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読売EXPOフォーラム2024 ~挑む、万博~<後編>

PR 万博 宮田裕章

2025年大阪・関西万博開催まであとおよそ半年となった9月10日、「読売EXPOフォーラム ~挑む、万博~」が、よみうり大手町ホール(東京都千代田区)で開かれました。パビリオンのプロデューサーや協賛企業の関係者らが、万博の意義や見どころについて意見を交わし、会場とオンライン合計で約1,100人が聞き入りました。

※登壇者の所属・肩書は、イベント時のものです。

 

【トークセッション2】Better Co-Being 響き合ういのちとテクノロジー

■株式会社大林組 本社営業総本部担任副本部長 兼 スマートシティ推進室長 船橋 俊一 氏
1992年株式会社大林組に入社。建築工事事務所、設計本部を経て、2004年大阪本店大阪都心再室にて、うめきた先行地区グランフロント大阪開発を担当。その後、うめきた2期開発(グラングリーン大阪)プロジェクトや中之島クロス(未来医療国際拠点)プロジェクトを推進。22年からは本社営業総本部スマートシティ推進室長も務め、スマートシティ事業に関連する開発・運営全般を担いつつ、大阪・関西万博テーマ事業(宮田プロデューサー)共同プロジェクト企画・開発の責任者も務める。
■株式会社村田製作所 執行役員 技術・事業開発本部 事業インキュベーションセンター センター長 安藤 正道 氏
1988年株式会社村田製作所に入社。90年TM二重モード誘電体共振器を使用した世界最小の携帯電話基地局向けマイクロ波フィルタ開発に単独で成功しこれを事業化。2007年会社の「未来のとびら」制度に応募した新規テーマが採用され、12年圧電性ポリ乳酸(PLLA)フィルムを使用したセンサの商業化に成功。16年PLLA繊維の電気抗菌効果を発見、20年株式会社ピエクレックスを設立し取締役CTOに就任。21年から現職。
■慶応義塾大学 教授/大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー 宮田 裕章 氏
■読売テレビ 諸國 沙代子 アナウンサー <コーディネーター>

船橋 俊一 氏
安藤 正道 氏

パビリオンの注目ポイント 

諸國
パビリオンでの取り組みについて教えてください。
船橋
創業以来、空間に対して時代に合ったソリューション(課題解決)を提供してきた当社は、宮田さんが提唱されている「データ共鳴社会」という考え方を、街づくりの中でも展開していこうと取り組んでいます。具体的には、例えば感じたことをその場に埋め込めるアプリを開発し、万博会場で展開します。AR(拡張現実)を活用し、他の人がそこで何を感じたか見ることができる、いわば共鳴のための補助線となります。
安藤
当社はセラミックスの様々な特性を使って電子部品を作っています。誘電性、圧電性など様々な役割を果たすセラミックスのことを、創業者は「ふしぎな石ころ」と呼びました。それになぞらえてデバイス「ふしぎな石ころ」を作り、来場者の皆さんに持っていただきます。特殊な振動で脳に錯覚を引き起こす3Dハプティクス機能により、引っ張られる、押し返される、回転させられるといった感触が伝わってきます。パビリオンの中に入っていただくと、この石ころがあたかも人を誘導していくかのような体験が始まります。
船橋
AI(人口知能)を使って石ころとアプリをタグ付けし、石ころに色を割り当てれば、その人がどういうことに関心を持っているのか一目でわかる、そんな演出ができたら面白いなと思っています。
宮田
お二人と対話をしながらこのパビリオンを作る体験は、僕にとっても本当に学びが多く、尊敬の念が尽きません。様々な方と同じ未来に向かっていくという体験をさせていただいているし、来場された方もパビリオンでの体験を共有できると思います。すぐそこにあるものが、ちょっとした気づきによって私たちを違う世界へいざなうものになり得る、そんな発見に導いてくれるのではないかと期待しています。

万博のレガシーを未来へつなぐ

諸國
万博を通した今後の展望、レガシーについておうかがいしたいと思います。
船橋
当社のアプリは、実際の街に展開していくことを前提にしています。提供する対象は徒歩20分の生活圏。そこに集まっている人たちが日常的に交流できるような環境にあることがポイントです。既に大阪の中之島エリアで、アプリを使ってユーザーのニーズを束ね、サービス事業者やスペースをマッチングすることで、何もなかったところに新たにサービスを生み出すという取り組みを始めています。ARやネットワーキングの技術を入れて新しい価値観で新しい事業を作っていく。それがまた新たな経済を生むことにまでつながっていくといいなと思っています。
安藤
万博に来た子どもたちや若い人たちが、当社のデバイス、またこのパビリオンで新しい共鳴の体験を得て、30年、50年後に、新しい開発や研究へとつながったらいいなと思います。パビリオンで共鳴を得た子どもたちが、私たちが想像もつかないような未来をつくっていく、そういうことを実現していきたいと思っています。
宮田
新しい価値を未来に向けてつくるという志を、既に持っておられることに感動しています。未来社会の実践は、もう始まっています。個々の企業の世界観を体現しつつ共鳴し、そこにアートも加わった上で、未来につなぐ手がかりを見せられるといいなと思っています。
諸國
参加されている皆様へ向けたメッセージをお願いします。
安藤
万博は30年、50年、ひいては100年先の日本、世界を作っていく場であると思います。大人も子どもと一緒に未来を考えてほしいし、そういう場にすべく頑張っておりますので、楽しみにしていてください。
船橋
今回の万博は“みんなでつくる”万博です。ぜひ何回も足を運んでください。最終的に皆さんと一緒に「すごかったね」と振り返られるようなものにすべく最後まで頑張ります。
宮田
今日のご縁を大事に、未来に向けて共鳴できればと思います。引き続きよろしくお願いします。

