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読売EXPOフォーラム ~万博で輝く未来社会とSDGs~<後編>

PR SDGs 宮田裕章

2025年大阪・関西万博開催を翌年に控え、その意義や見どころ、その先の未来について考える「読売EXPOフォーラム」が3月11日、立命館大学大阪いばらきキャンパス(大阪府茨木市)で開かれ、オンラインでも配信されました。「万博で輝く未来社会とSDGs」をテーマに、万博のプロデューサーや企業関係者、学生らが取り組みと未来に描く夢とを語り、会場は期待と熱気にあふれました。

※登壇者の所属・肩書は、イベント時のものです。

 

【セッション】 サステナブルな世界に必要な視点とは

■立命館大学グローバル教養学部 教授/学校法人立命館常務理事(企画担当) 山下 範久 氏
1971年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程単位取得退学。専門は歴史社会学、社会理論、世界システム論。著書に『世界システム論で読む日本』(講談社、2003年)、編著書に『教養としての世界史の学び方』(東洋経済新報社、2019年)、訳書にA・ G・フランク『リオリエント─アジア時代のグローバル・エコノミー』(藤原書店、2000年)、ジェイソン・W・ムーア『生命の網のなかの資本主義』(東洋経済新報社、2021)など。
■慶応義塾大学 教授/大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー 宮田 裕章 氏
■読売テレビ 平松 翔馬 アナウンサー <コーディネーター>

山下 範久 氏
宮田 裕章 氏

グローバルサウスと万博

平松
大阪・関西万博には約160の国と地域が参加を予定しています。宮田さんはグローバルサウス(新興・途上国)の関係者とミーティングされているそうですね。
宮田
経済という側面から世界を見たときに、今後の成長を担うのはグローバルサウスの国々です。気候変動問題など地球規模の課題を解決する上でも、共に歩んでいかなくてはなりません。これらの国々からは「先進国が発展した後で、一方的に二酸化炭素排出を規制するのはフェアではない」など厳しい意見も出ますが、万博の理念を説明し、対話を続けています。
山下
いがみ合っている間にも地球環境はどんどん悪くなっていきます。この状況に対し、同じ運命を共有しているのだと、議論の方向転換をしていくことが必要ですね。コミュニケーションをとり、つながりを発見する。今回の万博もそうですが、生身の相手を感じる機会が提供されることはすごく大事だと思います。
宮田
万博会場のリング(大屋根)は内側に少しカーブしていて、中から見上げる空は丸く切り取られて見えます。グローバルサウスも含め、その場に多様な人たちが集って同じ空を見ながら、どう一歩を踏み出すのがいいのかを考える。繫栄を享受してきた先進国がサポートする義務はあると思いますが、それをふまえた上で未来について話し合えるのが万博の大事なところではないでしょうか。
平松
世界中にいろんな主義主張があり、現在も対立している状況があります。歴史学的に見て、そういった対立はこれまでどのように解決されてきたのでしょうか。
山下
長い目で見ると、世界はだんだん民主化されてきていると思います。民主化とは、いわば「人間扱い」の範囲を広げていくプロセスでもあります。例えば、ほんの200~300年前は、白人男性で読み書きができ、財産を持っている人だけが社会で認知されるという時代がありました。それを、肌の色が違っても性別が違っても、すべて人間でしょうと広げてきました。グローバルサウスの発言力が増してきている状況も、今における民主化の最前線がそこに現れているということだと思います。さらに今後は、自然環境や動物など人間の周りにどこまで広げるかを考えることも大切になってくるのではないでしょうか。
宮田
技術によって解決できるものもあり、その一つが「可視化」です。デジタルによって、持続可能性や人権への影響といったものを可視化できるようになってきました。新しい技術は分断など新しい問題も生んでいますが、使える技術によって実現できることを視野に入れながら未来に向き合うことも、万博の一つの役割だと思います。

