未来医療 京阪神から推進
大阪府商工労働部長 馬場広由己氏

読売新聞大阪本社版朝刊

馬場広由己氏

 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする万博で、大阪府・市などは「大阪ヘルスケアパビリオン」を出展する。iPS細胞の働きを見せる「心臓モデル」といった未来の医療の技術が展示される。

 未来医療は大阪がこれから力を入れる分野だ。その象徴として、この春、大阪市北区の国際拠点「中之島クロス」がオープンする。
 未来医療は、ロボット、AI(人工知能)、再生医療など様々な分野の技術を結集し、今まで不可能だった治療を可能にするものだ。
 中之島クロスの最大の特徴は、アカデミア(学術機関)、スタートアップ(新興企業)、メーカー、医療機関が一つ屋根の下に入るところだ。この4者の交流によって技術革新を生み出し、未来医療の「産業化」に道筋をつける。
 立地は抜群だ。大阪市の中心にあり、2031年に大阪市と関西空港を結ぶ「なにわ筋線」が開通すれば新駅も横にできる。

 関西には既に医療産業の集積地がいくつもある。大阪府茨木市などをエリアとする「彩都(さいと)」は創薬に強みがある。国立循環器病研究センターがある吹田市などの「健都(けんと)」は、健康と医療をテーマにした企業や研究者の交流の場となっている。
 さらに京都にはiPS細胞で有名な京都大、神戸には理化学研究所があり、京阪神はライフサイエンス分野のポテンシャルが高い。
 各国から大勢が大阪を訪れる万博は、この強みを世界に知ってもらう最大のチャンスだ。国内外のビジネス関係者、医療関係者、一般の人、学生らを広く対象に、中之島クロスなどを訪れてもらうツアーを実施し、未来医療の可能性をアピールしていくつもりだ。

 新興企業を支援するベンチャーキャピタルに「良い投資先が見つかるかも」と感じてもらうことが重要だ。万博に合わせ「健都」でも、最新の研究成果や商品を体感してもらう企画「健都万博(仮称)」を計画している。それが万博後に再び大阪に来てもらう動機になる。
 関西が東京や世界と伍(ご)していくには、京阪神が束になって勝負すべきだ。ここに来れば出会いがあり、事業資金も集まるという拠点として中之島クロスに旗を立て、国内外にアピールしたい。

(聞き手 真崎公美)




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