「タマゴ」から生まれる探求
電気事業連合会 大阪・関西万博推進室長 岡田康伸氏

読売新聞大阪本社版朝刊

岡田康伸氏

 関西電力や東京電力ホールディングスなど、電力大手10社による電気事業連合会のパビリオンと聞くと、多くの人は、まじめな「科学館」のようなイメージを抱くかもしれない。
 目指しているのは、ドキドキしたり、ワクワクしたり、様々な可能性が詰められた「タマゴ」から生まれるエンターテインメント(娯楽)の体験を楽しみつつ、エネルギーの将来も考えていける、そんな場所だ。

 パビリオンの外観はタマゴ形で、仕掛けの一つが、来場者に配布するタマゴ形デバイス(端末)になる。館内の展示物にかざせば、光ったり、震えたり……。端末のアクションと展示とを連動させることで、エネルギーを扱う電力館ならではの面白さを演出していきたい。
 さらに、展示では、原子力や水素といった既存の技術だけでなく、次世代エネルギーとして、世界各国が開発を競っている「核融合発電」のような未来を切り開く技術も紹介していく。電気を「作る」「送る」「使う」といった様々なシーンを通して、来場者が新たな「気づき」を得られる機会に出来ればと思う。

 「カーボンニュートラル(脱炭素)を実現した世界は、果たしてどんな社会になっているのか」
 世界が目指している2050年のカーボンニュートラル(脱炭素)の実現に向け、電力業界が果たしていくべき役割は大きい。パビリオンでは、その実現に全力で取り組む姿だけではなく、我々が描く「その先」の世界観も体験してもらうつもりだ。

 関西では、京都大や大阪大の研究者らを中心に、大学発のスタートアップ(新興企業)が数多く生まれ、エネルギー分野の新技術をリードしている。こうした企業と連携し、エネルギーが持つ魅力や可能性を世界に発信していく。
 パビリオンの外には、ステージを設け、大学生や高校生らの若者が、SDGs(持続可能な開発目標)への思いなどを存分に発信し、自由に語らえるようなイベントやトークショーも行う。可能性に満ちた様々なタマゴをともにクエスト(探求)していき、成長を続けるエネルギーの姿を感じられる好機としたい。

(聞き手 寺田航)




よみうり万博チャンネル

2025年大阪・関西万博を盛り上げようと、準備を進めている企業や団体のキーパーソンにインタビューします。
記事は随時掲載です。