「課題発見力」を養う学びを

平松
インターネットやSNSで情報があふれる世の中をどう考えていけばいいでしょうか。
宮田
インターネット空間でのつながりには、商業主義によるエコーチェンバー(SNSで同じ意見ばかりに触れ、極端な意見が増幅される)現象の問題があります。滞在時間を最大化するため、心地良いものを見せ続けるんですね。すると、自分と違う考え方をインターネットで見ることがなくなってしまう。心地良い空間を出て、いわゆる違和感といかに向き合いながら前に進んでいくかが大事です。
山下
私の専門の歴史社会学は、過去と現代とのつながりを見ることで社会の構造的な変化を明らかにしようとするものです。その際に大事なのは、過去の見方は一通りではないと気付くこと。文脈の多様性に視点を開くことで歴史の見方を広げるということは、エコーチェンバーの外に出るという発想と同じだと思います。
平松
AI(人工知能)の登場はどうお考えですか。
宮田
これまでの学びは知識や技術の習得に重点を置いてきましたが、検索や課題整理が生成AIでできるようになると、人がやるべきことは「問いを立てる」ことになります。他者の視点に配慮しながら、何を共にし、どこへ共に歩んでいけばいいのかと考える、これもすごく重要な問いだと思います。そういう学びに時間を使っていくことが大事になるのではないでしょうか。
山下
課題解決力と共に「課題発見力」を育てる場を提供することが大学として大事だと考えています。今回の万博で中島さち子さんのパビリオンに協賛することは、実は、大学にとってひとつの挑戦です。でも、あえて取り組むことが学生へのメッセージになると思っていますし、課題発見への道すじを学生が見いだす機会になればと期待しています。

SDGsの先を考える

平松
万博の開催される2025年は、30年を達成目標とするSDGsにとっても大事な年だと言われています。30年の先は、何が大事になってくると思われますか。
宮田
万博の「テーマウィーク」は、SDGsのすばらしい部分をふまえた上で、どういう問いを共に立てていくかを考えることでもあります。SDGsは「命の灯火を消さない」という価値を先行させてきましたが、未来につながる軸はそれだけではありません。今回の万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマにしており、一人一人が多様ないのちとつながる中で、どう豊かに生きることができるのかという視点が、やはり大事だと思います。テーマウィークで新たな軸を示すことで、新しい対話につながっていくといいなと思っています。
山下
SDGsが画期的だったのは、それまで分けて考えられていた「開発」と「環境」を一つの課題としたことであり、それで合意できたことはすごく大きなことだと思っています。ただ、まだまだ一つで考え切れていないことがいくつかあります。例えば、17あるゴール(目標)のうち、海と陸は別々のゴールに設定されいますが、実際には海と陸の環境はつながっていて分けられないですよね。つながりというものを、より深く考えることが必要なのではないかと思います。
宮田
おっしゃる通りで、テーマウィークでは海と陸を分けず「地球」としています。
平松
そのあたりもサステナブルな万博ということなんですね。ありがとうございました。
 

【活動報告】 私たちの万博チャレンジ

立命館大学万博学生委員会「おおきに」メンバー
■代表、総合心理学部1回生 髙木 葵凪さん
■食マネジメント学部1回生 亀垣 敦史さん

写真左から髙木さん、亀垣さん

「おおきに」は、立命館大学が、中島さち子プロデューサーのテーマ事業に協賛することをきっかけに誕生した学生組織です。学内外を問わず様々な団体と連携し、主に大阪いばらきキャンパス(OIC)で行われるイベントで活動しています。

大阪・関西万博を通じ、研究や学生活動の活性化、児童・生徒・学生の学びと成長の機会創出などに貢献することが私たちの目的です。異文化理解、環境、コミュニケーション、日本文化、食などの班に分かれ、工夫を凝らした楽しめる活動を通して交流を深めています。

3月4日には、中島さち子プロデューサーをはじめ、「クラゲ館」協賛企業の方々に来ていただき、万博チャレンジワークショップを実施しました。万博で実施したい企画を披露してフィードバックをいただくというもので、普段出会うことの少ない企業の方にたくさん出会う貴重な機会となりました。いただいたフィードバックを元に企画の改善を重ね、万博での実現を目指します。

学生だからできること、万博だからできること。今しかできないチャンスを活用し、万博を楽しく盛り上げる一員になりたいと考えています。

 

【事例紹介】 世界を魅了する國酒『日本酒』~NFTで広がるその価値と世界~

■株式会社リーフ・パブリケーションズ SAKE事業部 Director/唎酒師 上山 賢司 氏
岡山県出身。立命館大学情報理工学部卒業。広告制作会社を経て2006年入社。京都情報メディア「Leaf」編集長、SDGs情報マガジン「TSUMUGINO」編集長など担当。「Sake World Summit in Kyoto」「日本酒条例サミット in 京都」「京都日本酒電車」他さまざまな日本酒イベント、ペアリング等の食&酒イベントのプロデュースを担当。京都府「京の食」産業振興プラン政策検討委員、京都市コンテンツ産業振興検討委員なども務める。

