木造施設 スピード工法
西尾レントオール 大阪・関西万博プロジェクト部長 阿部良三氏

読売新聞大阪本社版朝刊

阿部良三氏

 建設機械のレンタルを手がける西尾レントオール(大阪市)は2025年大阪・関西万博で、海外パビリオンや営業施設など計6施設の建設に携わる。合わせて、工期の短い独自の木造工法の展開を始めており、大阪・関西万博プロジェクト担当部長の阿部良三氏(53)は「会社の成長に向けてチャレンジしていきたい」と話す。

 海外パビリオンの建設では、工期の短さや人手不足などで受注を敬遠する建設業者もあるが、同社はイタリア、インドネシア、フィリピンのパビリオン建設を請け負った。武器とするのが、規格化された木材と独自の金物を組み合わせる「ATA(アタ)構法」だ。
 木造は軽いため大規模な基礎工事の必要がなく、構造のはりをそのまま見せる「現(あらわ)し」を利用すれば、内装工事の手間も省ける。2021年に買収した木造設計会社が持つノウハウで、阿部氏は「鉄骨で作る場合と比べて工期を約4割短縮できる」とし、開幕までの完成に自信を示す。
 最大幅40メートルの空間を柱なしで作れ、展示空間の制約も少ない。3か国のうち、最も面積が大きなイタリア館では、大空間をいかした展示物や開放感のあるレストランなどが見どころになるという。

 阿部氏は「万博の工事をやりたいという地場の建設会社は意外と多い」と明かし、海外パビリオンの建設では実際、関西に本社を置く中小ゼネコンと共同企業体(JV)を組む。発注元の外国政府などとの打ち合わせや調整は自社で主導し、工事現場での進捗(しんちょく)管理などは建設会社側が担う。「我々が不得手なところは助けてもらいながら、協働して取り組みたい」と意気込む。

 「万博に使われた部材を取り入れたい」という要望も寄せられており、パビリオンなどに利用した木材は会期後に解体し、別の建物に再利用する計画だ。
 企業向け取引が主力の西尾レントオールにとって、万博は自社の認知度を高める好機。阿部氏は「万博を通じて会社の立ち位置が変わっていけば、それが商品開発などを通じて、成長の機会にもなるだろう」と期待を込める。

(升田祥太朗)




よみうり万博チャンネル

2025年大阪・関西万博を盛り上げようと、準備を進めている企業や団体のキーパーソンにインタビューします。
記事は随時掲載です。