生命育んだ46億年 たどる
パソナグループ常務執行役員 伊藤真人氏
読売新聞大阪本社版朝刊
パソナグループは2025年大阪・関西万博にパビリオン「パソナ ネイチャーバース」を出展する。「いのち、ありがとう。」を基本理念に掲げ、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った「動く心臓」のほか、生命の進化の歴史を再現した巨大なオブジェ「生命進化の樹」を披露する予定だ。伊藤真人常務執行役員は「生命や未来への可能性を表現したい」と話す。
パビリオンでは「からだ」「こころ」「きずな」の三つをテーマに展示する。伊藤氏は「パソナは『人を活(い)かす』ことを仕事にしている。万博では地球上の全ての生命が、科学技術と調和して助け合う未来社会を示したい」と意気込む。
エグゼクティブプロデューサーに、再生医療に取り組む澤芳樹・大阪大名誉教授(心臓血管外科)を迎えた。澤氏はiPS細胞から心臓の筋肉細胞シートを作り、心臓病患者に移植する世界初の治療を実施したことで知られる。伊藤氏は「万博では、iPS細胞から作製した心臓モデルを展示し、動いている様子を見てもらいたい」と語る。
生命進化の樹は高さ約10メートル。46億年前の地球誕生から、生命が生まれて人類へと進化していく過程が体感できる内容を目指す。環境負荷が小さい植物由来の食品も展示する予定で、伊藤氏は「実際に味わってもらい、生命への感謝や畏敬の念が感じられるものになれば」と期待する。
パビリオンの外観はアンモナイトにちなみ、らせん状のデザインを採用した。生命のつながりを象徴する存在であるとともに、パソナが活性化に注力する兵庫県・淡路島で多く採れる化石であることが理由だ。パソナは島内でテーマパークや飲食店を運営するほか、2020年秋から本社機能の一部移転を進めており、現在は1000人を超える社員が働いているという。
パビリオンは万博の終了後、淡路島に移設する計画だ。伊藤氏は「万博は関西に世界の目が向く好機であり、淡路島の発展にとってもマイルストーンになる。淡路島を単なる観光地ではなく、ウェルビーイング(心身が健康で幸福な状態)が実現できる場所にしていきたい」と強調する。
(寺田航)