環境問題 子供が楽しく学ぶ
カナデビア 専務執行役員 小木 均さん
読売新聞大阪本社版朝刊
2025年大阪・関西万博は、「循環経済(サーキュラーエコノミー)」がテーマの一つとなる。ごみからクリーンなエネルギーを生み出す未来社会の姿を提案するのが、ごみ処理施設を手がけるカナデビア(旧・日立造船)だ。担当する小木均専務執行役員は「どうすれば個人が資源循環や脱炭素に関わっていけるのか。それが体感できる仕掛けを作り、ぜひ子供たちに体験しながら学んでもらえる場にしたい」と話す。
カナデビアは、日本国際博覧会協会と12の企業・団体が設ける「未来の都市」のパビリオンに出展する。出展コンセプトは「人と地球の幸せな未来」。天空と地上を結び、地下にも根を張る巨大な「世界樹」を中心に据え、人と地球のつながりを示す計画だ。
世界樹に触れると、「循環」の一端が体感できる仕掛けを検討している。具体的には、▽資源ごみから作り出した水素で自動車を動かす▽生ごみから発生したメタンガスで発電する▽紙ごみから航空燃料を作り、飛行機を飛ばす▽水素と二酸化炭素を合成したメタンガスで料理をする――の四つのストーリーを用意し、子供たちが楽しみながら体験できるようにする。
小木氏は「『きれいな地球を残したい』というみんなの思いを我々の技術で支えるストーリーにしたい」と語る。
政府が循環をテーマに出展するパビリオン「日本館」にも参画する。万博の会場内から出る生ごみを微生物に分解させ、発生したメタンを燃やして発電する「バイオガスプラント」を設置する予定だ。生み出した電気は館内で使用する。実際に稼働するプラントを展示物として見せるユニークな試みとなる。
会場内には、開発中の次世代のごみ箱も置く。内蔵のセンサーでごみの量を測り、一定量に達すると担当者に通知して満杯になる前に回収する仕組みだ。スマートフォンのカメラでごみを撮影すると、資源になるのか、処分されるのかといった処理の流れがわかるアプリも提供する。
小木氏は「子供たちに夢を持ってもらえる万博にしたい。そして『その夢を実現するのはあなたたちだ』というメッセージを伝えたい」と力を込める。
(杉山正樹)