一人一人異なる体験可能に
2025年日本国際博覧会 大阪パビリオン出展総括課長 山縣敦子氏

読売新聞大阪本社版朝刊

山縣敦子氏

 大阪府と大阪市は2025年大阪・関西万博に産官学の連携で「大阪ヘルスケアパビリオン」を出展する。準備の総合調整にあたっている山縣敦子・出展総括課長は「『オール大阪』の取り組みで、万博で一番良い展示になると思っている」と力強く語る。

 常設展示には医療や製薬、食品といった関西ゆかりの企業約30社が参加。週替わりで展示する新興、中小企業も含めると400以上で「打ち合わせでは、最高のものを作りたいという企業の熱い思いを常に感じている」という。
 展示テーマは「REBORN(生まれ変わり)」だ。来場者の骨や筋肉、肌、毛髪などの状態をその場で測定して、データを基に25年後の姿を予測したアバター(分身)を生成してモニターに映し出す技術が目玉となる。
 「自分の未来を知るだけでなく、お子さんたちと一緒なら、25年後の姿に『お父さんに似てるわー』と楽しんでもらえるはず」と山縣氏。また来場者がパビリオンに展示される「ミライのヘルスケア」を体験すると、アバターの外見が若返るなど変化する。

 全員が同じ展示を鑑賞するのではなく、一人一人が異なる体験ができるところが従来のパビリオンとの違いだ。
 ほかにもiPS細胞でつくる「動く心臓モデル」や「大阪の食文化」などの展示を計画している。大阪府では府内の小中学生、高校生らを万博に無料招待する予定で、山縣氏は「子どもたちが万博で未来の技術や医療に触れ、将来の道を決めるきっかけをつかんでくれれば」とも語る。

 府からの出向組の山縣氏にとって、協賛企業を回り、一緒にパビリオンを作っていく日々は新鮮な体験だ。「限られた期間で準備するので、日々課題を乗り越えていかなければならない。行政の課とは違うプロジェクトチームみたいな感じ」と楽しげに話す。
 テーマの「REBORN」には、新たな一歩を踏み出すという意味も込められている。
 「パビリオンの準備を通じて、産官学のネットワークが広がっているのを実感している。これが万博のレガシーとなり、未来の大阪の発展につながるはずだ」と、言葉に力がこもった。

(猪原章)




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2025年大阪・関西万博を盛り上げようと、準備を進めている企業や団体のキーパーソンにインタビューします。
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