観光ビジネス創出 支援
三菱UFJ銀行副頭取 早乙女実氏
読売新聞大阪本社版朝刊
2025年大阪・関西万博で、三菱UFJ銀行はパビリオンの出展に加え、観光関連の新たなビジネスの創出や、中小企業やスタートアップ(新興企業)の支援に取り組む。西日本トップの早乙女実副頭取は「万博を機に関西経済が大きく飛躍し、関西から日本をリードしていく風を起こしたい」と語る。
三菱グループ31社が手がけるパビリオン「三菱未来館」は、マザーシップ(母船)をイメージした外観が特徴だ。展示内容は今年9月下旬に公表する予定で、「いのち輝く地球を未来に繋(つな)ぐ」をコンセプトに、「深海から宇宙への壮大な旅が体験できる」(早乙女氏)施設になるという。
10~11月には「三菱UFJ銀行大阪ビル」(大阪市中央区)で出展内容を紹介するイベントを開く。三菱グループは過去の万博でも「未来館」と名付けたパビリオンを出展しており、ゆかりの品々も展示する予定だ。早乙女氏は「人気のあるパビリオンを用意してきた自負がある。今回の未来館は若い世代の『推しのパビリオン』になることを目指したい」と意気込む。
三菱UFJ銀は21年、観光ビジネスの創出拠点「MUIC(ミューイック)Kansai」(大阪市)を開設した。新興企業のビジネスアイデアの実現を支援しており、これまでに100件以上のアイデアを検討し、テレビで楽しめるリモート観光ツアーや「手ぶら観光」を後押しする荷物配送サービスなど、17件を実用化したという。
万博でもパビリオンのリモートツアーが導入される予定で、早乙女氏は「高齢や障害で、万博会場に行きたくても行けない人がいる。会場内で車椅子の移動をサポートするサービスも提供し、より多くの人に万博を体験してもらえる環境を整えたい」と話す。
万博のレガシー(遺産)として、閉幕後もこうしたビジネスアイデアの実用化を支援していく方針だ。その一環で、新興企業を育成する基金の創設に向けて、大阪府に30億円を寄付することを決めた。
早乙女氏は「未来社会の技術や夢を万博のレガシーとして社会に実装していく。そして、それらを社会、経済の発展につなげていくことが重要だ」と力を込める。
(升田祥太朗)