[PR]スイス時計見本市レポート②「ブロンズ」を用いた新作、その魅力とは?
今春、スイスのジュネーブとバーゼルで相次いで開かれた時計見本市。老舗も新興のブランドもこぞって提案したのがケースなどに「ブロンズ」を用いた新作。ここ数年、目立つ動きだが、今年はさらに勢いを増した。その魅力とは何なのか?
ブロンズは基本的に銅と錫の合金。その割合や他の金属を混ぜることで、赤銅色から黄金色まで様々な色味を表現できる。10円硬貨と同様の素材なので、使い続けるうちに変色しエイジングを楽しめるのが魅力だ。ゴールドや他の希少金属と違ってカジュアルな雰囲気もあり、幅広い消費者に受け入れやすいこともあって、購買層を広げたいブランドの多くがブロンズを使った新作を発表した。
典型的なブランドはIWC。「パイロット・ウォッチ・オートマティック・スピットファイア」はブロンズのケースに流行のオリーブグリーンの文字盤を使って、若々しい印象に仕上げた。
オリスの「ダイバーズ 65」のようにステンレススチールのケースにブロンズのベゼルを組み合わせた商品も新鮮に映った。
ベル&ロスの「BR V2-94 ベリータンカー ブロンズ」はブロンズのケースにポリッシュ加工を施し、落ち着いた印象に仕上がっている。それでいながら、スポーティーで、イエローゴールドに似た洗練された雰囲気も醸し出す。世界で999本販売する限定商品だが、初心者から時計愛好家まで人気が出そうだ。
タグ・ホイヤーの「オータヴィア アイソグラフ」のように、最初からヴィンテージのような風合いに加工することができるのもブロンズという素材の魅力だ。もっとも、機構内部には耐磁性能を備えるカーボンコンポジットのヒゲゼンマイを組み合わせるなど、最先端の技術を盛り込んでいるのがこのブランドならでは。
モンブランの「1858 スプリットセコンド クロノグラフ リミテッドエディション100」は、複雑機構を搭載した時計にあえてブロンズのケースを採用。そのため、この種の複雑時計としては価格も抑えられ、通好みの一本に仕上がっている。
パネライは見本市後、ブロンズケースの商品を「ブロンゾ」としてレギュラーモデル化することを発表した。「サブマーシブル ブロンゾ-47㎜」はブロンズの特色を強調するため、ベゼルや文字盤、蓄光塗料、そしてストラップを茶系に統一。経年でブロンズが変色し、自分だけの一本に育つ過程は、ちょうどお気に入りのデニムを着古して色落ちした風合いを楽しむのと似ているような気がする。
ブロンズは今シーズン、腕時計のケース用素材として定着したと言ってもいいだろう。見本市会場では、数千万円という超高級時計が以前より見当たらなくなり、その代わりに100万円以下のものを中心に、一般のひとでも手を伸ばせば届きそうな価格帯の新作が数多く発表された。そうしたリーズナブルな時計の素材としてブロンズは相性がいいのだろう。ここ数年、この流れは続きそうに感じた。
次回はブロンズ同様、新作の文字盤に目立った、グリーンの色遣いについて。確かに新鮮な印象。しかし、なぜ緑なのか?
YOMIURI BRAND STUDIO Creative Editor / Writer 高橋直彦
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