 

【事例紹介2】医食同源米でウェルビーイングな世界へ、未来へ

■”医食同源米”コンソーシアム 世話役/東洋ライス株式会社 上席執行役員 江原 崇光 氏
1973年、埼玉県生まれ。計測機器メーカー勤務を経て、2022年入社。23年より現職。昨年、玄米の栄養素を残した環境に優しい無洗米である、『医食同源米』をオールジャパンで普及させるコンソーシアムを同社が発起人となり設立。医療費の削減や健康寿命の増進、食料自給率の向上を目指す。国内だけではなく、医食同源米を海外へ輸出し、国際貢献を果たすことによって、日本のコメの価値を更に高める活動を全国で展開中。

江原 崇光氏

かつてお米は、滋養強壮の効能を持つ漢方薬として食されていました。しかし昭和30年代以降は、精米技術の発展によって、おいしく食べられるようになった反面、栄養成分が全て取り除かれた、炭水化物の塊になってしまっています。

近年、精米技術がさらに進化し、栄養豊富な「ぬか」成分を残しつつ、味も良いお米が生まれてきています。なかでも、玄米の栄養素を残し、環境に優しい無洗米で、かつおいしく食べ続けられるお米を、私たちは「医食同源米」と呼んでいます。

当コンソーシアムは2023年4月の設立以来、650を超える産官学および消費者の皆さんにご参画いただき、医食同源米の普及に取り組んでいます。次代を担う子どもや妊婦さんの健康度を高めること、健康寿命の延伸に貢献すること、お米の消費量を増やして食料自給率の向上を図ること、休耕地をなくすとともにお米を輸出して海外の人々の健康長寿に貢献すること、お米の価値を高めて生産農家の意欲向上を図ることなどを目的にしています。

全国各地の自治体では、次々と医食同源米を学校給食や健康増進支援事業の一環として採用いただいています。万博が行われる大阪府にある泉大津市では、学校給食に採用されているほか、妊娠から出産までの期間中に医食同源米の一つ「金芽米」を贈る事業も進められています。聖路加国際病院など入院食に採用する病院も増えており、シンガポール政府からは健康食品として認定されました。日本のお米で医食同源を実現することで、国内外全てを巻き込んだウェルビーイングを実現していきたいと思います。

 

クロストーク2「ヘルスケアのミライへ挑む~殻を破り、明日を創る~」

■株式会社ファーマフーズ 大阪・関西万博推進本部長 原田 清佑 氏
1983年生まれ。広島大学大学院にて博士号(学術)を取得。2011年に株式会社ファーマフーズへ入社、15年に開発部部長。タマゴ由来の新規育毛素材の創出や新規創薬シーズの開発を手掛けた。その後在籍した大手飲料メーカーでは、 「創る」と「売る」の目線を併せもった、ものづくりの策士として、ヘルスケア事業の持続的成長に貢献。22年に万博事業の責任者としてファーマフーズへ復帰。大阪ヘルスケアパビリオンのプレミアムパートナーとして、企業ブースを出展する。
■ロート製薬株式会社 広報・CSV推進部 大阪万博&地域連携グループ マネージャー 梅村 健 氏
1979年生まれ。神戸大学大学院にて修士課程を修了後、2004年にロート製薬へ入社。商品企画や広告マーケティング/ブランディング領域に従事し「OXY」をはじめとしたブランド創出や育成をはかる。15年間のマーケティング関連キャリアの後、グローバルビジネスや企業の経営企画及び戦略デザインの担当を経て、23年より大阪・関西万博プロジェクトの責任者を務める。大阪ヘルスケアパビリオンのスーパープレミアムパートーナーとして「再生医療」や「アイケア」に関する出展企画や及び万博後の事業化を推進中。
■読売テレビ 諸國 沙代子 アナウンサー <コーディネーター>