上山 賢司 氏

日本酒は日本人の食のルーツ・お米から生まれ、美しい水と、糀菌という日本独自の菌で醸す発酵食品です。精米時に出る米粉は餅やせんべいに、搾りかすである酒かすはかす汁等に使われるSDGsな製品で、フードロスのほとんど出ない伝統産業品の一つでもあります。神への供え物としてささげられたルーツを持ち、冠婚葬祭や儀礼など人生の節目に飲み交わされる日本酒を知ることは、日本人の根底にある精神性を知ることでもあります。

残念ながら国内での消費量が減っている日本酒ですが、海外では和食がユネスコ無形文化遺産に登録された2013年頃から急速な伸びを見せ、特に熟成酒の人気が高まっています。24年11月頃には「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産に登録される見通しでもあり、弊社は日本酒の価値を最大化することをミッションに、新たな日本酒経済圏を築くための取り組みを始めています。それが昨年12月に開始した日本酒の熟成保管サービス付き通販サイト「Sake World NFT」です。

NFT(偽造不可能な鑑定書付きのデジタルデータ)形式で販売される日本酒の引き換えチケットを購入することで、好きなタイミングで日本酒に交換できるというもので、「日本酒を『飲める資産』へ」をキャッチコピーに、現在30蔵120銘柄を販売。24年度中に約250蔵1000銘柄の公開を目指しています。保管中の日本酒は当マーケットプレイス上で他のユーザーと売買でき、その収益の一部は酒蔵に還元されます。

千年の都・京都のサステナブルマインドを忘れずに取り組み、日本が誇るべき日本酒を次の世代に残すために、世界戦略に挑戦していきます。

 

【事例紹介】 遥か未来の小豆島との約束 ~オリーヴ兄弟の挑戦 1000年続くオリーヴの森に~

■小豆島ヘルシーランド株式会社 代表取締役社長 柳生 敏宏 氏
オリーブオイル官能鑑定士、o.n.a.o.o.オリーブオイルテイスター。大学卒業後、地元金属加工業に2年半ほど勤め、小豆島ヘルシーランド株式会社に入社。通信販売事業におけるフルフィルメント業務やマーケティング業務、オリーブ栽培業務に携わりながらオリーブオイル官能鑑定士やオリーブオイルテイスターの資格を取得。イタリアにオリーブを訪ね3000kmを旅した際にオリーブと人間が共生する姿に感動を覚え、小豆島に1000年続くオリーヴの森を作ることを決意。
■同 取締役副社長 柳生 忠勝 氏
オリーブオイルソムリエ、o.n.a.o.o.オリーブオイルテイスター。大学で経営学を専攻した後、師匠である望月照彦先生の縁で出版社に入社。2005年に小豆島に戻り、父が創業した小豆島ヘルシーランド株式会社へ。これまで世界20か国以上を旅して様々な国の人たちに触れ、オリーブや瀬戸内小豆島の可能性を感じ、2019年より本格的に経営に参画。次世代につなげるべく、兄と共に1000年続くオリーヴの森の礎を作っている。

写真左から 柳生敏宏氏、忠勝氏

私たちは瀬戸内・小豆島で生まれた4人兄弟の次男と三男です。父母が創業した会社を引き継ぎ、約1万本のオリーブを育て、化粧品の研究開発・製造、販売を行っています。さらに、お客様や関わる人たちに健康になっていただこうとウェルネスガーデン「千年オリーブテラス for your wellness」を作り始め、3月15日には宿泊施設がオープンしました。オリーブリトリートスパやオリーブオイルのテイスティング、そして小豆島のゆっくりとした時間を感じていただけますので、ぜひお越しください。

なぜ千年なのか。それは2011年3 月11 日、小豆島に流れ着いた1本の木が、「樹齢千年のオリーヴ大樹」だったからです。今も他の木と同じように実をならせるそのオリーブに学び、オリーブと共に生きる社会を千年続けていこうと考えています。

人口減少が続く小豆島ですが、2010 年に瀬戸内国際芸術祭が開かれたことで若者や様々なキャリアを持つ方の移住が進み、国内外からの観光客も増えました。そうした中、私たちは空き家を再生して妖怪美術館や民泊、シェアハウスなどを整備し、島の文化に触れていただく場を提供しています。その取り組みが認められ、総務省の「令和5年度ふるさとづくり大賞」で団体表彰をいただくことができました。

