地球にやさしい「農」示す
クボタ KESG推進部 関根正海氏

読売新聞大阪本社版朝刊

関根正海氏

 来年4月に開幕する大阪・関西万博には、「未来の都市」をテーマにしたパビリオンが出展される。そこで新しい時代の「食と農」の姿を示そうと挑むのが、農業機械大手のクボタだ。担当するKESG推進部の関根正海氏は「我々の技術で、地球環境を守りながら、人々の暮らしを豊かにする食と農業のあり方を示したい」と話す。

 未来の都市パビリオンは、日本国際博覧会協会(万博協会)と12の企業・団体が共同出展し、それぞれが社会課題の解決に役立つ技術や仕組みを披露する。クボタの出展コンセプトは「プラネタリーコンシャスな未来の食と農」。プラネタリーコンシャスとは、豊かな社会と地球環境がともに持続可能な状態を表す。
 現実には、日本の農家は高齢化が進み、減り続けている。関根氏は「食に気を使う人でも、食べているものがどこから来ているのか意識する人は少ない。食を支える農業が遠い存在になってしまっている」とし、「技術が進化すれば、若い人が農業に参入するハードルが下がり、開かれた農業になる」と語る。

 万博では、ブースを覆うような巨大なスクリーンを使って、未来の農場経営が体験できるシミュレーションゲームを用意する。どんな作物を作り、誰に届けるか。最先端の技術を活用し、いかに効率的で環境への負荷が少ない農業を実現していくか。ゲームを通じて、食べられるのに捨てられる「食品ロス」を生まない生産や流通、消費の流れを考えてもらうという。
 こうした未来の農場で活躍する次世代の農機も披露する。クボタは自動運転のトラクターやコンバイン、田植え機を実用化しているが、現在は人が近くで監視する必要がある。万博では環境負荷が低く、完全な無人の農業につながるコンセプト機を展示する。一部の技術は来年中の実用化を視野に入れているという。

 クボタは1970年の大阪万博で、屋根やエアコンを備え、快適な空間で作業ができるトラクターを展示した。当時は夢の農機だったが、今では一般的になった。関根氏は「今回の万博で思い描いた未来社会も、いつか必ず実現できる」と意気込む。

(高市由希帆)




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