挨拶で杉村美紀学術交流担当副学長は、今回の協定は、スーパーグローバル大学創成支援事業に採択され、国際化と教育プログラムの質のさらなる向上を目指す本学にとって有意義なこと、と述べました。
今回の記念シンポジウムは、Why we need evidence-based education policy and practice(教育政策と実践はなぜエビデンスに基づくべきか)をテーマに開催されました。体調不良で来日を果たせなかったCUTC Consortium for Research Policy in Education(CRPE)のCo-Director Thomas Corcoran氏からのビデオメッセージ、本学総合人間科学部教育学科小松太郎教授の基調講演を行いました。続いて、本学グローバル教育センター副センター長を務める出口真紀子准教授をモデレーターに、本学卒業生で現在CRPEの研究員を務める長倉若氏とCUTCエンロールメント・サービス部門Thomas P. Rock氏、総合グローバル学部総合グローバル学科廣里恭史教授、小松教授によるパネルディスカッションが行われました。
上智大学教育学科 小松太郎教授 基調講演
パネルディスカッション
CUTC Thomas Corcoran氏は、教育と医療を比較し、たとえ思わしくない状況下でも、医者が患者を見捨てることなく、研究と臨床で培われた最善の医療によって救おうとするのと同じように、劣悪な環境下におかれた子供たちにおいても、教育がどれだけ重要で、その教育を場当たり的なものとしないためにも、教育機関、国際機関、政府機関等、幅広い連携によって専門家が研究を進め、エビデンスに基づいた教育プログラムを実施することの大切さを主張しました。将来的には、途上国における教育について上智大学との研究協力を望んでいると話しました。
過去に国連にてボズニアの教育アドバイザーや、コソボミッションで教育行政官を務めていた小松教授は基調講演で、今回の協定締結以前にCUTCと上智大学の両校が「緊急事態における教育支援ネットワーク(International Network for Education in Emergencies:INEE)」の同じ分科会メンバーであったことにも触れ、戦争や内紛などで被害を受けた非常事態下の社会における教育に共に取り組んできたことについて語りました。対立などで分裂を引き起こした社会にとって教育は、平和への道であることは確かだが、どのような教育プログラムを導入するかについては、とても慎重でなくてはならないこと。ある一定の環境で、効果が証明された教育プログラムだとしても、何時もふさわしいとは限らず、それぞれの環境においてどのような教育が効果的なのか、さらなる研究の必要性を強調しました。
パネルディスカションで、廣里教授は前職であるアジア開発銀行での経験に触れ、教育プログラムの導入において構築側のみの主導となることは、本来理想的ではないという見解を述べました。長倉氏は、数日前まで滞在していたタイにおける教育現場でのCUTCの教育プログラムに基づいた教師のトレーニングについてや、科学キットを用いた現地の学校における実習の様子をスライドを交え紹介しました。最後にフロアからの質問を受けたCUTCのThomas P. Rock氏は、CUTCの卒業生約1000人が、現在日本で活躍をしていることを紹介し、大変嬉しく思っていると語りました。