翻訳アプリ 言葉の壁「突破」
TOPPANホールディングス 専務執行役員 斉藤昌典氏
読売新聞大阪本社版朝刊
今年10月、社名を凸版印刷からTOPPANホールディングスに変更した。事業内容は印刷にとどまらず、食品の包装材や建材、ディスプレー用フィルムの製造など多岐にわたる。新社名から「印刷」を外したのは、様々な技術を活用して世界中の社会課題を「突破」するという決意が込められているからだ。
企業理念の「情報・文化の担い手としてふれあい豊かなくらしに貢献」は、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」とも合致する。万博は、当社が注力する社会課題の解決につながるデジタルや環境技術の実現の場という意味合いもあり、二つのテーマ館と、先進技術の実証の場となる未来社会ショーケース事業への協賛を決めた。
テーマ館では、河森正治氏が手がけるパビリオンのゴールドパートナー、宮田裕章氏のパビリオンのブロンズパートナーとなった。
印刷事業では感性に響くコミュニケーションを届けることを目指し、人間の目に見えたままの色を再現することに尽力してきた。河森氏のパビリオンでは、こうした技術を活用して巨大な表示装置に高精細な映像を映し出し、コンセプトの「今、ここに共に生きる奇跡」を表現する。
印刷では膨大なデータを処理するノウハウも蓄積しており、今後、当社はデータを活用した新たなビジネスに挑戦する。「データ共鳴社会の具体的な実践」をテーマとする宮田氏のパビリオンでは、その一端を示したい。
当社は印刷で情報を伝え、人々に様々な行動変容を起こすことを使命とし、長年、翻訳事業にも取り組み、精度や作業効率の改善を積み重ねてきた。未来社会ショーケース事業では自動翻訳システムを提供する。
万博会場では、翻訳アプリをスマートフォンにダウンロードしてもらって、来場者同士の会話で使ってもらうことを想定している。ツアーガイドやセミナーにも活用できるようにして、「言葉の壁」のない未来のコミュニケーションを実現したい。
社名変更を機に、世界中の社会課題や顧客の抱える課題にさらに寄り添い、解決に貢献していきたい。万博では来場者に当社の技術を体験することで、そんな姿勢を知ってもらいたい。
(聞き手 岸本英樹)