2025年は離島の小豆島にとって、万博と瀬戸内国際芸術祭が重なる素晴らしい機会です。島の内外の方々と手を組み、これからも小豆島を盛り上げていく仕組み作りに取り組んでいきたいと思います。

 

【セッション】 大阪・関西万博で描く未来「NATUREVERSE」とは

■東京大学大学院 総合文化研究科 広域システム科学系 教授 池上 高志 氏
1989年 東京大大学院より理学博士(物理学)。京都大学基礎物理学研究所ポスドク、アメリカ LosAlamos研究所、神戸大学大学院助手などを経て、1994年より現所属・助教授、2007年より同教授。専門は、複雑系の科学と人工生命の研究。アーティストとしても活動。Alternative Machine Inc.を 2017 年より発足。
■株式会社パソナグループ 常務執行役員 RegionalAdvantage兼Natureverse本部長 伊藤 真人 氏
1971年生まれ。1994年、株式会社パソナ入社後、阪神・淡路大震災からの神戸復興事業や人材派遣サービスの営業責任者を経て、2007年より株式会社パソナロジコムの代表取締役。2015年より、株式会社丹後王国・株式会社パソナ農援隊の代表取締役を歴任。丹後王国では、京都府・京丹後市にある道の駅・丹後王国「食のみやこ」の再生事業に関わり、家族と共に京丹後市に移住。道の駅や地域商社を通じた、地域活性化事業に携わる。2018年より現職。「人を活かす」という理念を軸に、地域への「人材誘致」や「しごとの創出」に基づいた持続可能な発展を目指す地方創生事業に推進に取り組む。2025年大阪・関西万博のパソナグループパビリオンの担当も務める。
■読売テレビ 平松 翔馬 アナウンサー <コーディネーター> 

伊藤真人氏
池上高志氏

生命とは何か

平松
パソナグループが展開するパビリオン「NATUREVERSE」は、「いのち、ありがとう。」というコンセプトが印象的です。
伊藤
人間は地球環境を含め動物や植物から命をいただき、生かされています。生きとし生けるものへの感謝の心が未来の社会を作っていく、そんな思いを込めています。「NATUREVERSE」はネイチャー(自然)とユニバース(万物・宇宙)を合わせた造語で、人とテクノロジー、自然環境が調和した新しい成長の姿を表現しています。
パビリオンでは鉄腕アトムとブラック・ジャックがナビゲーターを務めてくれます。
平松
アトムが新しく生まれ変わるそうですね。
伊藤
手塚治虫先生が残されたストーリーには、「科学の子」として生まれたアトムが、人間の心を持ちたいと葛藤する姿が描かれていました。パビリオンでは、ロボットという科学技術と人、自然環境が調和した新しいアトムをお見せしたいと考えています。
平松
池上さんはどのような経緯で関わることになったのですか?
池上
淡路島でたまたま南部代表とお会いし、化石の話で盛り上がったのがきっかけです。淡路島と北海道では、通常とは異なる巻き方をしたアンモナイトの化石がとれます。そこから自然界のデザインと人工的なデザインとの差、進化の法則などについて話が弾み、NATUREVERSEに参加させていただくことになりました。
平松
具体的にどんな展示を考えられていますか?
伊藤
大きく「いのちの歴史」「からだ」「こころ・きずな」「未来の『食』」の四つのゾーンに分かれます。「こころ・きずな」ゾーンでは、人と人、人と環境が互いに助け合う「Mutual Society(互助の社会)」という世界観を表現します。
平松
「いのちの歴史」ゾーンは池上さんが担当されています。物理学がご専門ですが、どのように関わっているのですか?
池上
物理学者は長年、生物を理解しようと努めてきました。「生命とは何か」は、何十人もの物理学者によって研究されてきたテーマなんです。さらには、人工生命の科学というものが生まれています。例えば、オランダの物理学者テオ・ヤンセンは、プラスチックを組み合わせ、風の力で動く人工生命を作っています。滑らかに動くその設計図を彼はネット上にアップします。それを見た人たちが作り、時に新たなものを加えながら世界中に拡散していく。それによって進化が起こっていると、彼は主張しています。
平松
動力で動くのに、物理学では命があると考えるのですか?
池上
生命とは何かという問いに、どう答えるかということです。例えば、九九の計算はコンピューターでも、指を折ってでもできます。だけど指を調べても数学が何かは分かりません。それは数学が、指でもコンピューターでもできる、抽象的な何かだからです。物質に依拠しない何かが世の中には存在するということであり、生命も、もしかすると数学みたいなものかもしれません。だとしたら細胞やDNAを見るのではなく、別のことをしなければならない。そこから人工生命が始まるということです。
平松
可能性は無限にあると。それを表現するために「いのちの歴史」ゾーンにある「生命進化の樹」は、幹からたくさんの枝を伸ばしているのですか?
池上
そうです。「生命進化の樹」が面白いのは、1億年後から今を見た時にどう見えるか、ということを考えているところです。今のものは何が化石として残るのか、それを未来の人はどうやって見るのか。そういったことを幹の内側に地層として表現します。アンモナイトなどの化石がたくさんあって、それが現代の化石へとつながっていき、未来に化石としていっぱい出てくる。それをさらに先の未来から見ていると。そういうことを表現する地層です。

