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人―かお

高原 一美さん 【略歴

中大通教卒業生~カリフォルニア州弁護士になる

高原 一美さん/米海軍統合法務局職員(カリフォルニア州弁護士)

中央大学法学部通信教育課程からハワイ大学ロースクールへ

 中央大学法学部通信教育課程に編入学したきっかけは、米軍基地内の法律職に就きたいという思いからでした。

 当時は米軍基地で働いていたので仕事を続けながらの学習でしたが、年休を利用して夏季スクーリングと短期スクーリングで科目を履修しました。そこでは、通学生を教えておられる先生方の素晴らしい授業を受講して学べることがとても楽しく、法律職に就きたいという思いも強くなりました。そして4年生の時に、現在の職場である米海軍法務局に異動になり、念願が叶いました。

 法務局では、米国弁護士と一緒に米軍人やその家族などからの法律相談にあたります。仕事に慣れてくるとアメリカの法律を体系的に学びたいという気持ちが強くなり、米国ロースクールへの留学を検討しました。

 米国ロースクールは、日本の法科大学院と同様に学部を卒業した者が入学できる専門職養成大学院で、修学期間は3年です。私が法学部を卒業した当時は日本には法科大学院がなかったため、日本の法学士号が米国ロースクール卒業(JD)と同等とみなされており、そのまま修士課程(LL.M.)へ入学できました。

 LL.M.には留学生が米国の基本的法体系を学ぶプログラムと、すでにJDを取得した学生が更に専門的な法分野を学ぶプログラムがあります。迷った末に前者のプログラムがあるハワイ大学に決め、無給休暇を取得して10ヶ月留学しました。

 ハワイ大学のLL.M.プログラムでは、国籍の異なる13カ国の留学生14名と一緒に学びました。その内10名は本国で弁護士として活躍する中でアメリカの法律を学んでおり、韓国と中国の留学生はニューヨーク州の弁護士になるために大学での勉強に加えて受験勉強もしていました。留学生用の米国法入門講座以外の授業は、一般のロースクール生徒に混じって履修したのでついて行くのに大変苦労しましたが、学生生活はとても有意義でした。大学からの推薦をもらってハワイ州家庭裁判所でアルバイトをしたり、子の福祉のセミナーでホームレスの未成年を支援するボランティア活動に参加したりしました。この留学で経験したことは、人生の大きな糧になっています。

カリフォルニア州司法試験を受験するまで

 職場に復帰後は、弁護士資格が欲しいという思いが強くなりました。

 アメリカでは州ごとに司法試験受験資格が異なりますが、ほとんどの州で米国のJDが必要とされています。カリフォルニア州に問い合わせたところ、私の場合は日本で法科大学院ができる前に法学部を卒業していることに加えてハワイ大学でLL.M.を取得しているので、カリフォルニア州法に定められた4科目を含む20単位を米国内の認定ロースクールで習得すれば受験資格が満たせるとのことでした。通信教育制のロースクールで修得した単位でも受験資格が得られるとのことでしたので、仕事を続けながら必要な単位を履修することにしました。4科目を一度に履修したときは仕事との両立が大変でしたが、司法試験受験資格を得ることができました。

カリフォルニア州司法試験合格そして弁護士登録まで

 アメリカでは、多くの司法試験受験生が予備校を利用しています。私もアメリカの予備校と提携している日本の予備校を利用して、受験勉強をしました。仕事との両立は大変でしたが、通信教育で培われた「計画を立ててコツコツ勉強する方法」で、楽しみながら少しずつ力をつけていきました。

 米国の司法試験の受験回数に上限はなく、年に2回受験することができます。私は4回目の挑戦で合格することができました。予備校で勉強を始めてから約4年かかりましたが、家族を始め上司や同僚、友人の支えのおかげで勉強が続けられました。

 弁護士免許の登録のためには、司法試験の他に倫理試験にも合格し、人物評価をクリアしたうえで公証人の面前で宣誓しなければなりません。その手続きを昨年12月に終え、弁護士登録を行いました。

これから米国弁護士資格を目指す方へ

 カリフォルニア州では、日本の弁護士資格があれば受験資格が得られます。ですので、弁護士資格を持っている方には、ぜひ挑戦していただきたいです。日本の弁護士資格を持っていない方は、日本の法科大学院を卒業した上でアメリカのLL.M.を経て必要な科目を履修するか、通信教育でも良いので受験資格を満たす米国のロースクール(JD)を卒業する必要があります。また、2010年までに法学部を卒業している方は、法科大学院を卒業しなくてもLL.M.を経て受験資格を満たすことができます。他の州でも、正規の米国ロースクール(JD)を卒業する以外に受験資格を満たす方法を定めている州もあります。詳しくは、州ごとの要件が説明されている米国法曹協会(American Bar Association)発行のガイド“Comprehensive Guide to Admission Requirements”をご覧ください。

 日本の法体系を学んだ上で米国や他国の法体系を学べば、自国の法律への造詣を深めることができ、広い視野で問題意識を持てるようになるように思います。

高原 一美(たかはら・かずみ)さん
津田スクールオヴビズネス卒業後、在日米陸軍基地に就職して監察官室で勤務。その後、通信教育で産能短大情報処理科、日本大学通信教育部英文科を卒業し、2004年中央大学法学部通信教育課程を卒業(成績優秀賞受賞)。2009年から2010年まで William S. Richardson School of Lawの修士課程に留学。2017年2月のカリフォルニア州司法試験に合格し、2018年12月弁護士登録。現在、在日米海軍統合法務局にて米軍人およびその家族等からの法律相談を受ける業務に従事。

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