[PR]スイス時計見本市レポート③ キーカラーとなった「緑」
Vert、Grün、Green、そしてミドリ……。今春、スイスのジュネーブとバーゼルで相次いで開かれた時計見本市でキーカラーとなったのが緑だ。実際、ここ数年、流行が続いてきたブルーにとって代わる勢いなのだ。文字盤やストラップをさわやかに彩る緑は、豊かな自然を連想させ、若々しい印象もある。ブランド側にとって、商品の新味を手軽に強調できることもあって、「これまでになかった色」として「グリーン」が取り入れられているようだ。
緑と言っても様々なニュアンスがある。例えば、パテック フィリップ。「アクアノート5168」が文字盤とストラップに採用した緑色はオリーブ色に近く、落ち着いた印象だ。
ピアジェの「ピアジェ ポロ」も1979年のデビュー以来、初めて緑の文字盤とアリゲーターストラップを組み合わせた。若々しい印象だが、抑えた色味のため、上品な雰囲気も漂わせる。
モンブランの「モンブラン 1858 ジオスフェール リミテッドエディション 1858」は、文字盤とベゼルを緑色にし、ケースのブロンズとの組み合わせが新鮮だ。
ベル&ロスの「BR03-92 ダイバー グリーン ブロンズ」も同様の組み合わせ。こちらの緑色はミリタリー風のグリーンが活動的な印象を強調する。
ポップなグリーンの魅力を提案したのはリシャール・ミルだ。今回で最後となるSIHH出展でテーマにしたのがカラフルな「ボンボン菓子」。「RM37-01 オートマティック スセット」では特殊なエナメル装飾の技法を駆使して、緑色のロリポップキャンディを文字盤に描いた。
パネライはグリーンをアクセントとして使った。「サブマーシブル マリナーナ ミリターレ カーボテック™-47㎜」は、カーボン系の新素材を使ったマットな黒のケースでインデックスなどを明るい緑にした。ストラップも同系色にし、スポーティーな印象を強めた。この時計の購入者は、イタリア海軍でのトレーニングを体験できるプログラムも付いている。その点でも「コト消費」を取り込んだユニークな新作だ。このほど実施された体験ツアーの模様はこちら。
エドックスの「クロノオフショア1 クロノグラフ バイアピーク シートゥースカイ リミテッドエディション」のようにセラミックのベゼルに緑をあしらい、白い文字盤とストラップの組み合わせも面白い。こうしたバイカラーのデザインも今年のトレンドの一つとなっている。
ゴージャスな雰囲気ではブルガリがすばらしい。女性用の「ディーヴァ ドリーム ピーコック」は文字盤に本物のクジャクの羽根を使い、ローマ皇帝たちが愛した富の象徴を表現した。光の当たる角度によって緑がきらめいて見える。
見本市会場の各ブランドのショーウインドーでは、かなりの確率でグリーンを取り入れた新作を目にすることができた。新しい機能を盛り込むより、手軽にイメージを刷新できるという事情が、今年の「グリーン旋風」の背景にあるようだ。今は新鮮に見えるグリーンだが、それが単なる流行にとどまらず、どの程度消費者にアピールし、定着していくのか、しばらく注目したい。
次回は、今年の見本市で注目を集めたユニークな新作を取り上げよう。ブランドの特色が存分に反映された腕時計は眺めているだけも楽しくなってくる。
YOMIURI BRAND STUDIO Creative Editor / Writer 高橋直彦
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