原田 清佑氏
梅村 健氏

万博は世界に情報発信できる場

諸國
大阪ヘルスケアパビリオンのテーマは「REBORN」。産官学民の知見を集結させた生活の質を上げる展示や、未来社会のモデルの展示などが予定されています。出展の狙いを教えてください。
原田
創業した京都だけでなく、もっと多くの人に私たちの声を届けられる舞台として万博がふさわしいと考えました。タマゴの研究とバイオの技術に基づく当社のヘルスケア領域を、世界中に発信したいと思います。
梅村
大阪で創業した当社は、関西を起点にした健康推進に貢献したいと思っていました。目薬を中心としたアイケアの事業と、これから力を入れていく再生医療事業を、万博の場を使ってさらに推進していきたいです。
諸國
どのような展示になりますか。
原田 
「タマゴは地球人を救う」というテーマで、当社が開発した新素材を中心に展示を行います。タマゴは栄養豊富な食材であり、わずか21日間でヒヨコが孵化(ふか)するという生命のバイオカプセルであるだけでなく、殻の部分も資源として使えます。殻の内側の薄皮「卵殻膜」は、中のヒナをウイルスや紫外線から守り、酸素を透過させる機能を備えています。当社は20年をかけて卵殻膜からアップサイクルされた新しい繊維「ovoveil(オボヴェール)」を創出しました。様々な繊維と混ぜて糸にし、カシミアやシルクなど様々な風合いに加工できます。万博では科学者と芸術家がコラボレーションし、「ovoveil」の美しさや手触りなど、五感に響く体験を提供します。
梅村
ミライの都市ゾーンでは、「再生医療が身近になったミライ社会」をテーマに、再生医療にアクセスしやすくなった2050年、街や病院、身の回りの生活がどう変わるかを擬似体験できるブースを用意します。ヘルスケアゾーンでは、「ミライのアイケア」として、アイケアに関する最先端の技術やソリューションを体感できる展示にしたいと思っています。目の状態は健康と密接に結びついており、目の状態から認知症の進行具合を診断したり、メンタルヘルスの状態を検出したりするような研究も世界中で進んでいます。アイケアがウェルビーイング領域で貢献できる一端をご紹介したいと思っています。

強みを生かし、つながり合う時代に

諸國
最後に、どんな未来を描きたいかということも含め、万博への抱負をお願いします。
梅村
あらゆる領域で、これからは1社だけではなく、業種を超えて様々な関係者がつながっていく時代だと思います。万博は共創の場です。世界中にパートナーシップを広げていくことで、ウェルビーイングやヘルスケアに貢献できればと思います。
原田
それぞれの企業が強みを生かし、どんな街づくりを行うためにヘルスケア技術や知見を集積していくのかという視座に立って連携し合うことが大事だと思います。私たちはタマゴから、食品や医薬品、繊維の分野でもイノベーション をリードしていける存在になりたいと思っています。
 

【事例紹介3】国内初となる水素燃料電池船の旅客運航を実現~岩谷産業株式会社~

次世代の脱炭素燃料として熱い視線が注がれる水素エネルギー。岩谷産業株式会社は1941年に水素の取り扱いを開始して以来、製造から輸送・貯蔵・供給・保安まで一貫した全国ネットワークを築いてきた水素のリーディングカンパニーです。当社は大阪・関西万博において、中之島ゲートから万博会場である夢洲(ゆめしま)をつなぐ航路で、国内初となる水素燃料電池船の旅客運航を行います。
水素燃料電池船は従来の内燃機関船と違い、走行時にCO2や環境負荷物質を排出しない、高い環境性能を有しています。また、においがなく、騒音、振動の少ない優れた快適性も実現。デザインはカーデザイナーとして世界的に有名な山本卓身氏が手掛けました。
本船を海上の「動くパビリオン」と当社は位置付けており、大阪・関西万博会場までの移動を特別な体験に変え、万博の盛り上げを目指すとともに、水素エネルギー社会の実現に向けて、その魅力を国内外の来場者に発信していきます。



 
寄稿 大阪・関西万博 開幕半年前によせて 「いよいよくるぞ、万博!」

公益社団法人関西経済連合会 会長
松本 正義 氏
大阪・関西万博の開幕までいよいよ残りあと半年となりました。
会場のシンボルとなる「大屋根(リング)」をはじめ、場内の各施設やパビリオンもその姿が鮮明になってきました。また、会期中に開催されるナショナルデー・スペシャルデーやイベント、コンサート、さらには多くの企業が参画する「未来社会ショーケース事業」についてもその内容が続々と詳細が公表され、大きな反響をいただいています。
10月からは、経済界でも各企業にご協力いただき、万博をPRする新たなポスターやデジタルサイネージを各地域の街なかで展開してまいります。万博への期待の輪が全国でさらに大きくなり、来年4月から、会場に足をお運びいただければ幸いです。




司会進行・コーディネーター

読売テレビアナウンサー
諸國沙代子(しょこく・さよこ)

<主 催> 読売新聞社
<協 賛> アストラゼネカ、岩谷産業、大林組、クモノスコーポレーション、パソナグループ、ファーマフーズ、村田製作所、ロート製薬、医食同源米によって我が国の国難を解決するためのコンソーシアム
<協 力> 読売テレビ
<後 援> 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会、日本経済団体連合会、関西経済連合会、日本商工会議所、経済同友会、大阪府、大阪市、キャッシュレス推進協議会