万博後の未来

平松
「生命進化の樹」を含め、パビリオンは万博後、そっくり淡路島に移設されるんですよね。
伊藤
はい。サステナビリティーという観点からも、最初から淡路島に移設できるような設計をして作っています。万博で表現をしたことを実社会で生かすことができるということを表現するパビリオンであり、社会に実装されていることを実際に示す場所としての淡路島、ということを目指してやっているところです。
平松
淡路島ではいろいろな事業を展開されていらっしゃいますけれども、今後どのようにつながっていくのですか?
伊藤
私たちは廃校を利活用するなどの観光事業を通じて地域を活性化するとともに、より人が魅力的な集まる場所を作っていこうとしています。次の段階として、私たちが思い描く真に豊かな働き方や生き方を少しずつ実装していき、未来社会のモデルを作りたいと考えています。
平松
池上さんは、万博後の未来はどうなっていくことが大事だとお考えですか?
池上
全ての人が科学者になることです。科学者になるとは、「自分で考える」ということ。二酸化炭素が増えて温暖化現象で大変だと言っているけれども、誰かが言ったからそう思っているだけではないでしょうか。自分で考えることが、今とは違う未来を作ります。
平松
情報をうのみにせず、一度考えてみることが大事だということですね。
伊藤
いろいろなことを自分事として考えることだと受け止めました。相互に影響し合い、助け合う中で私たちの社会は成り立っています。そのことに一人一人が気づけば、世の中は一歩一歩変わっていく。それは私たちが掲げる「Mutual Society」「NATUREVERSE」という言葉と深くつながっていると改めて確信しました。
平松
最後に、万博に向けた意気込みを。
伊藤
パソナグループにとって、2025年は創業50周年の節目でもあります。50年後、100年後の人たちに、「パソナグループがあの万博で発していたメッセージが、今の心豊かな社会につながっているな」と思っていただけるようなパビリオンを作ります。
池上
科学というものは、学校で勉強するとつまらないことも多い。それを面白く包んで見せ、入っていけるようにすることが万博の役割でもあると思います。そこには、日頃触れていないけれども実は自分にとって重要な栄養素があるかもしれません。ぜひ万博に来て、それを持って帰ってもらいたいと思います。


 
寄稿 大阪・関西万博 開幕1年前によせて

公益社団法人関西経済連合会 会長
松本 正義 氏
大阪・関西万博の開幕まで残り1年となりました。経済界では、パビリオンの準備、万博のコンセプトである「未来社会の実験場」の具体化に資する取り組み、企業が持つチャネルを活用した機運醸成の取り組み等が進められているほか、既に多くの企業から前売りチケットご購入のお申し出もいただくなど、万博への期待が日ごとに高まっています。今後、国内外の多くの皆さんにご来場いただけるよう、全国規模で積極的に情報発信していくことが最大の課題です。私は博覧会協会の「機運醸成委員会」の委員長も務めておりますが、博覧会協会、全国の自治体・経済界の力を結集して、万博開催の意義、魅力をしっかりと伝えていきたいと考えています。特に、開幕半年前となる今年10月からはパビリオンや催事の予約が可能となることから、この時期を「PR重点期間」に設定し、機運醸成活動を強化してまいります。1年後、多くの皆さんとともに開幕の日を迎えられることを楽しみにしております。



<主 催> 読売新聞社
<協 力> 読売テレビ
<協 賛> クモノスコーポレーション、小豆島ヘルシーランド、住友電気工業、西尾レントオール、パソナグループ、村田製作所、リーフ・パブリケーションズ、立命館大学
<後 援> 大阪府、茨木市、関西経済連合会、関西経済同友会、大阪商工会議所、2025年日本国際博覧会協会、 関西SDGsプラットフォーム